家族を支えるため、WEの自立支援事業で、大きな一歩を踏み出した女性の物語

フリー・ザ・チルドレン/ WE は、エクアドルでも支援事業を

行っています。今回ご紹介するのは、WEの自立支援事業

の受益者となった女性と、その家族の物語です。(清田)

https://www.we.org/stories/ecuadorian-mom-supports-family-as-we-artisan/

 

オルガ・シグゥアンゴの8歳になる娘が、街角のお店でお菓

子をせがみます。「私のツケにしておいて」オルガは言います。

 

なんてことない出来事に思えるでしょう。ですが、この出来

事はナポ川沿いの小さな地域での生活がいかに大きく変

わったかをよく表しています。

 

「以前はこんなことできませんでした」29歳のオルガは言い

ます。地元のベジャビスタ・バハの、WE artisan group(WEの

自立を支援するグループ)に入るまでは、毎日の食事すら事

欠く状態でした。お菓子なんてもってのほかでした。

 

オルガが暮らすのはエクアドルの中でもアマゾンの熱帯雨

林地域です。カヌーかジャングルを通り抜ける泥のでこぼこ

道でしかそこへは行けません。職業も限られています。オル

ガの収入源といえば、農業だけでした。しかしそれすら安定

していませんでした。さらには、大工として働いていた夫のサ

ウルが失業したのです。

 

「お金がありませんでした。」オルガは言います。ユカと呼ば

れる根菜を塩で調理するだけの食事が当たり前になり、卵

はぜいたく品となりました。トウモロコシから作られるチチャ

という飲み物しかない時すらありました。オルガ自身は高校

を卒業していましたが、二児の母である彼女は子どもを小学

校に通わせることに四苦八苦していました。

 

以前WEはその地域で学校の再建に携わっていました。そ

の縁もあって、2014年3月にWEは地域での機会拡大に関

して話し合うために、地域でのミーティングの開催を要請し

ました。ミーティングの条件は一つ、女性のみが参加する

女性のためのミーティングにすることでした。

 

その地域は昔からものづくりがさかんでした。そこに発想を

得て、WEは女性たちに、WE artisan group(WEの自立を支援

するグループ)を通じて、伝統工芸をりをするグループを作ら

ないかともちかけました。オルガは、姉、義理の姉、めいたち

と共に最初のグループを作りました。みなで協力し、地域に特

有の繊維や種子を使って美しいアクセサリーを作る方法を学

びました。

 

「最初は、私にできるかどうか分かりませんでした」とオルガは

正直に言います。アマゾンのこの地域は、伝統工芸が有名で

したが、オルガは何も作ったことがありませんでした。だからと

いって諦めるつもりはありませんでした。「夫が言ってくれたの

です。『君にならできると思う。一生懸命にやって、できるという

ことをほかの人に見せるんだ』」

 

オルガたちは2週間に一度集まり、WEからのトレーニング

を受けました。手作りの技術を学ぶだけではなく、財務、

中小企業の経営、スピーチを人の前で行うノウハウも身

につけました。最初に受けた100本のブレスレットのオー

ダーを仕上げること、グループの財務担当になること、そ

ういった一つひとつのステップを踏みながら、オルガは自

信をつけていきました。

 

稼いだお金は当初、毎日の食事や衣服、娘の学用品、薬

などをまかなうのに使われました。生活必需品がそろった

後、オルガは初めての大きな買い物をしました。冷蔵庫で

す。いまは、オルガの稼ぐお金は子どもたちのための教育

資金となっています。

オルガの娘は、勉強がないときは、母親の手伝いをするこ

とが大きな楽しみとなっています。そんなとき、オルガは家

庭を支え、働く母親としての誇りに満ち溢れています。

 

(原文記事執筆:ワンダ・オブライエン  翻訳:翻訳チーム  北澤麻紀 文責:清田健介)