[みんなが挙げる声は、最も強力な武器となる」 マララさんのスピーチ全訳

今回の「世界のWEニュース」では、活動家
のマララ・ユスフザイさんの、2014年のW
e Day UKでのスピーチの内容をご紹介します。(清田)

https://www.we.org/stories/malala-yousafzai-speak-at-we-day-uk-about-girls-rights/

みなさんは私のことを、タリバンの襲撃
を受けて頭に重傷を負った少女として、
知っているかもしれませんね。でも、
私の話 ― 私が誰で、どこの出身な
のか、あの事件の前はどんな生活を
していたのかを知ってもらえたらと思います。

経済的には、私は貧しい家庭に生まれま
した、が、私の家族は、倫理観には富んで
いる人たちばかりです。

父親は立派な人でした ― 今もそうです
けれど。私とのやり取りの中にも対等な
権利を認めてくれました。私と(2人の)
弟たちを平等に扱ってくれました。

私は勉強をすごく頑張り、クラスではトップ
の成績でしたから、周囲からは、いい子だ
と思われていました

しかし、生活の中ではしくじることもあり
ました。少しお転婆で ― 今でもそうです
が ―時々弟とやり合っていましたが、そ
れは今も続いています。もう1つ間違った
ことをしました。嘘をついたことがあります。
本当のことが言えなかったのです。友達
の装身具を盗ったこともあります。ごく幼
い時のことですが。

しかし、一度このような失敗をしたから
には、そこから学んだことも事実です。
この過ちは決して二度と繰り返しませんでした。

そこで少しお話したいのですが、人には
弱いところがありますね。みんな完璧に
はできていません。私のことを、「背が高
ければ素敵なのになあ」と思う人もいるか
もしれませんが、現実の私はそうではあり
ません。誰にも弱点はある、でもそうだか
らと言って特別な存在に値いしないと言う
ことではありません。

私たちはみんな特別な存在なのです。何
か才能を持ち備えています。

私の立場から、みなさんに何かアドバイ
スできることがあるとすれば、。決して希
望を失わないでください。それと、そうで
すね…

私たちみんなに、勇気があります。また恐
怖心があります。

私も時々怖くなることがあります…幽霊
とか、ドラゴンとか、外骨とか…でも、勇
気は恐怖に当然勝るということも事実で
す。
スワート地区(ヴァレイ)で、私たちはテロ
リズムに立ち向かっています。その時、
私は教育がとても重要なものだと実感し
ました。400以上の学校が..そう、400
校以上が当時、爆破されました。女性
は市場に行くことも許されませんでした。
女の子の教育は禁止されていました。

CDショップの店は爆破されました。学校は
爆破されました。

当時、私たちは、テロリズムの中で生活し
ていたのです。そんな時、2つの選択肢が
ありました。1つは、何も語ることなく死ぬ。
2番目は、語ってから死ぬ。私は2番目を選
択しました。

その時です。私たちは言葉を口にして、
声を挙げました。私は日記を書いて、BB
C放送に、ブログ記事として連載しました。
ニューヨークタイムズのドキュメンタリーにも
登場しました。さらに記事を何本か書いて
報道機関に訴えました。

私はスワート地区の外の世界が、世界中の
人が私たちの訴えに耳を傾けてくださってい
るとは知りませんでした。

そして間もなく、強力な手段、強力な
武器と言うのはみんなの声だというこ
とが分かりました。

同時にまた、私の人生を左右するような
事件にも直面しました。10月9日、私はタ
リバンの襲撃を受けました。

しかしその日、私に宿っていた小さな
恐怖心は死にました。そして勇気と精
神力とパワーが生まれました。

勇気は2つの理由から得ました:

まず、死の危機さえも、、私の教育への思
いを後押しいてくれたのではないかと実感
したことです。

さらに大きな勇気を実感した2番目の理
由は、みなさんの愛、みなさんの祈り、そ
してみなさんからの応援だったのです。

私には確信していることがあります。そ
れは、私たちは1つの家族として生きる
ものだということです。

ここ地球はとても小さい世界ですね。―
本当に小さい世界です。私たちは1つの
家族として生きなければなりません。

お互いを思いやらなければなりません。
アフガニスタンや、パキスタンや、シリア
でテロに苦しんでいる子どもたちを見て
見ぬ振りをしてはいけません。この子ど
もたちをないがしろにしてはいけないの
です。

私たちが、輝かしい未来を望むのであれ
ば、このような子どもたちに心を寄せなけ
ればなりません。

そしてまた、ほんの小さなことをやるこ
とが必要なのです。私がこのように言
っても、それはごく普通の誰もが口に
する言葉ですね:私たちはお互いに親
切でなければならない。お互いに友好
の心を持っていなければならない。お
互いに愛さなくてはならない。

私の意見では、人生は非常に短い、本当
に短い人生です。ほとんど80歳、90歳まで
生きられない。この短い人生の中で、なぜ
人は憎しみ合うのでしょうか?

お互いに愛し合っていきましょうよ。そし
てこの人生を楽しみましょうよ。

楽しく生きましょう。そして人生で一番
の楽しみ方は、集団の中で生きること、
つまり、他の人がいる世界で、つながり
合いながら生きることです。誰もひとりで
は生きていけなのですから。

私はまた、みんながそれぞれ多様性を持
ってこの地球に送られて来ているのだと信
じています。これは心にしっかり留めて置
かなければならないことです ― 肌の色
や性別、宗教によって、社会の中で偏見
や差別をしたり、受けてはなりません。お
互いに愛し合わなければなりません。お
互いの考え方を受け容れ、尊重しなけれ
ばなりません。

私の夢ですが。私の夢は、教育のために
力を尽くすこと、子どもがみんな学校に行
って質の高い教育を受けるのを見届ける
ことです。

そして私は、明るい未来を、より良い世界を
夢見ています。

ご静聴ありがとうございました。

(翻訳:翻訳チーム 松田富久子 文責:清田健介)

スピーチの公式動画(英語)