小さな町の子どもたちが起こした、とてつもなく大きなアクションとチェンジ!

世界各地で、病気を抱える子どもたちとその家族を支えて

いる「ドナルド・マクドナルド・ハウス」。今回は、人口500人

のカナダの街に住む子どもたちが、このハウスを支援する

ために行ったアクションをご紹介します。(清田)

 

https://www.we.org/stories/small-town-school-in-saskatchewan-raises-big-money-for-ronald-mcdonald-house/

 

 

カナダ中西部に位置するサスカチュワン州最大の都市、サ

スカトゥーンで実施されたWE Day。州南西部のイーステンド

から来ていた生徒たちが、WE Dayで体験したことを振り返る

には、4時間に及ぶ帰路のドライブは充分な時間でした。

 

クリス・ハドフィールドがオンタリオのトウモロコシ農場で、ご

く普通の少年として生まれ育ち、夢であった宇宙飛行士なっ

たことを紹介するスピーチは、生徒たちを大いに励ましました。

リック・ハンセンが車いすで4万キロを旅したといいストーリーは、

人は強い決意を持つことによってどんなことでも成し遂げられるこ

とを、生徒たちに伝えました。マラウイで、初の女性大統領となっ

たジョイス・バンダ博士の話は、不可能なことは何もないと教えて

くれました。
(※訳注:クリス・ハドフィールド:世界的に有名なカナダ人

宇宙飛行士。音楽活動に非常なことでも有名で、宇宙ステ

ーションでミュージックビデオを撮影したこともある。)

 

(※訳注:リック・ハンセン:パラリンピックで六つのメダルを

獲得したパラリンピアン。車いすで世界一周の旅を成し遂

げたことでも有名。現在は障害者運動などにも携わってい

る。)
しかし、イーステンド学校(小中高一貫)の、「WE員会」に所

属する生徒たちの中で一番強く印象に残ったのは、WE D

ayの前日に訪れたドナルド・マクドナルド・ハウスで出会っ

た家族でした。

 

(※訳注:ドナルド・マクドナルド・ハウス:マクドナルド社管

轄の財団が、世界各地で運営する、病気を抱える子どもと、

その家族のための宿泊施設)

 

「雰囲気にとても感動しました。とても愛情にあふれていて、

思いやりがあって。みんなが心を動かされていました。何か

貢献したいと思ったのです。」高校3年生で、WE委員会生徒

委員長でもあるジャニス・ミシェルは語ります。

 

昨年3月に、その種はまかれました。しかし、WE委員会の

熱心な顧問担当の教師であるディー・ディーン、はWE Da

yで得た感動が、生徒たちの中でいつまで続くか分かりませんでした。ド

ナルド・マクドナルド・ハウスで出会った家族に対する関心も果たして持

ち続けられるのでしょうか。それに実際のところ、人口500人の町にある、

生徒数100人の学校で何ができるというのでしょう?

 

ディーは振り返ります。「WE Dayからの帰り道、生徒たちが

話していたことは、とりあえずアクションを起こしてみようとい

うこと。ハウスにまた訪問して、家族のために食事を作ろうと

いうことでした。『今は3月、なんせまだ十代の子どもたちだし。

9月にどうなっているか見てみよう』と、まず私は思いました。」

 

いま振り返ってみて、生徒たちを過少評価していたことが

ディーには信じられません。9月になり、新学期が始まりま

した。すぐに生徒はディーの部屋を訪ねてきました。計画

する準備ができていたのです。「生徒たちの想いはまだ消

えていませんでした」ディーは言います。「その想いこそ、W

Eでの活動が、この子たちにもたらした影響や情熱が、カタ

チとなって現れたモノだったのでしょう。」

4年前、ディーはイーステンド学校で、WE(旧フリー・ザ・チル

ドレン・カナダ)の活動を始めました。それからWEは学校や地

域にとって無くてはならない存在となっています。生徒たちを、

アクションを起こしていこうとエンパワーメントしてきました。WE

の哲学を学び、受け入れていき、今年には全生徒の4分の1が

WE 委員会のメンバーになっています。開発途上国の教育支援

のための募金活動のほか、高齢者施設の訪問、貧困に苦しむ

人たちへの衣類や食料を寄付する活動なども行っています。

ドナルド・マクドナルド・ハウスに関する活動に関してはどう

かというと、地域の役に立ちたいという思いが、この活動へ

のモチベーションとなっていました。ドナルド・マクドナルド・

ハウス自体が、厳しい状況と向き合っている人たちを、支援

するための施設なのです。サスカトゥーンの病院で治療を受

ける子どもを持つ家族は誰でも一晩たった10ドルでこのハウ

スに宿泊できます。ハウスでは食事も出ますし、スタッフや他

の家族からのサポートを受けることもできます。

 

ハウスのために資金集めをしようと初めに考えついたとき、

生徒たちの多くが「無理だろう」と思いました。しかし、ディー

は信じていました。この小さな町の小さな小中高一貫教育の

学校でも、ドナルド・マクドナルド・ハウスの一部屋を支援する

スポンサーとなるために、3万ドルを集めることができると。

 

この活動が特に自分の経験に深く関係している生徒もいま

す。

 

「未熟児として生まれたんです。だから、お母さんは数週間

病院に入院していました。お父さんはまさにこの『ドナルド・

マクドナルド・ハウス』に泊まっていました。」ジャニスは言いま

す。「私だけがハウスとつながりがあるわけではありません。

私の話は単なる一例です。」

 

2015年に四輪バギーの事故で隣町フロンティアの少年が

亡くなり、3歳の弟が病院へ運ばれました。事故のあと、子

どもの両親は数ヶ月間、ドナルド・マクドナルド・ハウスに滞

在しました。「この事故に、私たちは深い悲しみを覚えました。

ご遺族の悲しみを目の当たりにして、幼い命が失われるという

ことがどういうことかを、より理解することができました……みな、

その悲しみを生きているのです」と、ディーは教えてくれました。

 

3万ドルの資金集めを達成するために、生徒たちはチャリテ

ィーディナーを開催することにしました。地元のレストランが

自慢の一品を提供してくれ、音楽の演奏、マジックショー、入

札式競売とその場でのオークションなど、この300人規模のイ

ベントのチケットは、すぐに売り切れとなりました。このイベント

には町中のほとんどの人が周辺地域から訪ねてきたたくさん

の友だちと一緒に集まりました。「みんながやって来るのを見る

のは信じられないことでした。資金集めをやっていたのは私たち

自身ではありますが、支援して下さった地域と町の人たちがいな

ければ、資金集めはできなかったことです。」高校2年生で、WE委

員会のメンバーであるウィル・バンフォードは言います。

 

イベントで行ったオークションだけでも、2万1千ドル以上を

集めました。生徒たちの途方もない期待をさらに上回って、

しかも今年一年の目標金額にほぼ届きそうな額でした。そ

れでも一部屋のスポンサーになるために必要な金額には

あと9千ドル不足していました。

 

しかし、イベントの翌週になって、チケット販売の売上高や

その他の寄付を加えたところ、なんと目標額の2倍以上に

なる6万5千ドルもの金額を集めていたことが分かったので

す。この成功は地域全体のおかげだということは明らかで

した。なぜなら、ドナルド・マクドナルド・ハウスの二部屋分

をスポンサーするのに十分な資金を集められたという報告

をFacebookに投稿したところ、2万5千回シェアされたのです。

「すごい勢いで拡散しました、けた違いでした」とジャニスは言

います。

 

 

「どうして集められたお金が地元の団体を支援するのに使

われずに、マクドナルドの財団を支援するために使われる

のか?」という疑問の声が地域の人たちから出たこともあ

りました。しかしジャニスや委員会のメンバーたちは、この

活動は、イーステンドだけでなく州全土の人たちにとって有

益な活動であるという自信を持っていました。

 

「お父さんが経験したことを話してくれました。」サスカトゥー

ンのドナルド・マクドナルド・ハウスのロビーに座って、ジャニ

スは思い出話をしてくれました。ジャニスの父親はこのハウ

スで州の最北部から来ていたある男性と出会いました。そ

の男性の息子は入院していました。ジャニスの父親は、ハ

ウスに来るまでサスカトゥーンに来たことはありませんでし

たが、共に我が子の回復を願っていた二人の父親の間に

は、試練のときにこのハウスで得た安らぎを通じて、絆が

生まれました。「州の北部から南西部まで、私たちが集め

た資金でサスカチュワンのみんなに恩恵がもたらされます。」

 

ドナルド・マクドナルド・ハウスの中を通ったら、必ずいろいろ

な表札が目に入るでしょう。

 

正面ロビー、コンピューター室、そしてボランティアルームな

ど、各部屋に、スポンサー企業の名前が、表札・部屋の名前

として飾られています。

 

いま、イーステンド学校の名前が2つの部屋の名前とな

って壁にかけられています。サスカチュワンの家族にと

って、一番必要なときに使える避難場所です。

 

ディーにとっては、全てのWE委員会での活動が大事な思

い出です。

 

「生徒たちが目覚ましく成長していくのを目の当たりにしま

した。何十年も教育に携わってきましたが、今まで見た中

で一番素晴らしい生徒たちの行動です。」ディーは、ドナル

ド・マクドナルド・ハウスでWE委員会のメンバーたちに囲ま

れて座り、夢中で話してくれました。「プレッシャーもなかっ

たけれど、期待もしていませんでした。でも、子どもたちは、

自分たちができると信じていましたし、実際に何度も何度も

それを証明しました。本当に、子どもたちが自ら、素晴らしい

ムーブメントを起こしたのです。」

 

WE委員会の中核をなす7人のメンバーのうち、ほとんどが

まもなく卒業を迎えます。最年少のメンバーで中学2年生の

ロックラン・ハンフリーは、先輩たちが卒業したからといって、

活動を縮小する理由は見当たらないと言います。

 

「WEによって、自分を過小評価してはいけないと学びました。

人口500人の町出身です。そんな僕たちが成し遂げたことをみ

てほしいです」と、ロックランは言います。

 

参考リンク

クリス・ハドフィールドにいて

http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/kaihatu_astronauts_hadfield.html

 

リック・ハンセンについて

http://www.choubunsha.com/book/9784811389769.php

 

ドナルド・マクドナルド・ハウスについて
http://www.dmhcj.or.jp/

 

イーステンド学校の公式サイト(英語)

https://www.chinooksd.ca/school/eastend/Pages/default.aspx

 

おまけ

デヴィッド・ボウイの、「Space Oddity」を、クリス・ハドフィ

ールドがカバーして歌ったミュージックビデオ(宇宙ステー

ションで撮影された、本格派ミュージックビデオ!ぜひ一

度騙されたつもりでご覧ください!!(清田より)

 

https://www.youtube.com/watch?v=KaOC9danxNo

(原文記事執筆: ジェシー・ミンツ  翻訳:翻訳チーム

北澤麻紀 文責:清田健介)