「サイエンス・キッズ」たちが、社会を変えるアクションを起こす「方程式」

理科や数学に情熱を持つ子どもたちが集まるサイエンスキ

ャンプ。トロントのライアソン大学のサマーキャンプでは、子

どもたちが、科学を応用して社会を変える方法を学びました。

(清田)

 

https://www.we.org/stories/ryerson-university-uses-applied-science-to-teach-teens-social-change/

 

 

科学者が日々直面する問題を理解するため、ライアソン大

学のサイエンス・リーダーシップ・キャンプに参加した生徒た

ちは、水の濾過装置を作るようにという課題を出されました。
「清潔な水を確保する」という、いまの世界が実際に抱え

ている問題に対応するというシミュレーションで、キャンプ

に参加する高校生たちは、それぞれ異なる「国」のグルー

プに割り振られました。あるグループは、そのグループが

属する国の、社会的水準・経済的水準に基づき、他の(国

に属するグループよりも、多くの資材供給を受けることに

なりました。
「カナダ」のグループに割り振られたToufic El Basaaは「僕

たちの『国』のグループには、多くの資源と、『国』からの明

確な方針の提示がありましたが、方針の提示も無く、開発

のため資源提供が不充分な『国』のチームもありました」と

話します。
この活動は、現場の科学者たち大いに努力しているにもか

かわらず、多くの障壁が行く手に立ちはだかっている事を生

徒たちに示しました。そのことが、彼らに「考えるきっかけ」を

与えました。
Touficはこうも言います。[普段当たり前と思っていることが、

実はとても恵まれているということなんだということが分かり

ました。同時に、リーダーシップスキルやイノベーションやテ

クノロジーを活かしながら、与えられた問題に対して、斬新で

クリエイティブな対応策を見出す方法を学びました]。
ライアソン大学とWE(フリー・ザ・チルドレン)、が連携したこ

のキャンプでは、高校生たちに科学、技術、工学、数学と

いった科目(STEM)への興味が、どんなふうに世界の問

題に応用できるかを教えました。その狙いは、「生徒たち

の、科学への興味や関心を活かしてもらえる場を作ろう」

というものでした。ライアソン大学の「SciXchange」のディ

レクターを務めるエミリー・アンガ-ド博士によれば、科学

というのは、クリエイティブに慣れる場面があるんだという

ことを伝えたい。そうすれば、生徒たちは、自分独自の工

夫したやりかたで、この分野で業績を残したいと強く感じ

るはず」、とのことです。
このキャンプは、『大の科学好き』で、友人たちと議論やディ

ベートをするのが好きなTouficにとって、非常に魅力的なモ

ノでした。
彼にとってよかったことは、このキャンプが、科学技術分野

(STEM)に対して、どのような固定観念を持っているかにつ

いて話し合った後、地球温暖化を含む諸問題に、科学がど

う向き合うか対峙しているのかを学べるセッションがあった

ということです。
WEのファシリテーター、Marijke Largeにいわせると、こういった

セッションが、このキャンプの目玉です。「生徒たちは、社会や

世界への貢献に役立つ、すばらしい考えと経験を持っていまし

た。また、彼らは、探究したいと思う科学関連分野で何か新しい

ことをやろうという情熱を持っていました。」
このプログラムは、科学に関心を持つ子どもたちに、探究す

べき新しい道を提示しました。特に、医療分野が唯一の選択

肢と考えていた子ども達にとって目から鱗でした。生徒たちは、

科学は医療分野のみに留まらない、とてもすばらしいものであ

るということを理解して帰りました。これは、大きな変化でした。」

と、Marijkeは話しています。
Touficは、キャンプでの熱気そのままに、学校での活動を

進めています。今は、他の生徒と共に基金の立ち上げを

計画して活動中です。彼らは、体育館の屋根が取り替え

られる際、新しくなった屋上に、屋上温室あるいは屋上地

域農園を設置することを目指しています。

 

Touficは、さらに、 WEとの変わりを深めたいと考えていて、

別のリーダーシップ・キャンプへの参加を希望すると話して

います。彼は、「ぜひたくさんの人に参加して欲しいです」と、

言っています。Touficにとって、キャンプは、多くの良き友人を

作るとともに、これまで会ったことがなかったような、好奇心旺

盛で様々な考えに興味を持つ多くの人たちと話をする一つの

チャンスになりました。
サイエンス・リーダーシップ・キャンプのようなサービスラーニ

ングは、生徒たちに、本を読むのをいったん止めさせて、スク

リーン画面から目をそらさせ、代わりに、窓の外にある世界を

見させます。彼らを窓の外に連れ出すことによって、彼らは、

教室で、学んだことが、どのように世界で応用されているのか

が分かるようになります。また、「学校で勉強することが、役に

立つことなんてあるのかな?」という、よくある質問への答えを

見いだすでしょう。
Touficは、 WEとライアソン大学が連携したこのキャンプが、

カナダのみならず世界全体が、いっそう明るい未来を切り開

いていくために、計画を立てて、それを実行するまでの羅針

盤示してくれたことに、心を動かされました。
キャンプで生徒たちが学んだことは、「科学がどう応用でき

るか」という問いへの答えを超えて、「日々の生活の中でも、

学んだことを活かせる」ということでした。生徒たち自らが、そ

れをキャンプの初日に証明しました。触発された思いで、Tou

ficと数人の新しい友人たちは、ライアソン大学で提供されて

いる昼食の食べ残しをもらい、トロントの路上で、食べ物を必

要としている人たちに配ったのです。「僕たちには、着るモノも、

住むところも、食べるモノもあります。しかし、そうではない人た

ちもいます。そういう人たちを、僕たちは助けるべきです」。Tou

ficは言います。
他者を助けようという考えは、ライアソン大学のサイエンス・

リーダーシップ・キャンプの核となっている考えでもあります。

「このキャンプは、僕たちに、そのために何をどうすればよい

のかを教えてくれました。」 と言うTouficは、自分たちの地域

や、世界の問題に取り組むことが重要だと考えています。

「いろんなことに、受け身になるのではなく、自分たちの問

題として受け止めて、アクションを起こしていくことが大事な

んです。」

 

 

 

(原文記事執筆:サラ・フォックス 翻訳:翻訳チーム 山下正隆 文責:清田健介)