リバーウォッチャーからの、「水に優しい生活」のススメ
いよいよ、夏本番!川遊びも楽しい季節です。そんな季節にちなみ、今回はカナダのオタワ川のリバーウォッチャーをご紹介します!(清田)
https://www.we.org/stories/environmental-change-maker-and-ottawa-riverkeeper-volunteer-shares-earth-day-tips/
「川」とは、ある人にとって週末のキャンプ場かもしれないし
、ある人にとっては散歩道だったり、またある人にとっては
読書する場所かもしれません。パトリシア・テイトのように川
の流れを見ているだけで幸せを感じる人々にとって、川は
「我が家」であり、それを守りたという熱い想いが心の中に
流れています。
パトリシアは、オタワ・リバーキーパーという団体に所属し、
ボランティアのリバーウォッチャーをしています。オタワ・リバ
ーキーパーは、世界中の河川流域保護団体を繋げて水の保
全と保護を行う「ウォーターキーパー・アライアンス(水の守り
人連合)」の認可を受けた団体です。団体の活動目的は、オ
タワ川を守り、泳げて、飲めて、魚が捕状できる態を保全する
ことにあります。
30年以上オタワ川流域で生活してきたパトリシアにとって、
川との関係は切っても切れないものとなっています。その始
まりは彼女が子供の頃に遡ります。「本当の意味でオタワ
川に出会ったのは、ケベック州側にある美しいビーチ、ノル
ウェイ・ベイに行った時でした。そこにコテージを持っていま
した。6歳ぐらいのとき、泳ぎを教わったのを覚えています。」
このほのぼのとした川との出会いが、やがて川と川がもたら
す全てのものへの深い愛情と感謝の気持ちへと変わりました。
現在、パトリシアは幼少期の思い出の場所より上流に引っ越し、
できるだけ川の上で過ごすようにしています。「運動のためにほと
んど毎日カヌーやカヤックに乗っています。孫を連れて行ったり、
夕日を見に行ったり、湾の近くに巣作りしているハクトウワシやミ
サゴの様子を見に行くこともあります。」
休息や気晴らしはもとより、実用面においても、オタワ川は
オンタリオに住む人々の生活に欠かせないものです。交通
手段としても使われるオタワ川は、近隣の友人を訪問する
際にはパトリシアのお気に入りの「道」となります。
水を愛する人として、パトリシアは自然にオタワ・リバーキーパーに興味を持つように
なりました。オタワ・リバーキーパーの信念は、「川を使うなら、川を不当に扱うべきで
はない」ということです。パトリシアもこれ共感し、通常の河川保護活動に加え、川の
温度と濁り度を測定する調査をオタワ川の3つの異なる地域において行うことにしました。
川の上で自然を謳歌したり、リバーキーパーとして働いてい
ない時、パトリシアは水環境の改善を訴える活動をしていま
す。定期的に聴衆の前に立ち、オタワ川が1200キロにわた
って分水界の役割を果たしていることを話しています。2014
年、市は彼女の講演活動と実地活動をたたえ、自然保護活
動家としてシティ・ビルダー賞を授与しました。
パトリシアを突き動かしているのは、将来への不安です。若い
世代が彼女の後を引き継ぎ、川のウォッチャーとして、提唱者
として、保護活動家として独自のレガシーを残して欲しいと願っ
ています。
変わりゆく故郷の自然環境を見てきたからこそ、未来に対
して責任があるのです。パトリシアは愛するオタワ川の状
態がいい時も悪い時もずっと見てきました。激しい雨で下
水施設から汚水が溢れだして川の温度を変えてしまい、
大量のナマズが死んでしまったこともありました。その一
方、いい時にはコケムシと呼ばれる水生生物を見つける
こともあります。「コケムシがいるということは水質が安定していると
いうことを示しています。コケムシはとても敏感で、汚染された水の
中では生き残ることはできないのです。」
パトリシアはこのような思い出を楽観的に捉えていますが、
オタワ川に依存する野生動植物を脅威に晒す様々な問題
があることもわかっています。人工的に作られた岸辺、マイ
クロプラスチック、外来種等も問題ですが、最も彼女が気に
かけているのは放射性廃棄物をオタワ川の川岸に廃棄する
という計画が水面下で提案されていることです。
「その計画が進めば、2018年初頭から建設が始まります。
汚染物質の漏洩は、オタワ川に住む水生生物、そして何百
万人というカナダ人の飲料水に壊滅的被害をもたらすことに
なるでしょう。」
パトリシアは故郷の川を保全することにより、地球全体の環境に大
きなインパクトを与えることができると信じています。「世界中が問題
を抱えているからこそ地域で活動するのです。みんなが地域の問題
を解決すれば、地球全体がよくなるでしょう。」
地球のことを考えながら、地域で活動して変化を起こすに
はどうすればいいでしょうか?パトリシアのアドバイスをご
紹介しましょう。
水に優しい生活: パトリシアから5つのヒント
1. ペットボトルの水を買わない
プラスチック、特にマイクロプラスチックを含有する製品には
気を付けてください。なかなか難しいことですが、水筒を購入
して可能な限りペットボトルの使用をやめましょう。プラスチッ
ク製品は我々の生活の一部になっていますが、安いプラスチ
ック製品はひどいものです。人々はプラスチックを求めていま
す。しかし、プラスチックは壊れた果てに海に蓄積されるのです。
2. 庭には在来植物を植えよう
外来種が周囲の環境に与える影響を直に見てきました。庭
に知らない植物、つまりその地域には元々なかった植物を
植えて飾り立て、結局は周囲の生態系に影響を与えている
のです。園芸用品店に相談して、その土地の在来植物を見
つけましょう。在来植物はお手入れも簡単です。
3. 雨の庭(レイン・ガーデン)を作ろう
庭の中で低地になっている場所、または家および浄化槽か
ら3メートル以上離れている芝生部分に在来植物を植えまし
ょう。その場所は、日光がよく当たる場所または半日陰であ
る事、水捌けがよい事を確認しましょう。浸透試験をすれば
確かめることができます。穴を掘って水を入れてみてくださ
い。水捌けがよければ、水面に泡が現れます。排水速度が
遅いほど、窪地は深くしなければなりません。通常、8~28
インチほどの深さになります。
4. ゴミを拾いながら歩こう
雨水利用装置などを作る庭がない場合、路上のごみの量
に注目してみてください。誰にでも簡単にできる事が見つ
かります。人通りの多い通りには排水溝があります。排水
溝の周囲にゴミがあると、いつかそれが下水溝に入り、下
水処理施設に流れ着きます。そこで処理されるにしろされ
ないにしろ、どちらにしても川に影響を与えるのです。
5. 川にふさわしくないと思ったものは報告しよう。
誰でもみんな、ウォーターウォッチャーになることができま
す。友達を集めて、入江や川、池のほとりを歩いてみましょ
う。場違いに思えるものや自分なら捨てないというモノが水
の中にあれば、報告しましょう。
(原文記事執筆:サラ・フォックス 翻訳:翻訳チーム 山田さつき 文責:清田健介)