「闘病中の子どもたちの力になりたい!」困難な中であっても、希望の灯をともそうとしている若者のストーリー

今回は、子ども病院を支援する取り組みを行っている学校

と、そのきっかけをつくった生徒キャロライン・ミエズバを

ご紹介します!(清田)

 

https://www.we.org/stories/teenager-turns-tragedy-opportunity-better-lives-others/

 

17歳のキャロライン・ミエズバは前の学期にキャメル高校の

WE Schoolクラブ(海外の学校のフリー・ザ・チルドレンのクラ

ブ)と協力し、サンフランシスコファミリーハウスのために、3,3

00個の生活用品(せっけんや歯磨き粉などの洗面用具)を集

めました。サンフランシスコファミリーハウスは、カリフォルニ

ア大学サンフランシスコ校にあるベニオフ子ども病院で治療

を受けている子どもたちの家族に、族に宿泊施設を提供した

り、精神的な面で支援をしたりするNPO団体です。

 

キャメル高校のWE Schoolクラブは以前チャリティーで缶詰

やおもちゃを集めたことはありましたが、これほど大規模な

寄付を募った活動は初めてでした。キャロラインは、夏休み

にファミリーハウスでインターンシップを行ったことをきっかけに、

ファミリーハウスに強い想いを抱くようになりました。そしてほかの

部員たちも、キャロラインの熱い想いに突き動かされたのです。

 

教員でキャロラインを指導するレイ・キャンベラは「キャロラ

インはまさに自分の考えを行動に移せる人でした。」と言い

ます。レイは去年のサンノゼでのWE Dayに参加した生徒た

ちの熱い想いに応えて、クラブを立ち上げていました。

 

キャロラインのリーダーシップはWE Schoolクラブの中でも

特別で、その理由は高校生のキャロラインが、これまでに

も地域に前向きな変化を起こす活動をしてきたからだとレイは言います。
「大学進学後に素晴らしい活動をしている生徒はたくさんいます。ただ、高

2の終わりごろの時期から、少しだけでもそういうことを行い仲間たちに報

告してくれたらもっと意義があるだろうと思うのです。それはたくさんの子

どもたちに影響を与えますからね。」

 

キャロラインが、このような活動に熱心な理由の一つに、彼

女の家庭環境があります。一番小さないとこを肺がんで亡く

し、ポーランドにいる7歳のいとこは嚢胞性線維症と闘ってい

ます。そのような環境で育ったキャロラインは、子どもの病気

によって家族が疲れ果てていく様子を目の当たりにし、生きて

いく中でその苦悩に直面していたのです。

 

キャロラインは当たり前のようにファミリーハウスでボランテ

ィアをしようと思いました。去年の夏にファミリーハウスに連

絡を取り、初めての住み込みのインターン生となりました。

 

 

 

キャロラインは当時を振り返りこう言います。「ファミリーハウ

スは、私の住んでいるビッグ・サーという小さな町から3時間

も海岸線を下ったところにありました。今まで大きな町に住ん

だこともなければ両親と離れて暮らしたこともなかったので、

初日は不安でいっぱいでした。それに、ファミリーハウスにいるご家族

の皆様が私を受け入れてくれるかどうかとても心配でした。」

 

しかし彼女はその不安もすぐに乗り越え、2日目にはボラン

ティアとして初めて受付の仕事を任されました。自分の生活

費を稼ぐために、そしてファミリーハウスの家族を全力で支

援するために、夜の11時まで働く日もありました。

 

遠方からやってくる家族に出会うと、キャロラインは自分た

ち家族のポーランドでの経験を思い出しました。いとこの治

療のために時には車で病院まで5時間もかけ、シャワーもで

きず車の中で寝ることさえありました。

 

そんな経験があったキャロラインは、すべての家族の気持

ちに寄り添いました。ある家族が1週間着ていた服のままヘ

リコプターで到着し申し訳なさそうにしていても、キャロライン

はそんな気持ちを吹き飛ばすように、力強くそしてあたたかく迎えたのです。

特にキャロラインの心に残っているのあるはチベットの女の

子です。彼女は治療のために家族でアメリカにやってきまし

た。まだ英語も話せないので言葉でやり取りをすることはで

きませんでしたが、体を使って気持ちをキャロラインに伝え

ていました。一緒に塗り絵をしたいときも、その女の子はキ

ャロラインの小指を握り続けました。

 

 

 

「その女の子はいつも私をつかんで『一緒に遊ぼう』って。

話はできなくても、できるだけたくさん一緒にいてほしいと思ってくれ

ていることがすごく嬉しかったんです。」とキャロラインは言います。

 

そして、女の子や家族と一緒にいたいという思いはキャロ

ラインも同じでした。しかし、5週間がすぎ、キャロラインは

新学期には学校に戻らなくてはなりませんでした。

 

キャロラインはビッグ・サーに戻るとWE Schoolクラブに、サ

ンフランシスコで出会った家族を支援するために、一緒に活

動させて欲しいと頼み込みました。 WE Schoolクラブは「地域

を変えること、世界的を変えることも、どちらも大切だ」という

理念のもと、他の学校のクラブのチャリティー活動やボランテ

ィア活動にも力を貸しているとの評判があったからです。

 

「WEのいいところは、地域のための活動でも、世界のため

の活動でも、誰かに言われてやっているのではなく自主的

に動いているところです。メンバーそれぞれがやりたいと心

から思うことをやることがこのクラブをよりよいものにしてい

くのです。」とレイは言います。

 

WE Schoolクラブはキャロラインのサポートをすることにしま

した。

部員たちはキャロラインとともに1年生の教室を訪れ、キャ

ロラインがインターンシップで出会った家族について話をし

ました。すぐに1年生の教室では、誰がどれだけ寄付を集め

られるかを競う競争が始まっていました。

 

 

そして活動が終わるころには、ファミリーハウスを実際に訪

問するフィールドトリップの荷物用トラックが必要になるまで

になりました。

 

フィールドトリップに参加したレイはこう言います。「生徒たち

はみんな心を動かされたのではないでしょうか。私たちの活

動ではありがちなののですが、寄付で集めたものは大抵取

りに来てもらって終わりなんです。でも今回は生徒たち自身

が、集めたものが渡されるところを見た。車いすの子どもや

酸素に繋がれた子どもが家族と一緒に取りに来るのを。衝

撃を受けたと思います。」

レイが言うように、キャメル高校の生徒たちはWE School

を通して教室では学べない経験をしました。「生徒たちに

はよく言うんです。高校生活を振り返った時、今日のスペ

イン語の授業で学んだことは覚えていないかもしれないけ

れど、この経験と出会った人々のことはきっと覚えているは

ずだよ、と。」

 

キャロラインにとって、大切な人々をクラブと一緒に支えたこ

とは忘れられない経験となりました。「私はもちろん、私自身

の家族も、胸がいっぱいになりました。家族のみんなは難病

で病院にかかることの辛さをよく分かっています。だから、同

じ経験をしている人たちの生活を私がより良く変えていようと

していることが、家族は本当に嬉しかったと思います。」

 

(原文記事執筆: Peter Chiykowski 翻訳:翻訳チーム

藤井優美 文責:清田健介)