すべての女性に生理用品を!: シカゴで活動する若者の願い
女性にとって必需品である「生理用品」。世界で多くの人が待ち望む支援物資のひとつですが、社会の偏見もあり、不足しがちな支援物資でもあります。
今回紹介する若者は、そんな現状に変化を起こそうとしています。(清田)
https://www.we.org/stories/chicago-teen-gathers-feminine-hygiene-products-for-homeless/
アメリカでは、シャンプー、歯磨き粉、デオドラントなどには消費税がかかりません。
でも、50ある州のうち37の州では、生理用品に消費税がかかり、「タンポン・タックス」と呼ばれています。
WE(フリー・ザチルドレン)スクール・シカゴのユースカウンシルのメンバー、元気のよい14歳のマギー・スワンソンはこの現状についてこう話しました。
「ショッキングでした。人口の約半分の人にとって生活必需品である生理用品に、なぜ税金がかかるのでしょうか?」
この現状を知ってマギーはさらにこの問題を調べるようになり、色々なことが分かってくるにつれ、その重大さを認識するようになりました。
しかしながら(まだこの現状を知らない人も多く、)マギーの新たな取り組みに対して驚く人がいるのも事実です。
「生理用品の入手が困難な状況があるなんて、みんな思ってもみないのです。」
世界中の様々な地域で、生理用品の入手は簡単な場合もあれば、難しい場合もあり、また多くの開発途上国の村では、女の子や若い女性は生理用品がないことが理由で家から出られず、毎月数日間学校を休んでいることをマギーは知りました。
生理用品も他の必需品と同様、寄付の要請が最も多いものの一つであるにもかかわらず、シカゴやアメリカ国内のホームレス・シェルターにはほんのわずかしか集まりません。
人によっては、食べ物を買うか、生理用品を買うか、という選択に迫られ、生きるために生理用品をあきらめなければならず、代わりに古い靴下、ぼろきれ、布などに頼らざるを得ない女性も多いのです。
「調べれば調べるほど、色々なことが分かってきて、『これは大変な問題だ』と思うようになりました。」
そこでマギーは、ユースカウンシルでこの問題を取り上げ、生理用品を回収してシカゴ地域のシェルターに寄付する新しいプロジェクトのためにアイディアを募りました。
ユースカウンシルに参加する他のメンバーもマギーに賛同してくれましたが、生理用品の回収は本や缶詰のように簡単には行きません。
「こういった話題は現在でもオープンにできないため、学校やスーパーに回収箱を設けるわけには行きません。プロジェクトが行き詰ってしまいました。」
この壁を乗り越えるためには、生理用品についてオープンに話をしなければなりませんでした。
これを進んでやろうと思う人はほとんどいません。
マギーのようなティーンエイジャーにとっては簡単なことではありません。この部分は、ユースカウンシルがサポートしました。
このユースカウンシルは、子どもたちが情熱を注いでいるプロジェクトを応援するためにWEが立ち上げたものです。
WEが掲げる、「ギフト+イシュー=チェンジ」のスローガンのもと、変化をもたらすために必要なツールを子どもたちに提供しています。
WEのアウトリーチスピーカーでカウンシルのメンターであるレジー・ベイツは、マギーについてこう話します。
「彼女は社会的に弱い立場にある人たちに代わって声を上げることができます。それが彼女の『ギフト』です。14歳にしては話すのもとても上手いですね。」
レジーやカウンシルのメンバーはマギーの持っている能力と熱意を応援し、「プレンティ・フェム」というキャンペーンの立ち上げを手伝いました。
みんなで協力して、寄付をしてくれる人たちのリストを作成したり、シェルターに赴いて寄付の必要性を把握したり、調査を手伝ったり、マギーのスピーチの練習をサポートしました。
マギーはユースカウンシルのメンバーと一緒にWEの招待を受け、シカゴのダウンタウンでプロジェクトの発表を行いました。
マギーは、WEに賛同してくれる人たちや寄付に協力してくれる人たちで満員になった大きな会議室で、何カ月もの調査や計画していることを説明し、あまり知られていない生理用品の入手問題について、マギーは自分の言葉でビジネスリーダーや慈善家たちにうまく伝えることができました。
その日の夜のうちに、ウォルグリーン(訳注:アメリカの大手薬局チェーン)の取締役がマギーの活動のために生理用品の寄付を約束してくれました。
その数週間後、マギーに段ボール箱の写真がメールで届きました。WEのシカゴオフィスで回収されるのを待っています。
マギーは2,3箱くらいだろうから放課後に家に持ち帰ろう、と思っていましたが、全部で20箱もあり、13,000個以上の生理用品が集まったのです。
回収された生理用品は、その後シカゴ地域にあるサラズ・サークルというシェルターに送られました。
マギーにとってこの活動が証明しているのは、みんなの関心を高めることが、変化をもたらす最初のステップであるということです。
WEからはじまった意識付けにより、マギーはさらに成長しています。
「WEは地域や世界にあるたくさんの様々な問題に気づかせてくれました。私自身にもたくさんの変化がありました。スピーチが上手になったし、現状を変えていける気がしています。」
(原文記事執筆: ジェシー・ミンツ 翻訳:翻訳チーム 山本晶子 文責:清田健介)