学校に牛がやってきた!:ケニアの村で行われているユニークな干ばつ対策とは?

今回は、深刻な干ばつに悩みながらも、ユニークな方法で

家畜の牛に水を提供しているケニアのシラキール村の取り

組みをご紹介します!(清田)

https://www.we.org/stories/drought-drives-cows-school/

 

今年もシキラール村には雨が降らない時期がありました。

そんな時サムソン・モロンピは家畜の牛たちを学校に連れ

て行くようになりました。
中央ケニアでは何か月も続く干ばつのあと、マサイ族の牛

飼いたちは何百頭もの牛が死ぬのを見てきました。モロン

ピは、この危機的状況が徐々に南下し自分の村まで迫って

きていることに気づきました。というのも、家畜の牛から牛乳

が取れなくなったからです。
「私たちには家畜しかないのです。牛たちが健康でなくなれ

ば、私たちもみな生きてはいけません。」
モロンピはシキラール村で正式な教育を受けた数少ないう

ちの1人で、小学校の先生として働いており、干ばつ問題の

解決を任されました。彼は革新的なアイディアを提案しに学

校に向かいました。このシキラール小学校はこの村で唯一

安全な飲み水が確保できる場所です。
WEビレッジ(フリー・ザ・チルドレン)とのパートナーシップによ

り建設されたこの小学校には、きれいな水を供給するための

井戸が掘られています。モロンピはタンクに水を組み上げて

いるポンプのモーター音をたどって乾いた草原をずんずん進

み、校長室をノックして自分のプロジェクトを提案しました。
数日後、真っ二つになったトラックのタイヤが一列に並び、

そこに向かって長いゴム製のパイプが小学校の給水塔か

ら伸びていました。生徒たちが学校の窓越しにその光景を

覗き見ています。モロンピがこの有り合わせで作った樋(とい)

にきれいな水を流し込むと、何百頭もの牛たちが水を求めて突

進して来ました。でもモロンピが監視しているためみな順番を守

っているようです。
「たくさんいるので、一度にみなは飲めません。順番に飲

んでいるんです。」
モロンピはすでに村人数人を動員しこのシステムをシフト制

で管理していました。月~金まで週替わりで異なる人員が割

り当てられました。日の出とともに始まり、牧草地を回って家

畜の持ち主たちに会い、帳簿にサインをもらい、料金を徴収

します。
「ここで最も重要なリーダーは出納係です。水は単なる施し

ものではなく、持続可能な解決策なんです。」 とモロンピは

言います。シキラール小学校で牛、ヤギ、ヒツジなどの家畜

に水を飲ませるのに1週間あたり350ケニアシリング(およそ

3.5米ドル)を家畜の持ち主たちから集金します。こうして集ま

ったお金によって学校の発電機に使用する燃料費をまかなっ

たり、干ばつが続いてもプロジェクトを継続したりすることができます。
村の放牧地では、モロンピが12月中旬にこの新たな取り組み

を始めてから、健康面での大きな変化が見られました。
「家畜たちが強くなりました。少しですが牛乳も搾れるよう

になったと、妻たちから聞いています。動物たちが健康に

なれば、私たち家族も健康になります。」
このプロジェクトが成功したことによって、モロンピは干ばつ

に対しより長期的な解決方法を探りたいと考えるようになり

ました。彼は現在、政府の基金により常設の樋とポンプを設

置するため、地元のリーダーたちと協議をすすめています。

また、地球環境の変化という新たな問題に直面する中で、少

ない水でも育つ作物を植えたり、縮小しつつある牧草地に適

応するため家畜の頭数を少なくしたりといった、伝統的なやり

方を取り入れた近隣の部族にも注目しています。モロンピは

村がWEと連携しながら自分たちで解決策を生み出していけ

ると確信しています。
「WEに感謝しています。みんなで団結すれば、マサイ族は

変化を受け入れることができるようになるのです。」

 

(原文記事執筆: Deepa Shankaran  翻訳:翻訳チーム

山本晶子  文責:清田健介)