【報告】「日本の学校給食を学ぶセミナー」開催協力をしました
長年フリー・ザ・チルドレン・ジャパンと協働し事業を行なっているフィリピンのパートナーNGO「Konkokyo Peace Activity Center Information Office」代表からの要望を受け、8月30日に、日本の公立学校の給食制度について学ぶオンラインセミナーの開催協力を行ないました。
フィリピンの公立学校には「学校給食制度」はなく、
栄養失調の子どもを対象に、政府から年間120日分の軽食の費用が各学校に支給されるのみとなっています。
フィリピンでは、成長期の子どもたちの栄養不足、空腹で学校の授業に集中できなかったり、そもそも通学が難しい子どもの存在などが課題です。
給食を学校で提供することで、就学率の向上や、学習意欲、学力の向上に繋がることが期待されるため、
近年、フィリピンでも日本のような学校給食制度を作りたいという声が現地のNGOネットワーク内や学校の先生たちの間で広まっています。
貧困層の子どもたちは、学校に行かずに家族の仕事(農業など)の手伝いしているケースも多く、
学校で栄養のある食事が提供されることで、そういった児童労働を減らす効果もあると考えられます。
そこで、フィリピンの公立学校で働く先生方やNGOのスタッフの方々を対象に、
日本ではどのような背景で給食制度が始まったのか、どんな仕組みや目的で現在運営されているのかや、
先生たちが現場で日々感じている課題などについて共有するセミナーを開催することとなりました。
当セミナーには、ゲストスピーカーとして以下2名の方にご協力いただきました。
五十嵐一浩さん
1983年より埼玉県、新潟県の公立中学校の社会科教諭、そして校長として2021年まで勤務され、
定年退職後は教育委員会、高専の非常勤講師、にいがたNGOネットワーク事務局長など様々な方面でご活躍されています。
磯 雅代さん
2人のお子さんの小、中学校にてPTAで副会長など歴任しながらリサーチ株式会社に勤務した経験をお持ちで、その後、東京都の特別支援教室専門員として働いたのち、東京の公立小学校の担任として勤務4年目の現役の先生です。
お忙しい中、ご協力をいただき本当にありがとうございました!
セミナーでは、日本の学校給食制度の歴史や、教育カリキュラムの中での役割(食育)、現場での課題(アレルギー対応など)について日本側から共有した後、ディスカッションの時間を設けました。
フィリピンの先生たちやNGOスタッフからは、
- どのようにして持続性をもったプログラムを組み立てたのか(政府や地方政府の関わり方)
- 給食費を払えない保護者への対応
- プログラムの成果の測定(子どもたちの健康管理やモニタリングは誰が担うのか)
などの質問があり、活発な議論がなされ充実したセミナーとなりました。
さまざまな課題がありますが、今後、フィリピンでの給食制度の普及が進んでいくことを願い、当団体としてもこのムーブメントを応援していきたいと思います。