農業と食料支援

お腹がすいていたら、勉強も仕事もできない

貧困地域では、食料の不足による栄養失調や病気が深刻な問題となっています。食べるものが足りない時、子どもたちは学校どころではありません。おとなも、仕事どころではありません。慢性的な空腹を抱えていると、生産的な活動はできず、ひどければ病気になってしまいます。するとその家族、そしてコミュニティは、貧困の悪循環から抜け出すことができません。

食料の問題は複雑ですが、わかりやすく言えば、やるべきことは、栄養価の高い食糧を、安定的に手に入ることができるようにするということです。

わたしたちは企業の協力を得ながら、革新的な農業技術や農水管理の技術を導入し、それぞれのコミュニティが豊かで持続性のある食糧源が確保できるよう支援しています。

 

知っていますか?

 

支援内容

私たちは、自給自足をしているコミュニティが、より栄養価の高い食料を安定して確保できるように支援を行っています。現地のスタッフや村人たち、そして現地の他の団体とも連携することで、環境に配慮した持続可能な食料生産の方法を地域で模索していきます。短期の支援ではなく、長期的な取り組みであることが重要です。

食料の生産性を高めるために、複数の事業に取り組みます。農業技術の向上のために排水や灌水といった技術を村人に教えること、水へのアクセスを向上させること、種や土の質の改善、村人のためのツールキットの作成などです。長期的で持続性を考えた事業を行い、コミュニティが貧困の連鎖を断ち切ることができるようになることを目指しています。

 

現地のニーズに合わせ、例えば以下のような支援を行っています
  • 干ばつ時の緊急食糧支援
  • 学校での栄養プログラム(給食支給や栄養教育など)
  • 作物の種類の分散化、質の高い種を紹介
  • 農業訓練
  • 学校の庭の設置や運営支援
  • 学校の畑の設置や運営支援
  • 薬草の栽培
  • 砂漠化への対策として植林活動
  • 灌漑、水の整備

 

これまでのインパクト

支援地域において、農場や家庭でこれまで1500 万食分を超える食料を生産し、地域を豊かにしてきました。農業技術の向上、地域で生産された食料へのアクセスを向上させた結果、各支援地域の食料は安定し始めています。村人は以前よりも栄養価の高い多様性に富んだ食べ物を得ることができるようになりました。また、学校での給食支援により、生徒たちの栄養状態は改善され、出席率も向上しています。

中国では、私たちの支援プログラムを受けた農家の収穫量が、平均で26%程度まで増加しました。これは、灌漑を進めたことや、品種改良された種や肥料を使用した結果です。インドでは、私たちの農業プログラムや家畜プログラムを受けた農家が、支援開始3年で食料自給率100%を達成しました。

ケニアでは、私たちのプログラムで多様な食料を得る大切さを学んだ村人たちの91%が、家族の健康状態が改善したと答えています。

 

ケースストーリー

ケニア ピンビニエット

 

ピンビニエットの小学校のグリーンハウスでは、完熟トマトが育てられています。ハウスの中に入ると、外よりも暖かく蒸しっとしていて、土の匂いが充満しています。生徒がハサミでチョキチョキと切っていく音が響きます。

生徒たちは、つるされたトマトのある列に慎重に入っていき、横枝を切っています。こうすることで日光が当たりやすく、栄養もいきわたりやすくなり、トマトがより元気に大きく育ち、収穫率があがるのです。
学校でこういった農業のスキルを学んでいる生徒たちは、栄養満点のトマトを作れるようになり、トマトのサイズは収穫されるたびにドンドンと大きくなっていきました。

現時点で、生徒たちは100 キログラム分のトマトを収穫してきました。これは学校が生徒たちに出す給食をまかなえるどころか、それ以上の量になります。大量に収穫されたトマトと、学校で育てている家畜による収入で、なんと、学校が3人の補助教員を新たに雇うことができました。生徒たちは、学校の資金調達に貢献したのです。

1 人当たりの教師が受け持つ生徒の人数が、世界でも最も多い国のひとつであるといわれるケニアにおいて、この3 人の補助教員の存在はピンビニエット小学校の教育の質の向上につながります。

生徒たちは、農場作物のお世話をする人を雇う資金を確保するための資金集めにも挑んでいます。誰かが常駐していれば、生徒たちが授業あるいは休みで学校にいない時でも農場やグリーンハウスを管理し、健全な状態に保つことができます。収穫量が毎年増える中で、生徒たちは猫の手も借りたい状況なのです。今年は、生徒たちは、545 キログラムのスイートポテト・豆・ケール・ほうれん草を収穫し、かなりの重労働をしました。

この村で育っているのは、ここの新鮮な野菜だけではありません。このプロジェクト開始直後から関わっている生徒は、農業技術をドンドン身につけ、リーダーシップやチームワークを育んでいます。生徒たちの熱意は教師たちにも伝染し、家庭菜園を始めた先生もいます。生徒のの保護者たちが関わっている新しい農場が、間もなく栽培活動を始めます。新しいグリーンハウスでは穀物の栽培のほか、200 匹のニワトリの飼育もできるなど、学校の農場を超える、規模の大きいものになります。すでに家畜用のエサとなる穀物の栽培を始めており、ヤギや牛に栄養をつけさせる穀物を育てるために、農場のボランティアが水やりを行っています。

農業が広がっていくことで、ピンビニエット村はこれからもどんどん変化していくでしょう。栄養満点の野菜や卵が安定して取れることで、病気や死亡率も減ります。生徒たちも学習に集中できる体力がつきます。安定した収入を得られるようになることで、家庭やコミュニティで未来の計画を立て、緊急時のための備えや貯蓄をすることもできるようになっていきます。