ハイチ

災害に苦しむ、カリブ海のミュージシャンの国

中南米で最も貧しい国、ハイチ。このカリブ海の美しい島国には、1804年にフランスから独立してからというもの、国の財政難や安定しない政治、病気の流行、ハリケーン被害による食糧不足など、災難ばかりが続いています。ハイチの人々は、貧困や治安の悪化などに常に苦しめられてきました。

そんな中、2010年1月、マグニチュード7の大地震がハイチを襲いました。23万人が亡くなり、何百万もの人々が家を失いました。すでに危機的な状況だったハイチは、この地震によって、壊滅的となりました。

ハイチの人々は音楽が大好きです。彼らの芸術は 世界で高い評価を受けています。人々は現在の悲惨な状況に、持ち前のたくましさと明るさで立ち向かっています。

フリー・ザ・チルドレンは、この小さな島国で、健康と教育に焦点を当て、家庭と地域の暮らしを改善するためにプログラムを実施し、 国の再建のため、長期的にサポートし続けていきます。

 

ハイチの子どもたちが置かれている現状

学校に毎日通うことができている子どもは全体の半分以下です。小学校に入学する子どもが67%、しかし6年生まで通うことができるのは30%以下にとどまります。学校の教室や先生が足りない、設備がひどすぎて勉強ができない、治安が悪かったり村の近くに学校がないために通うことができない子どもたちが大勢います。地震で何千という学校が崩壊した結果、状況は以前よりさらに深刻になりました。

知っていますか?

21.6%
ハイチでは、5歳から14歳の子どものうち、21.6%の子どもが経済活動を行っています。(ILO, 2012)

 

58.5%
ハイチの58.5%の人々が、貧困ライン以下の生活をしています。(UNdata, 2012)

 

60.7%
15歳以上のハイチ人のうち、文字の読み書きができるのは60.7%です。(CIA World Factbook, 2015)

フリー・ザ・チルドレンの取り組み

支援の目的

①ハイチの子どもたちが質の高い教育を受けれるように支援することで、家を失ったり孤児となった農村部の子どもたちに、未来の持続可能な生活を保障すること。ハイチにおける普通教育の実施を目標に支援します。

②農村に暮らす人々が必要なサービスを受けることができるよう支援することで、村の自立を応援するだけでなく、都市への人口の集中をふせぐこと。また、地方に多くの人々が生活することで農村地域の開発を促進します。

村の自立を応援するプログラム(Adopt a Village)

貧困を生み出す要因は、複数あります。ですから、貧困を解消するための解決策は一つではなく、様々な側面から同時に支援活動を行うことが大切だとフリー・ザ・チルドレンは考えています。

そこで、わたしたちは貧困地域の人々が生きるために必要な基本的ニーズ(衣食住、教育、保健、労働)が満たされ、子どもが教育を受けられるよう、「5つの柱」を軸とした、村の自立を応援する支援プログラムを開発し、持続可能なコミュニティづくりに向けて活動しています。

ハイチでの分野別実施事業
■教育:学校建設と修復、教師の養成研修と給与の助成、学用品、教科書などの配給
■水と衛生:・浄水設備(井戸、湧水・雨水の確保、配管設備)、トイレ、手洗い場の設置、コレラに関する教育、浄水錠剤の配給

■保健:医療機器と医療用品の運搬・配給、健康教育と訓練、健康に関する地域のラジオ番組の設立

■収入確保:組合の設立、新規開拓(販売ルート、マイクロファイナンス、補助金など)

■農業と食料:緊急求職プログラムと継続的支援、学校での栄養プランニング 、厨房の建設と設置、スクール・ガーデンの整備

 

事業内容

学校建設

ハイチ中部の農村マリアラパにて、学校を建設(2012年~)

都市から遠く離れた地域にあるマリアラパでは、約4000人の村人のうち男性の識字率15%、女性の識字率はわずか5%でした。設備の整った学校がないため、子ども達は学校へ行かず家の仕事を手伝うという場合がほとんどでしたが、2012年に村内に学校を建設しました。また、合わせて井戸の整備や農業支援なども実施し、村の自立を応援しています。

 

ケースストーリー

15歳のサマンサは、フリー・ザ・チルドレンが建設したドスパレ村の学校に通う5年生の女の子です。

サマンサは5歳の時に火事で家族を失い、そのあとは家事使用人として児童労働に従事していました。学校には、仕事をきちんと終わらせていればという条件で午後だけ通うことを許されていましたが、いつもひどい扱いを受け、ついに耐えられなくなり、10歳の時、逃げ出してストリートチルドレンとなりました。

その後、ハイチの孤児院を運営しているNGOに保護され、現在は孤児院で暮らしています。(大地震が起こる前、すでにハイチには30万人もの孤児がいました。)サマンサはようやくきちんと食べることができ、愛され、守られるようになったのです。この孤児院の子どもたちは、近所に建設されたフリー・ザ・チルドレンの学校に通えるようになりました。

「地震の後、幸運なことに私はこの学校に通えるようになりました。とっても美しい学校です。ハイチの地方で一番きれいな学校だといって、首相が訪問しに来たこともあるくらいよ。机もイスも使いやすいし、トイレもきれいで、飲み水もちゃんとあるから喉がカラカラになることはもうなくなった。」

「人生がとっても楽しくなった。この素晴らしい学校に通って、友達と一緒に帰ったり、家で一緒に勉強したりするの。お姉ちゃんは、賢くなることが人生の成功の道だっていつも私に言う。だから一生懸命勉強します。」

「この学校の建設や運営のために活動してくださった皆さん、本当にありがとうございます。おかげで人生を変えることができました」

さまざまな支援の方法があります