タンザニア
東アフリカの美しい国
タンザニアは、インド洋に面する、自然豊かな東アフリカの国です。北はケニアやウガンダ、西はコンゴ民主共和国やルワンダ、そしてザンビアやモザンビークなどと国境を面しています。
キリマンジャロやセレンゲティ国立公園、ザンジバル諸島などの、数々の有名な観光地があります。また、国土の4割が国立公園の保護区となっており、野生動物の多くが暮らしています。そのような環境もあり、タンザニアでは観光は重要な産業の1つとなっています。とはいっても、国の経済を一番支えているのは農業です。
主な主教はキリスト教とイスラム教で、それぞれ約40%を占めています。伝統的な土着信仰も残っています。ケニアと国境を接している北部には先住民であり遊牧民であるマサイ族も暮らしています。
タンザニアの子どもたちが置かれている現状
2001年、タンザニアは初等教育を無償化しました。これにより、2009年には小学校への就学率が95%にまで上昇しています。しかし、急増する生徒数に対する先生の数が追いついておらず、一人の先生が平均49人の生徒を担当しているという状態となっており、教育の質の低下が深刻な問題となっています。
タンザニアの教育が抱えている問題は、先生の不足だけではありません。児童労働をしている子どもの割合が高くなっており、特に女の子が学校に通うことができていません。女の子たちは家庭での責任を背負わされていて、学校へ行くことよりも、早期の結婚と妊娠を期待されているからです。このような問題は、特に農村部において深刻です。農村部では、小学校の中退率が高くなっています。
小学校を卒業できなければ、子どもたちは貧困の連鎖を断つために必要なスキルを身につけることができません。
私たちは、現地の教育者や行政と協力しながら、タンザニアの農村部の子どもたちの教育の質を改善する事業を行っています。そして、子どもたちの卒業を妨げている壁をなくすための支援を行っています。
知っていますか?
フリー・ザ・チルドレンの取り組み
フリー・ザ・チルドレンは、2002年からタンザニアにおいて学校建設と教育プログラムの開発の支援を開始しました。それ以来、行政や地域の人たちと素晴らしい協力関係を築き、「5つの柱」を基本とした、村の自立を支援するプログラムをタンザニアでも本格的に行えるように体制を整えてきました。
支援のかたち
村の自立を応援するプログラム(Adopt a Village)
貧困を生み出す要因は、複数あります。ですから、貧困を解消するための解決策は一つではなく、様々な側面から同時に支援活動を行うことが大切だとフリー・ザ・チルドレンは考えています。
そこで、わたしたちは貧困地域の人々が生きるために必要な基本的ニーズ(衣食住や教育、健康、仕事など)が満たされるよう、教育・保健・水・収入安定・食料の「5つの柱」を軸とした、村の自立を応援する支援プログラムを開発し、持続可能なコミュニティづくりに向けて活動しています。
タンザニアで事業を行う際には、先祖代々から地域に伝わっている知識、文化的なアイデンティティーを大切にしています。現地の言葉を使い、伝統的な行事や風習にも参加するなど、全ての事業において、その地域で行われている風習や習慣に敬意を払いながら活動しています。
タンザニアでの分野別実施事業
■教育:校内の部屋の建設教員のための宿泊施設や職員室、図書館の建設教育の質を確保するための教員への支援子どもを教育から妨げている壁(水を汲みに行くために遠くまで行かなければならない等)をなくすための関連事業
■水と衛生:衛生設備の基本的な使用方法や、水系感染症の予防方法を学ぶワークショップの開催、子どもやおとなを水汲み作業から解放するための、井戸や水タンクの建設、感染症のような病気の広がりを防ぐための、手洗い場や簡易トイレの設置
■保健:学校や家庭で保健についての学習会
■収入確保:ローンの提供、金融リテラシーやビジネスに関するトレーニング 、収入源となる手工芸品生産プロジェクトや、家畜プロジェクト、強いコミュニティーを作るための、女性グループ、男性グループ、若者グループの運営
■農業と食糧:学校での栄養プログラムの実施や野菜の栽培、農業技術や環境を向上させるための、農業訓練や樹林活動
ケースストーリー:タンザニア ナメロク村
ナメロク(Namelok)村は、タンザニア北東部、アルーシャ国立公園にそびえ立つマウント・メルーのすぐそばにあります。村の人口は2700人で、主にマサイ族の人々です。彼らは家畜業で生計を立てています。
ナロメク村の人々は、村の子どもたちの教育の質の向上のため、フリー・ザ・チルドレンと協力し献身的に努力を続けています。村人と一緒に学校の花壇を整備したり、校舎の掃除や校庭での畑の作業などを行っています。村人の生活の質は大きく向上しています。