シエラレオネ

11年もの間、内戦が続いた国

シエラレオネでは、1989年から11年続いていました。2000年に内戦が終結しましたが、紛争の影響を受けた地区では学校が崩壊され、子どもたちが教育を受けることができない状況が続きました。また、紛争中には1万人近くの子ども兵士が使われるなど、とても残虐で悲惨なことがたくさん起こりました。

長く続いた内戦の間に、学校だけではなく、家、病院、水道など生活の基礎となる設備の多くが破壊されてしまいました。内戦が終わって数年経ってから、少しずつ国の民主化や国際化が始まっているものの、紛争の傷からまだ回復しきれた状態とは言えません。さらに2014年には国内でエボラ出血熱の大流行も起きました。

シエラレオネはダイアモンドをはじめとする豊かな鉱物資源に恵まれた国でありながら、紛争が終わった現在も「世界一貧しい国」「世界一寿命が短い国」のランキング上位に入り続けている、大きな困難を抱えた国なのです。

 

知っていますか?

37.8%
シエラレオネでは、5歳から14歳の子どものうち、37.8%の子どもが経済活動を行っています。(ILO, 2013)

 

52.2歳
シエラレオネの人々の平均寿命は52.2歳です。(CIA World Factbook, 2015)

 

48.1%
15歳以上のシエラレオネ人のうち、文字の読み書きができるのは48.1%です。(CIA World FactBook, 2015)

フリー・ザ・チルドレンの取り組み

紛争終結直後からフリー・ザ・チルドレンはシエラレオネで活動をしています。支援開始当初は、崩壊した学校や教育システムの再建が最も大きな課題と考え、まずは教育支援からスタートしました。のちに教育だけでなく、保健や衛生、安全な水の確保、収入向上のためのプログラムなど、それぞれの地域のための包括的な支援へと活動を広げていきました。

活動開始時から現地のNGOとパートナーを組み、内戦の被害を受けた子どもたち、家族や友人をなくした子どもたち、障害をもった子どもたちなどを対象として、元の生活に復帰できるよう支援を行っています。(写真は、障害を負ったシエラレオネのこどもたちに車イスなど医療物資を提供している様子)

 

支援のかたち

村の自立を応援するプログラム(Adopt a Village)

貧困を生み出す要因は、複数あります。ですから、貧困を解消するための解決策は一つではなく、様々な側面から同時に支援活動を行うことが大切だとフリー・ザ・チルドレンは考えています。

そこで、わたしたちは貧困地域の人々が生きるために必要な基本的ニーズ(衣食住や教育、健康、仕事など)が満たされるよう、教育・保健・水・収入安定・食料の「5つの柱」を軸とした、村の自立を応援する支援プログラムを開発し、持続可能なコミュニティづくりに向けて活動しています。

 

ケースストーリー

コノ地区

シエラレオネの東にあるコノ地区。紛争後、この地区の90%の子どもが学校には行っていませんでした。 この地域には大量のダイヤモンドが採れる鉱山があるため、紛争によって他の地域以上に破壊、荒廃してしまったためです。紛争で家々は徹底的に破壊され、 武装集団により学校、コミュニティ・センター、健康診療所は燃やされてしまい、水道システムは意図的に汚染されたため使えない状態でした。

こういった状況を改善するため、フリー・ザ・チルドレンはまず小学校と中学校をコノ地区に建設しました。それまでは地域に学校が少なかったため、1人の先生が67人の生徒を教えている状況でしたが、建設後は700人以上の子ども達がより良い環境で勉強できるようになりました。また、先生に研修を実施することで、どの学校でも教育の質を保つことができるようになりました。

2005年にコノ地区で読み書きできる男性は20%、女性は10 %という状況で、教育の重要性、特に女の子への教育の必要性という認識が浸透していませんでしたが、コミュニティ支援を通じて次第に地域の人々は女の子にも教育が必要だということを理解し始め、女の子も学校に通うという選択肢ができました。11年続いた内戦はとても残虐なものでしたが、再び住民の活力が地域再建・活性化につながっています。

 

さまざまな支援の方法があります