Overseas
海外自立支援

貧しさが原因で命を落としたり、教育を受けられなかったり、奴隷のように働かされたりする子どもがいる、そんな世界を変えるために。 私たちフリー・ザ・チルドレンはミッションのひとつに「国内外の貧困や差別から子どもをFree(自由)にする」と掲げ、世界のさまざまな地域で国際協力事業を行っています。
Believes
私たちの想い
フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、支援先のコミュニティが永続的に外部支援に頼るのではなく、現地の人々自身の力で貧困から抜け出し、持続可能な未来を築いていくことが重要だと考えています。 そのため、私たちは国際協力を実施する際、地域固有の文化や価値観、現地の人々の自主性やアイディアを最大限に尊重しながら、対話と協働の姿勢を大切にしています。住民の皆さんから「協力してほしい」という明確な要望があった場合のみ、プログラムの実施を開始します。 このように、地域の人々自身が課題を認識し、主体的に取り組むことで、活動の成果を自ら感じられ、コミュニティ全体の協力と共感も得ながら事業が展開されます。そして支援が終了した後も、現地で取り組みが継続される仕組みづくりにつながっていきます。
4 Pillars of support
4つの柱
貧困の原因は一つではなく、教育、医療、経済機会、環境など多様な要素が複雑に関係しています。そのため、貧困を解消するには、これらの要因を包括的に捉え、複数の視点からアプローチすることが不可欠です。 フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、貧困地域の人々が生きるために必要な基本的ニーズを満たし、子どもたちが継続して教育を受けられる環境を整えることを目指し、教育・水・保健・収入向上の4つの分野を軸にした自立支援プログラムを実施しています。

教育
ユネスコが発表した最新データでは、学校に通っていない子ども・若者の数が前回より2,100万人増え、合計で2億7,200万人という深刻な水準に達しています(*1)。増加の背景には、アフガニスタンにおける女子中等教育の禁止をはじめとする状況の反映と、国連の最新人口推計に伴う学齢期人口の増加が挙げられます。
読み書きや計算といった生活に欠かせない力、自分の権利を理解するための知識を得られないまま育つことは、その後の人生に大きな影響を及ぼします。教育を受けられなかった子どもは、大人になったときに家族や地域を支えるのが難しく、貧困から抜け出す手段を持てないまま、その連鎖が続いてしまいます。一方で、教育を通じて知識とスキルを身につけた子どもは、自立した生活を築くことができるだけでなく、家族を支えたり、地域の経済を豊かにしたり、得た知識を人々に伝えて地域全体を変えていく力をもつようになります。
このように、教育の力は一人ひとりの可能性を広げるだけでなく、貧困の連鎖を断ち切り、持続可能なコミュニティづくりにも深く関わっています。
だからこそ、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは「教育」を全ての事業の中心に据え、最も重要な柱として位置付けています。
*1 UNESCO統計研究所(UIS)とグローバル教育モニタリング報告書(GEM Report)による共同モデル推計「SDG 4 Scorecard」(2025年6月発表)より
4つの柱誕生ものがたり:教育
12歳の時、ある新聞記事をきっかけにフリー・ザ・チルドレンを立ち上げたクレイグ。 「児童労働をなくしたい!」そう強く思ったクレイグは、兄のマークと一緒に、インドに児童労働から救った子どもたちの社会復帰のための施設を作ろうと動き出しました。 しかし、計画を進めていく中で、彼らは気づきます。 「この施設を作っても、根本の原因が変わらなければ児童労働はなくならない」 児童労働をなくすために最も必要なのは「教育」だと考えた2人は、学校建設を始めました。 こうやって、4つの柱の1つめ、「教育」が生まれたのです。

水
清潔な水は、私たちが健康に暮らし、尊厳をもって生きていくために欠かせない大切な資源です。しかし、現在も世界では約22億人が安全に管理された飲み水を利用できていません。そのうち、約7億人が改善されていない水源(井戸、川など)を使用しています(*2)。また、毎年約30万人の子ども(*2)がきれいな水を手に入れられないことで命を失っています。 多くの地域では、水を汲みに行くことが子どもたちの役割となっており、教育を受ける機会を奪われています。村の中で衛生的な水を得られるようになることで、子どもたちが水汲みに費やしていた時間を勉強や遊びに充てることができ、将来の可能性を広げることにつながります。
また、清潔な水の確保は感染症の予防にも有効であり、学校に衛生的なトイレを設置することで、女の子も生理期間中に安心して通学できる環境を整えることができます。
フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、地域の人々との協働を大切にしながら、持続可能な方法で衛生的な水とトイレへのアクセスを広げる支援を行っています。一人ひとりが健やかに暮らせる未来のために、水の課題に取り組んでいます。
*2:ユニセフと世界保健機関(WHO)共同発表報告書「家庭の水と衛生の前進2000~2022年:ジェンダーに焦点を当てて(Progress on household drinking water, sanitation and hygiene (WASH) 2000–2022: Special focus on gender)」
4つの柱誕生ものがたり:水
事業を進めていく中で、気づいたことがありました。それは、女の子が学校にいないということ。 理由のひとつに、女の子は家族のために遠くまで水をくみに行く仕事を任されているため、学校に行く時間がないことを知りました。 そこで、学校の近くに井戸を建設することに。女の子たちは学校へ通い、帰りに水をくんで帰れるようになりました。 4つの柱の2つめ、「水」支援の誕生です。

保健
2022年の統計によると、世界では年間約490万人もの子どもが、5歳の誕生日を迎えることなく命を落としています(*3)。その多くは予防可能な病気によるものであり、特に貧困地域に暮らす子どもたちに大きな影響を及ぼしています。
貧困の中で体調を崩すことは、単なる健康の問題にとどまらず、家族全体を深刻な経済的困難へと追い込む要因になります。働けなくなること、治療費の負担、そして医療機関の不足や公的保障の欠如などが重なり、病気が貧困をさらに加速させてしまう悪循環が起きてしまうのです。
また、栄養不足や衛生環境の不備が病気を悪化させ、回復を妨げるだけでなく、無理な労働が健康状態をさらに悪化させるケースも見られます。そうした状況のなかで、子どもたちは学校に通えず、将来への可能性も閉ざされてしまいます。
だからこそ、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、地域の人々と協力しながら、衛生に関する教育、コミュニティクリニックの運営、栄養支援など、健康的な暮らしを支える包括的な取り組みを進めています。すべての子どもたちが健やかに育ち、自分らしく学び、夢を描ける社会の実現を目指しています。
*3:ユニセフ(国連児童基金)主導の国連機関間グループ(UN IGME)による発表「Levels & Trends in Child Mortality 2023(子どもの死亡率の地域別の傾向2023)」
4つの柱誕生ものがたり:保健
学校の先生たちから、こんな話がよく聞かれました。 「体が弱い生徒は学校を休みがちだし、授業に集中できない」 「家族が病気だと、看病や収入を支えるため生徒が学校へ来なくなる」 村の子どもたちが質の良い教育を受けるためには、村人みんなの健康を向上させる必要があったのです。 こうして、柱の3つめ「保健」支援が始まりました。

収入向上
世界には、約1億3,800万人の子どもたちが児童労働に従事しており、その多くは親の収入だけでは生活が成り立たず、家族を支えるために働かざるを得ない状況に置かれています(2025年推計)(*4)。
こうした現状を変えるには、保護者—特に母親たちが教育を受け、持続可能な生計を築くための手段とスキルを身につけることが不可欠です。母親たちが安定した収入を得られるようになれば、子どもたちは安心して学校に通い、医療サービスを受けることができるようになります。そして何より、子どもたち自身が「働く必要のない子ども時代」を過ごせるようになるのです。
多くの貧困地域では、女性が教育の機会を十分に得られておらず、社会的地位も男性に比べて低いことが課題となっています。しかし、収入を得る力を身につけた女性たちは、自信と自由を手に入れ、自らの人生を力強く切り拓いていけるようになります。その姿は、子どもたちにとっての憧れとなり、後に続く世代の道しるべとなるでしょう。
こうした理由から、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの収入向上支援では、特に女性を対象とした取り組みに重点を置いています。家庭と地域の未来を守る大切な力として、女性の可能性を引き出し、児童労働の根本的な解決へとつなげていきます。
*4:国際労働機関(ILO)とユニセフ(UNICEF)共同発表報告書「Child Labour: Global estimates 2024, trends and the road forward」(2025年6月)
4つの柱誕生ものがたり:収入向上
教育・水・保健でサポートをしても、それでも子どもを学校へ行かせられない家族がいました。子どもが働かなければ、家族を養うためのお金が足りないのです。 子どもたちが安心して教育を受けるためには、おとなが安定した収入を得られる必要があります。そこで、「収入向上」のための支援を開始。村の資源や文化を生かした仕事を生み出し、親たちが安定した収入を継続的に得られるようにするプログラムを開始。 こうして、現在の「4つの柱」が完成しました。
Area
活動地域
フリー・ザ・チルドレンのミッションのひとつである 『国内外の貧困や差別から子どもをFree(自由)にする』の実現に向け、 以下の各国において支援活動を実施しています。


現在事業を実施している国
過去に事業を実施した国