ミンダナオ島・ダバオ市にある先住民族の子どもたちのための小学校で、教室・図書館の改修と、教員研修を実施しました!

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、2024~2025年3月までペンパルプロジェクトを通じて、ミンダナオ島ダバオ市の山間部にある小学校の支援を行いました。

この学校には、マティサログ民族の子どもたちが通っています。しかし、校舎は老朽化が進み、木造の屋根や壁は腐食して雨漏りがひどく、黒板も劣化して文字が書きづらく、読みづらくもなっていたため、授業を行うことが難しい環境であることがわかりました。さらにこの地域は地理的に孤立しているため、学校の先生方が子どもたちの学習意欲を高めるための指導法を学ぶ機会もほとんどありませんでした。教育環境の改善と、先生方への支援が求められていました。
そこで、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンはペンパルプロジェクトからの皆様からのご支援や、その他のご寄付を使って、この小学校の教室・図書館の改修と、先生方への教員研修を実施しました。

   

      小学校の先生たち                 3~6年生の教室と図書館

教室・図書館の改修では、屋根や壁の木を交換するたけではなく、雨どいをつけたり、床のセメント化も行いました。この作業は、小学校に通う子どもたちの保護者の方々も手伝ってくれました。また、黒板は再塗装し、各教室に設置されました。

   

       校舎の修繕の様子                     黒板の再塗装                         

教員研修には、日頃からボランティアで先生をして下さっているマティサログ民族の6人の先生が参加してくれました。この研修は7回にわたり、日常の教育業務を効果的に行うための前向きな方法「ポジティブ・ディシプリン」 (PD)について、先生たちに学んでもらうことを目的に実施しました。

第1回目の研修では、研修の目的や概要を伝えるとともに、フリー・ザ・チルドレンが特に大切にしている「子どもの権利」についてお話ししました。そして、子どもには教育を受ける権利や、大切にされる権利があることを伝えました。第2回目の研修では、学習計画の立て方や教材の活用方法、教育を行う上でのストレスマネジメントについて話しました。この2回の研修の振り返りでは、「あらゆる活動において、私たちは常に子どもの権利を考慮しなければならないことがわかった」、「教育の目的は学問をすることだけではなく、よりよい人間になること、社会の発展に貢献できる人を育てることなのだと思った」等の感想が出ました。

    

       研修初日の様子                   振り返りの様子

第3回目の研修では、「子どもの発達を理解する」というテーマで、乳幼児期から小学校中学年までの、健全な発達の構成要素について話しをしました。乳幼児期には愛着と信頼関係の形成が大切であること、幼児期から小学校にかけては自信の形成が重要であることについて、事例を挙げて説明しました。また、子どもたちの学習態度や学習意欲には、家庭環境や個々人の興味関心、情報処理能力の違いが影響していることについても確認し、先生方は、「全ての子どもに同じアプローチではいけないこと、特に、困難や課題を抱えている児童・生徒に対しては、特別な配慮が必要であることについて学んだ」ということでした。

    

     朝はみんなでエクササイズ                   研修3日目の様子

第4~6回目の研修では、教育を行う上でのストレスマネジメントとして、「自分をよく知る」ことについてのワークショップを行いました。最近日本でも話題になった「エニアグラム」を用いて自己分析を行い、教員自身も自分自身を大切にし、長所も短所も受け入れることで、子どもの成長に温かく寄り添うことのできる教員になれるということを確認しました。

    

 先生方の日頃の努力に感謝を伝えるスタッフ       「自分をよく知る」ワークショップの様子

これまでミンダナオ島の支援に関心を持ち、ご支援をいただきました皆様、本当にありがとうございました。ミンダナオ島への支援はここで一旦一区切りを迎えますが、フリー・ザ・チルドレンは、今後も引き続き現地のニーズに応じて活動を展開してまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。