世界を少し優しい場所にすることを目指している、ワシントンの小学校の取り組み

地域でのボランティアや奉仕活動は、視野を広げたり、思いやりの心を育む場としても有益です。

今回ご紹介するワシントンの小学校の生徒や教師たちも、それを実感しています。(清田)
https://www.we.org/stories/husband-and-wife-educators-are-teaching-that-small-actions-have-a-big-impact/

ワシントン州タコマ—―ある春の土曜日の朝、奉仕活動のために朝のアニメを我慢して、22人の5年生は近所の人たちにほのかな明るさを届けようとドアをノックしました。
タコマにあるヘレン・ビー・スタフォード小学校の子どもたちは、学校をサポートしてくれた地域住民に感謝の気持ちを伝えるために、絵を描いた植木鉢に花を入れて届けました。
地域奉仕活動に加わるために、活動に興味のあった子どもたちは「今まであなたは他の人にどんなよい影響を与えましたか?」「どうして地域奉仕活動は重要なのだと思いますか?」というような申込用紙の質問に答えました。

そのとき小さな慈善家たちは知りませんでしたが、彼らの奉仕活動が、WE Day シアトルへの参加資格を得るきっかけにもなりました。
「私たちは、地域奉仕活動に本当に興味を持っている子どもたちを選びたかったのです」スタフォード小学校でスクールカウンセラーをしているエイドリアン・ペトリ―は言います。
「私たちは、WE Dayについて子どもたちに何も伝えずに活動を企画しました。それから、『週末にいつもこんなに頑張ってくれているんだし、みんなでWE Dayにでも行こうか!』といった風に言いました」
スタフォード小学校は思いやりの心にあふれています。共に学校の相談員で、WE(フリー・ザ・チルドレン)の熱心な支援者でもあるエイドリアンと、その夫のティージェーのおかげです。

2人は独創的な方法で社会貢献活動を行い、子どもたちに、優しさには他の人の人生を変える力があるのだと教えています。

 

 

 

 

 

 

子どもたちは2017年9月に、小さな手作りの人形をハリケーンハーヴィーで被害を受けたテキサス州ロックポートの子どもたちに贈りました。

10月には、地元の自立支援施設にいる若者のために靴下を集める活動を行いました。

また、ぬいぐるみのフクロウを地元の退役軍人の病院に送ったり、フェルトのハートを地元の小児病院にある遺族の精神をケアする施設のために作ったり、粘土で作った桜を「友だちになってくれたことに感謝するために」全国桜まつりを記念して日本の学校に送ったりしました。
遠く離れた開発途上国を支援するために起こした行動は、夫妻の指導と同じくらい、もしかするとそれ以上に独創的でした。
スタフォード小学校が、タンザニアで井戸を掘ったりポンプを設置したりするWEチャリティーの計画のためにお金を集めることを決めたとき、エイドリアンとティージェーは、コインを投げてお願いするための井戸を学校の玄関に作りました。

子どもたちは、2階から階下にある大きなバケツへとのびた排水管を通して、小銭を井戸の中に投げ込むことができました。

子どもたちは、確かにその仕掛けを楽しんでいました。たった2週間で、幼稚園から5年生までの500人から2000ドル近くが集まりました。
学校中の先生たちもキャンペーンを受け入れて、授業に取り入れました。算数の授業では、寄付金が計算を教える題材となりました。

体育の時間には、野外の道でウォーターウォーク(きれいな飲み水を得るのが困難な地域で水運びをする子どもたちの大変さを理解するために水を持って歩くキャンペーン)をしました。

ティージェーは、子どもたちが将来、開発途上国の支援地域にヤギを寄付するためにお金を集めることができたらよいと思っています。

学校でヤギとたわむれたいという密かな思惑もあるようですが、それだけではなく、きちんと寄付しようと考えているんですよ!
「私たちにとってWEはすべてで、この学校に深く根付いています。『MeからWEへ』というスローガンは、私たちのスローガンにも、私たちが作曲した短い歌にも、ポスターにも入っています」エイドリアンは言います。
エイドリアンとティージェーは、1年と少し前にタコマ子どもイニシアティブを通してWEと出逢いました。

このイニシアティブは、ワシントン・タコマ大学とタコマ公立学校群の共同事業で、子どもたちの学力や社会性の向上、情緒助発達の支援に寄与することを目指しています。

 

昨年シアトルで開催されたWEデーでは、タコマ市じゅうの学校にチケットと交通費が提供されました。

WE Dayのあとで、エイドリアンとティージェーに声が掛けられました。

 

 

 

 

 

3人の子どものうち2人がスタフォードに通っているペトリ―家は、WEファミリー(フリー・ザ・チルドレンの活動に関わっている家族)でもあります。

エイドリアンとティージェーは、学校の教室から家族が過ごすリビングまであらゆるところでWEの価値観を学びに取り入れています。

2人は、「いま取った行動はMe(自分)を軸に考えた?それともWe(周り)を軸に考えた?」という質問をよくします。
「私たち家族は、スタフォード小学校の生徒たちに家族とはどんなものか見せる有り難い機会に恵まれています。残念ながら、スタフォードには家族がどういうものか知らない子どももいるからです」ティージェーは言います。
エイドリアンの目標は、彼女自身の子どもたちにも学校の生徒たちにも、彼らのとるあらゆる小さなアクションが、人々の生活に、そして世界に大きなインパクトを与えうると教えることです。

エイドリアンは、まずは笑顔でいるだけでもいいので、いつも他の人に優しく接するように教えています。
「優しさは、世の中にはびこる恐怖や憎悪を乗り越えます」エイドリアンは言います。
「私がすごいと思うことは、子どもたちがあまりにも奉仕活動に熱心で、この地域の高い貧困率とか、彼らが抱えている問題を感じさせないパワーにあふれているということです。彼らからの小さな贈り物はお金である必要はなく、活動に基づくものでもよいのだと気付くところを見るのは楽しいものです。花を植えて届けることでもよいのです。大規模なキャンペーンやイベントでなくてもよいのです」

ティージェーは言います。
スタフォード小学校の多くの子どもたちは、家族と地元のフードバンクに行っています。

学校が寄付する食べ物を集めたときには、その子どもたちはフードバンクのために食べ物を持ってきました。

フードバンクへの恩返しとして。それは、ボランティア活動のために土曜日を諦めたときのような、エイドリアンとティージェーの活動によってスタフォードに深く根付いた奉仕の精神です。
「地域のために何かをしたいから、子どもたちは土曜日に心から活動に参加していたのです。彼らは大人に見守られ、支えられて何かをすることを楽しんでいました――普段おとなのサポートを得られない子どももいますから。エイドリアンとティージェーは素晴らしいアイディアを思い付きました。子どもたちが活動に使った時間とエネルギーは驚くべきものです」

スタフォードの副校長であるリンジー・ビアバウアーは言います。
スタフォード小学校の子どもたちにしみ込んだ善の精神を見て、エイドリアンとティージェーは、WEと奉仕活動は人生を良い方向に変えたと信じています。

「WEという団体が存在してくれたこと、そして活動を通じて、私たちを支援してくれる地域の人々がいると分かったことは幸運でした。 スタジアム中の人々が、WEデーに集まって優しさを見せたことは頼もしく感じられるものでした」

エイドリアンは言います。
「奉仕活動に関して同じ考えを持っている人と会ったり話を聞いたりする機会はあまりありません。WEがその点で信頼のおける団体だと分かっているのはよいものです」と、ティージェーはエイドリアンに付け加えます。

 

(原文記事執筆:ゾーイ・デマルコ 翻訳:翻訳チーム明畠加苗 文責:清田健介)