裁かれないフィリピンの子どもへの性的虐待

☆FTCJのフィリピン支援事業の現地パートナー団体

「プレダ基金」からニュースが届きましたのでご紹介します。

フィリピンの活動家、プレダ基金代表 シェイ・カレン神父のコラムから 情報元(6/10配信)

http://www.preda.org/main/archives/2010/r10060901.html (翻訳:FTCJ翻訳ボランティアチーム 中丸玲子さん)

性的搾取を目的とした児童売買容疑に関する告訴が、オロンガポ市

のフィリピン人検察官により棄却されていた事が、フィリピン国家捜査局

(NBI)により明らかにされました。告訴は米国籍を持つ裕福なフィリピン

人男性(33歳)とその父親に対するものでしたが、告訴棄却に子どもの

権利活動家たちは憤りを覚え、法務省に対し、この父子を児童虐待容疑

で告訴し、被害にあった児童を保護するよう求めています。

法医学検査官の報告によれば、被害者の一人である15歳の少女は

33歳の容疑者に妊娠させられており、14歳の妹は生殖器に多数の裂傷

があるということです。少女は宣誓供述書の中で、自分と妹がこの父子

両方と何度も性的関係を持たされ、ビデオに録画されたと証言しています。

児童に対する暴行、虐待、脅迫といった数々の行為や、児童ポルノを制作

した証拠も挙がっています。

米国籍のマリオとマークP. という名の2人の容疑者は、マニラのNBIの

拘置所に3週間拘置されました。彼らは児童虐待、性的搾取、児童売買

の容疑で告訴されましたが、オロンガポ市の検察官により告訴は棄却され、

告訴棄却が承認されました。父子は無罪放免となったのです。

性的虐待の多数の証拠を示した医師による検査結果、父子二人

から度重なる性的暴力を受け、自分も姉も性行為をビデオで撮影

されたという14歳の少女の証言、そして、33歳の息子のベッドルームで

朝6時に15歳の少女が救出されたという事実、こうしたNBIが提出した

証拠があったにもかかわらず、どういうわけか検察官は児童虐待容疑

で二人を告訴せず、この裕福な父子は無罪放免となったのです。

子どもの権利活動家らは法務省のリンダ・マネラブ・ホーニラ次官

に書簡を送り、NBIの申し立てに対し迅速に対応し、オロンガポ市の

検察官らによる告訴棄却を再検討してほしいと要求しました。

容疑者が米国に逃亡しないうちに再捜査の命令を出してほしい

と要望したのです。

しかし、2人の姉妹は活動家らの要求にもかかわらず、社会福祉局

に保護されていません。NBIによると、この姉妹は母親に捨てられ、

容疑者の男性に渡されました。そして、あとから男性の息子も一緒に

暮らすようになったようです。少女たちの実父はドイツ国籍の男性ですが、

12年前に死亡しました。

もう一度言いますが、子どもたちは弱いのです。しかし、容疑者と親戚

は妊娠している15歳の少女を何処かに隠してしまいました。容疑者たち

はこのまま告訴を免れ、何も悪いことをしていないと判断されたのだと

思うでしょう。親戚が少女たちの口を封じていますし、少女たちも怖くて

証言したり、告訴し続けたりすることはしないでしょう。政府当局は、

少女たちや身内が出頭して告訴しなければ、容疑者に対して法的措置

は何もなされないと言っています。このように、国には憲法や児童保護

法がありながら、明らかに法を施行する能力がなく、米国市民に 対する長丁場の裁判という面倒な問題を抱えたくないのです。

被害者の少女たちは捨てられたうえ、10歳から性の奴隷にさせられ、

正義も、治療も、復帰の機会も、補償も受けることはありません。

被害者の人生は崩壊します。買春ツアー客や児童買春目的の外国人

は、フィリピンの司法制度が崩壊していて、脆弱なうえ全くの無能で

あると知ったうえでこの国に集まってきています。

司法省で現実に犯罪と闘っている検察官は長続きせず、多くは失意

のうちに辞職します。制度は、告発された外国人や買春観光客、

児童性愛者らをある欲望のために保護しています。

おそらく私腹を肥やしたい検察官の欲望が働くのでしょう。

容疑者の親戚が少女たちを再び自分たちの支配下に置いた

とされており、社会福祉局は早急に子どもたちを保護するよう

求められています。15歳の少女が、児童への性暴力の証拠

を隠すために違法な堕胎を強制されるかもしれない危険性も高 いのです。わたしたちも新聞や政府当局にこの少女たちの

保護と容疑者を裁きにかけることを訴える手紙を送りました。

皆さんのコメントもpredair@info.com.phに送ってください。