貧しさの中にいるフィリピンの子どもたち
☆Helping the hungry feed themselves
ーフィリピンの活動家、プレダ基金代表 シェイ・カレン神父のコラムから情報元http://www.preda.org/main/archives/2010/r10072801.html
(翻訳:FTCJ翻訳チーム 大学生メンバー 阪本遵さん)
私が最初にオロンガポ市で餓死する子どもに遭遇したのは、今から何年も前の、亡くなった子どもに祈りを捧げるために呼ばれた時のことでした。段ボールとプラスチッでできた小さなあばら家に着くと、そこにはこれから埋められようとしている3歳の少女が、段ボールの中に紙でできた服を着せられ、眠っていました。それはやつれたお母さんができた精一杯のことでした。この家族は数日間何も食べていなかったのです。 この出来事に遭遇し、なぜこのようなことが起こるのか、自分に何ができるのかを考えるようになりました。
考えていると、教会での心地よさよりも、農地や工場の人々、道端にいる人々、さらに悲惨な状況にる人たちに心が向き、貧困の原因を理解しようと思いました。さらにフィリピンでのフェアトレードも始めようと思いました。 たくさんの人が食べ物に飢えているというのに、私は毎日おなかいっぱい食べ、食の安全を満喫することなんてできませんでした。 さらに、教会での社会的教育にも関心を持つようになりましたし、神への信仰は正義のために行動を起こした時に本物になるのだと気がつきました。そしてその行動が尊厳ある人生になっていくのです。
フィリピンでは、およそ200家族が国の70%の富を独占しています。彼らは国会を動かすほどの力を持ち、彼らの安全は軍隊が守ってくれます。ほんの一握りの裕福な家族、政治家、大物実業家がフィリピンのほとんどの私有農耕地を独占しているのに対し、大半のフィリピン人は土地がなく食べ物に飢えている状態です。 例えば、10人中7人の小作人は未だに自分の土地を持っていないのに対し、3分の1以下の地主がフィリピンの農耕地の80%以上を保有しているのです。農地改革が失敗しただけではなく、150万ヘクタールの私有地のうち17%しか農地で働いている人々に対して公平に再分配されていません。 アロヨ前大統領は、多くのフィリピン人が土地がなく食べ物に飢えている状態であるのに、韓国に対しミンドロ島の94,000ヘクタールの優良な農耕地を25年間貸すという交渉をしました。
3年前に農作物の値段が急激に上がってから、フィリピンでの米の値段は高いままです。小作人にとっては肥料と殺虫剤の値段が上がったことによって利益はほとんどありません。そして、資金を援助するために用意された数100万ペソは、大統領の再選のために吸収されたと言われています。 その上、政府は米を多く作るための援助を増やしませんでした。その代わり、たくさんの米を外国から輸入し、買いだめして、安い値段で取引できるようにしたのです。これでは飢えている貧しい人々に対して、お金持ちがより裕福になってしまいます。
今日、世界には食べ物に飢えている人々が10億人います。半分以上の6億4200万人がアジアに、サハラ砂漠以南のアフリカに2億6500万人、ラテンアメリカとカリブ諸国に5300万人、中近東と北アフリカに4200万人、そのほか途上国に1500万人もの人がいます。 子どもたちのほとんどは栄養失調で苦しんでいます。もし子どもたちが三日間必要最低限の食べ物を摂取しなければ、脳はダメージを受け、また、彼らが生き残ることができても、学ぶことができず、無学なままであり、まともな仕事と尊厳のある人生を過ごす事ができなくなるでしょう。
栄養失調の子どもたちは1年で160日は病気であり、この状況は、年間約540万人の子どもたちが亡くなることにつながっています。また別に、500万人の子どもたちが治せる病気で亡くなっています。(下痢が61%、マラリアが57%、肺炎が52%、はしかが45%)これらの病気は、子どもたちが栄養失調でとても弱っているために致命的な打撃を与えるのです。
3年前に、33%のフィリピン人が貧困ライン以下の生活水準で暮らしていました。現在は不況のせいで状態はより悪くなっています。2005年以降、10.8%のフィリピン人が1日1ドルの生活をし、41.2%が毎日2ドル以下でやりくりしています。
この問題は、アキノ政権が直面している一番大きな試練です。またこれは、貧しい人々が作物を育て、生活水準を上げるために援助を続けている善良な人々とNGOにとっても大きな課題なのです。