【フィリピンスタディツアー2024春】報告連載 Vol.5 ー性的搾取から救出された女の子たちの施設への訪問報告

「フィリピンスタディツアー2024春」の参加者報告ブログ 全12回の連載 Vol.5をお届けします。
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報告「フィリピンスタディツアー2024春」
Day4 (2024年3月23日)

 

4日目は、プレダ基金が運営する女の子の施設を訪問し、1日中子ども達と交流しました。この施設は、性的搾取から救出された女の子たちのためのホームで、およそ60人の女の子たちが暮らしています。
まずは、お互いを知るためのアクティビティを実施。グループに分かれて、質問をし合いました。参加者は10分ごとに新しいグループで交流をし、1時間ほど、とにかくたくさんお話しすることとなりました。
その後行われたのは、日本から来た18人の名前や趣味などのクイズ!この子は誰だ?というファシリテーターの質問に対し、女の子たちは我先にと手を挙げ回答し、とても盛り上がりました。
 
その後は、タレントショーを開催。女の子たちからはパワフルなダンスや歌の披露があり、参加者も負けじと、歌とダンスをお返ししました。YOASOBIさんのアイドルを踊り出した時には、大歓声が起こりました。そして、お昼ご飯も一緒に食べ、先ほどよりももっと気軽な形で会話を楽しみました。
 

お昼ご飯の後行われたのは、自身が受けた性虐待の経験のストーリー共有です。
今回ストーリーを共有してくれたのは、この施設に来て11ヶ月の15歳の子でした。9歳の時から始まった父親からの性虐待について、言葉を詰まらせながら、2時間半以上かけて話をしてくれました。
現在、加害者である父親との裁判を行なっている彼女にとって、自分が受けた被害の内容や気持ち・状況を、しっかり話せるようになることはとても重要です。プレダでは、裁判に備えて、そうしたストーリー共有の機会を練習のために大切にしていますが、もちろん本人の気持ちの整理がついてから話すことになります。今回の15歳の女の子は、これまでまだ自分には難しい、とこうした機会を見送ってきたそうですが、私たちが来た時、「今日話してみたい」と思ってくれたそうです。
繰り返される性虐待の様子、守ってくれない母親、誰にもバレないように隠して明るく過ごそうとしていたけど限界が来て自傷行為を繰り返したこと、父親と親族から訴えた内容は全部嘘だったと言い直すように言われたことなど、参加者にとっても、被害の状況を詳しく聞くことは苦しい面もあったと思います。そして、さっきまでの明るく過ごしていた女の子たちの姿とのギャップに、戸惑いも感じていました。
ですが、話し終わった彼女は、聞いてくれてありがとう、話せてよかった、今後のために何かアドバイスをぜひ欲しい、と前を向いていました。そんな彼女の元に、声をかけに行く参加者の姿もありました。

 


夜は、振り返りの時間をたっぷりとりました。
1.今日の女の子の施設で感じたこと
2.そしてこの3日間で交流した、先住民族の子ども・刑務所や虐待から救出された男の子・性的搾取から救出された女の子を振り返って、守られていない子どもの権利は何か
3.子どもたちの権利が守られるようにするためには、何が必要なのか
について、お互いの意見を共有しながら、考えを深めていきました。

前日の男の子の施設も合わせ6人の子どもたちから聞いたストーリーや、実際に交流・生活を経験したことから、参加者からは子どもの権利に対し力強い意見がでてきました。

 

参加者からの報告

 

CFC ガールズの施設を訪れた際、女の子たちが笑顔で温かく私たちを迎えてくれた姿が非常に印象的でした。彼女たちは私たちのために踊りを披露したり、歌を歌ったり、子供らしい活気に満ちた行動を見せてくれました。この施設を訪問する前、私は保護されている女の子たちはきっと暗い表情をしていると思っていました。しかし、彼女たちの笑顔や元気な姿は私の以前の予想を覆しました。彼女たちは、自分たちが抱える過去の苦しみや傷を背負いながらも、なるべく明るく前向きな態度で生活しているかのように思え、私の心に深い感銘を与えました。
もし私が女の子たちと同じ経験をしたら、彼女たちのように元気に振る舞うことができるかどうか、私はその施設からの帰りに自分に問いかけていたことを思い出します。私には難しいことですが、女の子たちの強い姿勢は私の勇気の源になった気がします。
りこ/中学生
最初はよく笑うところが印象的で、話すのが楽しいなという感想でした。しかし、彼女が話し始めると周りの子たちも震え上がっていたり、全員で抱き合って寝てしまっていることが印象的でした。思い出したくないという気持ちがあるのかなと感じました。元気いっぱいでいつも笑っているのは楽しさで苦しみや悲しみを描き消そうとしているのだと思いました。
性的暴行は日本ではあまりピックアップされていないけれど、実はかき消されているだけで本当は起きているのではないかと考えました。貧困問題や教育格差が大きな問題として取り上げられている中で、これからは性的な問題にも前向きに向き合っていく必要があると強く思いました。
すみれ/高校生
自己紹介をしていく中で、好きな色が黒と答えた子が6.7割くらいいたことにとても驚いた。色に国民性が出るのかなと思った。リュックを持っている子に何が入っているのか聞いたときにたくさんのお菓子とジュースが入っていた。子供がお菓子が好きなのは世界共通。紙パックのジュースをひとつプレゼントしてくれた。大切に冷蔵庫の中に入ってます!そろそろ飲まなきゃ!
あとはガールズの施設だけじゃなくて、スラムでも観光のときに案内してくれた大学生の女の子は日本と同じでKーPOPが人気。ENHYPENのことを知っているか必ず聞かれた。やっぱり韓国人気は世界中に広がっているんだなと改めて感じた。
1番驚いたのは「やめて下さい」は英語でどういう意味か聞かれたとき。道路などの看板に書いてあるから知っていると教えてくれたけど、意味を教えるときに笑ってしまった。村上春樹のノルウェーの森の小説があった。中を見せてもらうと、「第1章」、「第2章」・・・の部分だけ日本語のままだった。学習意欲が高い!これは日本語でなんて言うの?って聞かれたり、逆に数の数え方の違い、アルファベットを指で表す方法を教えてくれた。
また日本から来た私たちのために初めてつらい体験談を泣きながら話してくれたことにとても感謝したい。親元を離れて色々な歳の子と一緒に自立を目指している姿をみて、自分も変わらなきゃいけないなと思った。
りこぴん/高校生
4日目に行ったCFCガールズの施設は広くて、太陽光がよく差し込む円形の施設だった。入り口付近では幼児向けの遊具がおかれており、そこでたくさんの女の子たちが遊んでいた。また、それの向かい側には図書室があり、様々な種類の本が置かれていたほか、トロフィーがいくつか飾ってあり、施設内で様々な活動をしていることが伺えた。
中に入ってみると、確か50を超える少女たちが元気に迎えてくれ、まず自己紹介しあった。彼女たちは話を聞く限り、特にスポーツや歌に関する話題が好きそうだった。そのあと、彼女たちと昼食をとった。メニューは確か肉の煮込みとごはん、あとスイカだったはず。施設の子供たちとメニューは少し違った。午後になると、彼女たちがリズムに合わせて踊るアクティビティを始めたので私たちも一緒にやった。その後、私たちも日本語の歌やダンスを披露した。概ね大好評だった。
そして私たちはそのうちの一人から施設に来る前の話を聞いた。およそ3時間ほどにわたる長い話だった。まずは10歳くらいの頃から、何年にもわたる父親からの性被害に関して涙を流したり途中で言葉が詰まったりしながらも少しづつ話をしてくれた。父親に性行為をされたり殴られたりしたときにとても痛かったこと、味方だと思っていた母親が助けてほしいときに助けてくれなかったこと、ストレスで自傷行為をして後悔してもっと自分が嫌いになったこと、それを長年誰にも言えずに隠していたこと、裁判所でやっと言えて今は父親と裁判をしようとしていること―自分のつらかった過去を一つ一つ丁寧に教えてくれた。一見今は幸せそうに見えても彼女たちはつらさを抱えており、それは解放された今でもなお、深い傷として残っていることが身をもって感じられた。
帰り際に少しだけ女の子たちと遊んだ。私はついでにこの施設をもう少しよく見てみた。1階には広いスペースのほか職員の部屋やキッチンらしきものがあった。2階にはトレーニングルームや寝室(一部屋10人ずつくらいが寝られる)、あとはセラピールームがあった。実際に中を見ることはできなかったが、前日に行ったボーイズの施設も含め、CFCの施設でのセラピールームは部屋中がクッションで囲まれており、いっぱい殴ったり蹴ったり叫んだりして今までのつらさを吐き出すという療法を行っていると聞いた。施設を出ていくために車に乗る前、出入り口前の庭に石で何か文字が書いてあることを見つけた。石がなくなったり転がっていたりして少々読みづらかったが、どうやら「HOME ? FOR GIRLS」と書いてあるようだった。この施設には今まで様々な被害にあって家にいられなくなった子たちが一時的ではありながらも住んでいる。そこは彼女たちにとって生活の支えであるとともに心の拠り所でもあるのだろう。
おそ/高校生

 


Day5からは、場所がマニラに移ります。引き続きお楽しみに !

 
 


「フィリピンスタディツアー2024夏」参加者募集中!

フィリピンスタディツアー2024夏 子どもふれあい、国際協力について考えるたび

日程:2024年8月1日(木)〜7日(水)/6泊7日
場所:フィリピン(マニラ/オロンガポ)*成田発着
対象:中学生以上 *25歳以下優先
旅行代金:304,000円 *旅行代金に含まれない費用がございます。詳細はウェブサイトでご覧ください。
割引:早割-5月15までのお申し込みで5,000円引き *併用不可
きょうだい割-同一住所のご家族2人以上のお申し込みでそれぞれ5,000円引き *併用不可
募集人数:18名(最少催行人数8名)
締め切り:1次締切-5月15日(水)24時、最終締切-6月11日(火)24時