【報告】10代のためのエシカルコスメワークショップ(We are the MOVEMENT 2022-2023)

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、2022年度も大東建託グループみらい基金さまからの助成を頂き、子ども・若者のソーシャルアクションイベント開催を応援する「We are the MOVEMENT 2022-2023」を実施しています。
この度、プロジェクトメンバーからイベント開催報告が届きました!


 

【アクション実施報告】
2022年12月24日(土)に中学生による10代のためのエシカルコスメ推進委員会が「10代のためのエシカルコスメワークショップ〜リップグロスをつくってコスメに潜む問題を考えよう〜」のオンラインイベントを開催し、(小学生〜大学生)計13人の方にご参加いただきました!

 

【企画・アクション内容報告】
このワークショップ開催のきっかけは、私の持っているアイシャドウパレットの原材料表示を見た時、一つひとつの色にたくさん小さい文字でよく分からない成分が記載してあり疑問に思ったことからでした。10代の若い世代は「値段が安いから」、「可愛いから」といった理由でコスメを選ぶことが多いと考えられるためワークショップでは、まずは問題が潜んでいることを同世代の10代の人に知ってもらい、コスメ作りという実体験を通してコスメについて考えてもらうことを目的として開催しました。

 

はじめに、10代のためのエシカルコスメ推進委員会メンバーのじゅのから化粧品に潜む問題を紹介しました。

例えば、化粧品に含まれる「ナイロン−12」はマイクロプラスチック、「グリセリン」は石油、「植物系グリセリン」はパーム油、「赤色226」はタール色素(石油)、「天然マイカ」は鉱物が原料です。マイクロプラスチックは海洋汚染、石油からできているものは資源の枯渇や土に還らない、パーム油は森林破壊、天然マイカは児童労働の関与、コスメの製造過程では動物実験実施など、様々な問題を含んでいる可能性があることを紹介しました。原材料の表示があっても分かりにくく、労働問題や動物実験は表示されていないと気づくことができないものもあります。

 

 

 

また、2年前のイベント「世界の子どもたちを知ろう!~コスメ作りから学ぶ児童労働~」を主催したメンバーの方にもゲストとして参加いただき、天然マイカにまつわる児童労働問題について深刻な状況であるといったお話をいただきました。
(後の座談会ではファシリテーターとして意見をまとめ、議論を盛り上げていただきました。)

 

これらの問題が潜んでいるため、コスメを選ぶ時に少しでも自分のこと以外に「地球」「人」「動物」のことを考えてみることを提案しました。特に若い世代には必要!

 

 

その方法としては「コスメを選ぶこと」「コスメを作る」ことが挙げられますが、「エシカルコスメ」とされているコスメは価格が高い傾向があったり、コスメは作ったことがないと「難しい」「分からない」といった印象があるなど課題があります。でも手作りコスメは原材料が分かることや価格が比較的安くて済むなどメリットもいっぱい。

では、これからどうすればいいのでしょうか?

 

 

次に、ご協力いただきました”人にも地球にも優しい手作りコスメスクール”ethical cosmetic代表の増岡晶子先生から、「自分にとって」という視点だけではなく人・動物・社会・地球環境へ思いやりを持って選ぶ「エシカルコスメ」やコスメを選ぶ時のポイントなどについてお話を伺いました。

 

コスメのメーカーが色々な基準を全てクリアするのは難しく、消費者もそういったコスメを選ぶことはできないため、自分が問題だと思う基準をクリアしているコスメを選ぶのがポイントです。メーカーのホームページを確認したり、認証マークを確認するのも一つの方法です。

日本では「オーガニックコスメ、ナチュラルコスメ、無添加コスメ」など人や環境に配慮したイメージのコスメがありますが、石油成分が全く入っていないとは限らず、少しでも無農薬のものが含まれていればこれらのコスメと言えるなど、基準があいまいです。

「この問題は大丈夫か?」「しっかり表示してほしい」とメーカーに問い合わせることで、メーカーや業界が変わる可能性があります。ヨーロッパでは昔から市民の意識が高く、動物実験が禁止されたり、オーガニックの認証マークなどがあるのは、そう言った消費者の声をメーカーに伝えてきた結果があるからです。

 

身近にできることとして、家族や友達とこのような問題を共有することで社会が変わっていくという興味深いお話をいただきました。

 

 

その後、実際に増岡先生指導のもと「リップグロスづくり」を体験しました。

原材料は、至ってシンプル。
「ホホバオイル」、「キャンデリラワックス」、「マイカ(児童労働に関連していないことが明確))」の3つ。
ワークショップの前に参加者へ送ったコスメの材料と計量スプーン、グロス容器を使って、湯煎して混ぜで容器に入れるという簡単な手順です。

 

最後の座談会では、「手軽にコスメが作れることを知った」、「コスメのメーカーや社会に声を大きくしていくことが大切だと思った」などの意見があり、今回のワークショップで新しい発見をされていた人が多かったように感じます。

増岡先生による「エシカルコスメ」について学び、「リップグロスづくり」を体験した後での意見交換となったため、問題意識が高まったうえでの内容の濃い意見交換になりました!

 

 

【参加者アンケート】
・社会問題などに目を向け行動できるようになりたいと思いました!とてもいい体験になりました!
・素敵なイベントでとても楽しかったです!今回のイベントで初めてこの問題に気がついて考えてくれる若い世代の人が増えたというのは本当に意義のあることだと思います。
・コスメの問題点をたくさん知ることができて、とても良かったし、楽しかったです!またこんな機会があったら、参加したいです。
・コスメについて大変考えさせられました。とても有意義でした。コスメも作ってみます。

 

【イベントを実施してみて】
参加者の方からコスメを買う時は、原材料の表示が分かりにくいので選びやすいように表示があると良いといった意見やリップグロスづくりを通して意外とコスメ手軽に作れることが分かり、コスメを買うのも作るのも両方やっていきたいという意見もいただきました。
全体的に楽しみながら新しい視点を学ぶことができたなどの感想をいただき、少しでも気づきや発見、問題意識に繋がる効果があったと思います。ワークショップ開催後には、参加者の保護者の方からも「一緒に聞いていて学びがあり良い経験をさせることができて感謝しています」というメールもいただくことができ、おかげさまでワークショップ開催の意義を感じることができました。
人・動物・社会・地球環境すべてに対して思いやりを持つことは、コスメだけではなく私達の身の回りのことにも応用できる考え方なので、今後も多くの方に輪が広がっていくことを期待しています。


※本企画は、大東建託グループ みらい基金の助成、認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの
運営補佐のもと実施されている、「We are the MOVEMENT」の一環として開催されています。
「大東建託グループみらい基金」による助成ご協力に、心より感謝いたします。