【報告(FTCJインターン)】こども基本法制定記念シンポジウム「こどもの視点にたった政策とは」が開催されました

 

2022年7月23日、銀座にある時事通信ホールで開催された、日本財団主催こども基本法制定記念シンポジウム「こどもの視点にたった政策とは」の報告をします。フリー・ザ・チルドレン・ジャパン代表の中島早苗さんや子どもメンバーも登壇しました。

 

シンポジウムは、開会の目的等を明確にした日本財団理事長の話に始まり、次に参議院議員山田太郎氏による第一部基調講演が行われました。

 

児童生徒の自殺者数や不登校数など、資料を基に子どもに関するさまざまな課題が解説されました。随所で他国との比較を交えた説明があったので、日本の子どもたちの置かれた社会の問題が浮き彫りになりました。また、こども家庭庁設置に向けた活動を中心に、こどもの課題に関する取り組みの経緯が良くわかり、政府が描く問題への組織構想と内閣の動きが明確化されました。いじめ等こども家庭庁の管轄範囲を広げたそうです。最後にこども基本法についての説明がなされ、民間の声を募集しているということが伝えられました。

データを基に内閣にこども家庭庁の大切さを訴えつつ、役割の拡大への取り組みが期待できる基調講演でした。

 

次に尾木直樹氏の話が続きました。

内容はいじめ、ブラック校則など、以前から問題視されていた課題に加え、コロナを原因としたマスクや学校外でのいじめなどの問題を確認することができました。いじめの定義の変遷をはじめいじめに関する問題を深堀した基調でした。そして子どもの権利条約がないがしろにされてきた28年間についての説明をうけ、最後に尾木氏がこども家庭庁に期待する7事項が紹介されました。

いじめなど教育の現場における問題と、その解決にカギを握る子どもの権利条約の本来あるべき姿を学ぶことができる大変意義深いお話でした。

 

続いて青少年の声として、フリー・ザ・チルドレンの子ども・ユースメンバーであるダラン優那さん、友成勇介さん、なのさんの発表が行われました。

 

 

 

ダラン優那さんより

小学校でのいじめの経験、その際の学校側の対応への不満、さらにブラック校則についても問題を提起、校則が自己目的化している現状を想い起こさせられました。

ダラン優那さん

 

 

友成勇介さんより

生まれつき脳性麻痺による肢体不自由な障害があり、車椅子で生活している友成さんからは、インクルーシブ教育の状況が自身の経験をもとに紹介され、本人にとってのベストな形を周囲とともに考えていくべきであるとの意見が発表されました。

友成勇介さん

 

 

なのさんより

高校1年のなのさんが通う学校は、日常ではさまざまな決定に生徒の声が尊重されていたそうですが、コロナ渦の対応ではその対応が一変、すべて学校によって決められてしまったそうです。少しでも話し合いの場に子どもが参加できていれば同じ結果であっても次のことを考えることができたのではないかとなのさん。コロナの子どもへの影響を再度確認させられるものでした。

なのさん

 

 

次にパネルディスカッションが行われました。

専門家の方々がそれぞれの専門分野から、こども基本法やこども家庭庁に期待することや課題を話されました。

視聴を通して様々な活動を学ぶことができ、自分にできることを見つけられるかもしれないと感じました。また、外国の評価できる点の紹介がところどころでみられ、私たちの日本への問題意識を高めることができました。先の3人の子ども・ユースメンバーから専門家の方への質問は若者のリアルな声でだったので、子どもの権利に関する問題を学ぶ初めの一歩にぜひ視聴をお薦めします。

 

今回のシンポジウムでは、日本での子どもの権利の現状、歴史を再認識しました。そして政府など上からの改革に関して課題が残っている現状に目を向けることができました。しかし、今起こっているのは基本的に人間関係の問題であることから、個人個人のいじめ等の行為を許さない意識をもったり、声を上げるだけでなく行動に移していくことが問題解決に大きな力を持つのではないかと強く感じました。つまり、「おとな」に何か求めたり、不満を持つだけではなく、私たち若者が問題意識を持つこと、そしてその思いを伝えること、そういった私たち一つひとつの行動が子どもに関する問題の解決の追い風になると信じています。また、いつの時代もジェネレーションギャップはつきものです。だからこそ社会の先輩方には、私たちを見守るなかで思っていることを伝え続けてほしいし、逆に私たちの思いにも同じだけ耳を傾けていただきたいです。

 

なお、シンポジウムの様子は、動画ですべてご視聴いただけますので、詳しくは、下記にアクセスし、ページの一番下の動画にてご覧ください。

https://kodomokihonhou.jp/news/220420_news.html

 

報告:FTCJインターンShiori. T