子どもの権利条約フォーラムinかわさき2021参加報告

2021年11月6-7日の2日間、「子どもの権利条約フォーラム2021inかわさき」が、同フォーラム実行委員会主催で、神奈川県川崎市にて開催されました。川崎市は、日本で初めてこども権利の総合条例である「川崎市子どもの権利条例」を2001年に施行し、2021年で条例制定20年を迎えた記念の年の開催となりました。

1日目は、講演会と子ども実行委員によるシンポジウム、2日目は、各団体による分科会が主に行われました。昨年に引き続き、コロナ禍での開催となったため、会場とオンラインでのハイブリッド形式での開催となりました。2日間を通じて会場とオンラインとで合計して1600人以上の方が参加しました!

 

1日目の全体会のプログラム「全国の子どもたちと語ろう『子どもたちが語る子ども参加のいま』」には、会場やオンラインで北は青森から南は沖縄まで9つの子どもたちのグループが参加し、それぞれの子ども参加の活動の様子や課題、イベントのスローガンの「手を取り合って、にじいろの未来に笑顔で歩もう!」を実現するにはどうしたら良いのか、などについて、子どもたちが意見交換をしました。

 

フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)からは、FTCJ子どもアンバサダーの小学校6年生の波田野優さんと、中学校1年生の山口清崇さんが川崎の会場に参加して、団体の設立の背景や取り組んでいる事業や、子ども参加の活動、子どもによる政策提言についてプレゼンをしたり、テーマについて意見を発言しました。例えば、子どもの権利を守るために、どんなことが子どもとしてできるのか、という質問については、子ども自身が子どもの権利の存在を知らないからまず知らせるところから行っているなど、具体的な学校で行っている取り組みなどを発言しました。

 

 

2日目は、「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の実行委員組織として、分科会A-6「子どもと考える子ども庁と子ども基本法」を持ちました。昨年のフォーラムに続き、企画運営はこれまでに子どもに関する基本法の制定に向けて活動する政策提言チームが担当し、子どもの権利擁護に関心のあるFTCJの子どもメンバーの小中学生3人が「子ども運営委員」として分科会の企画・運営に加わり実施しました。当日は、会場には25名、オンラインでは30名、合計55名の方々にご参加いただきました。

まず、子ども運営委員による進行で挨拶が行われ、オンライン及び会場ともに安心して話し合いを進めるうえでの約束の説明が行われました。次に、キャンペーン政策提言チームが作成した子どもの権利条約を基盤とした子どもに関する基本法が制定されることを求める提言書の最終案の紹介が行われました。

 

提言書案の主な柱は、以下の3つの「新しい仕組みづくり」と4つの「大切だと思うこと」です。

【新しい仕組みづくり】

1.子どもの権利をどんな場面でも大切にすることを約束する「子ども基本法」をつくる

2.子どもの権利を実現するために、国が行うことを全体的に 見て進める役割ができる国の機関をつくる

3.子どもの権利が守られているかを確認する仕組みをつくる

【大切だと思うこと】

A .「子どもの権利条約」を日本中にひろめる

B .子どもの声をきき、子どもと共に行動する

C .だれひとり、子どもを取り残さない

D .子どもに対する暴力を、ぜったいにゆるさない

 

続いて、「今までに(子どもとして「権利」)を尊重されていないと感じたとき」というテーマで子ども参加者から話を聞く時間をもち、以下のような声が寄せられました。

・中学校で環境問題に対して友人とアクションを起こした時、学校の先生から、子どもなのにまだ早いのではないかと言われ、意見を言う権利が尊重されていないと感じた。

・小学校で男子と女子を差別する先生がいて、もやもやした気持ちを生徒が伝えようとすると、子どもだからと流されてしまい環境を変えられなかった。尊厳が守られないと感じた。

その後、子ども、おとなを混ぜて、会場とオンラインでそれぞれ少人数にわかれ、同じテーマで話し合いを行い、以下のような声が共有されました。
・子どもだけでなく、親や教員などおとなにも子どもの権利の内容や子どもの権利の尊重の仕方を伝えることが重要だと思うが、どのようにおとなに伝えることができるのか、難しい問題だと思う。

・親子の間でも、親からの押し付けなどにより子どもの尊厳・権利が守られないことがある。

 

次に、「子どもの権利を日本で保障していくために、子どもやおとな、それぞれの属性からできること」をテーマに会場とオンラインで子どもとおとなに分かれて、話し合いを行いました。子どもやおとな参加者からは以下のような声が寄せられました。

子ども参加者:

・子どもの権利条約、子ども基本法、子ども庁の創設は子ども自身に関わることなので、日頃は社会問題にアクションを起こすことに興味が無い子どもでも、自分たちに関わることとして声を届けたいと思うかもしれない。周りの同世代に伝えるのがまずできることだと思う。

・子どもの権利についてわかりやすく言い換えて伝えている児童館の事例を聞き、参考になると思った。伝え方を工夫するとよいと思った。

おとな参加者:

・おとなが子どもの力を感じる機会を持つことや、おとな自身が安全でいられる環境・心理的安全性の確保、ナナメの関係が大事だと思う。

・子どもが意見を言いやすい状況をおとなが作ること、子どももそれに歩み寄れるような双方向の環境づくりができたらよい。

 

 

更に、「子ども庁や子ども基本法についての率直に思うこと」について、司会の子どもたちから子ども参加者に質問したところ、以下のような声が寄せられました。

・子ども庁や子ども基本法はぜひ作ってほしい。子どもの権利を守るために作られるものだと思うが、子どもの権利があることを知らない子どもが周りには多いので、広めるためにも作ってほしい。

・今回子ども庁についてはじめて知って驚いた。嬉しいなと感じたけど、寂しいなとも思った。自分たちのことなのに、ぜんぜんわかれてないな、と。こういう機会だから知れたけど、クラスの友達とかはわかっていないと思う。それはちょっとなーって思いました。

・子ども庁については、現状は色々な省庁に分かれてバラバラになっていると聞いたので、それを1つにまとめて子どもに合ったしくみをつくってもらった方がいいと思うので賛成。だが、フォーラム1日目のオープニングセレモニーで、子ども基本法を先に作ってしまうと地方がそれにならって条例を作ってしまうという懸念を発言していた方がいて、驚いた。確かに地方にいる一人ひとりが考えなくなってしまうと子どもの権利が守られなくなってしまい、国も地方も同時にできるといいと思った。

これを受けて、本キャンペーン甲斐田共同代表から「子ども基本法は普遍的なもので、どこにいても子どもの権利が守られるようになるもの。地方の子どもたち一人ひとりに合わせて権利が実現していくようにするためにも、必要な法律だと思います。子どもの権利に基づく子ども基本法が作られるよう、本キャンペーンでは提言しています。」とコメントがありました。

最後に、総括として子ども運営メンバーが以下のように発言を行いイベントは終了しました。

「自分にとっては、子どもの権利についておとながどう考えているかを初めて聴けた機会だった。おとなが真剣に考えてくれているとわかって嬉しかった。2つ目のテーマで子どものグループで話し合ったとき、子どもの権利について知らない子ども、子ども基本法に反対する人も多いのが現状だという意見があった。反対する人とも話す機会があればよいという意見が出たのが心に残っている。子どもにもおとなにもすべての人にとって素敵な社会になるよう進んでいきたい。」

「広げよう!子どもの権利条約」キャンペーンではこの分科会で寄せられた意見も踏まえ、提言書「今こそ『子どもに関する基本法』の制定を!」を最終化しました。最終版は11月20日に本キャンペーンウェブサイトで公開し、国会議員・行政関係者等へ提出しました。引き続き、子どもの権利が保証され、子どもの最善の利益が確保されることができるよう活動を続けます。子どもとおとなの方々と共に歩んでいきたいと思いますので、子どもの権利の実現に向け皆様よろしくお願いします。

 

当日の分科会の様子が、毎日小学生新聞にて記事として掲載され、子ども運営メンバーなどの声が紹介されましたので、どうぞご覧ください!

※キャンペーンで作成した、提言書最終版はこちらからご覧いただけます。

提言書の公開「今こそ『子どもに関する基本法』の制定を!~広げよう!子どもの権利条約キャンペーン提言~(2021年11月20日最終版)」