【ユースチーム・クラウドファンディング】ミンダナオ島学校修繕プロジェクト進捗報告(第一回)

こんにちは、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンです。

子ども・ユースメンバー有志が2019年8月16日~9月に実施・達成したクラウドファンディング「未来を創る教育を子ども達へ!~ミンダナオ島学校修繕プロジェクト~」の修繕工事の着工がコロナ禍で1年以上遅延していた件ですが、現地からやっと工事が始まったという連絡が届きましたので、近況とプロジェクト進捗についてお知らせします。
(プロジェクトの詳細は、上記プロジェクトページか、当時のブログ投稿をご覧ください)
なお、Readyforでご支援いただいた皆様には、本記事と同じメッセージを6月17日にReadyforのアカウントへお送りしております。

プロジェクトロゴ

 

校舎老朽化の状態(一例)

【プロジェクト進捗報告】(第一回)

いつも当団体への活動にご理解・ご協力いただき有難うございます。認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン事務局です。

日本・フィリピンともに深刻なコロナ禍でなかなかプロジェクトを進めることができず、前回のお知らせから半年近く経ってしまいましたが、5月末に現地パートナー団体から「現場から近況報告があった」と連絡を受けました(※)ので、翻訳してご報告致します。
前回のお知らせと同様、フィリピン政府の厳格な外出制限に加え、現地パートナー団体にご高齢のスタッフが多い=感染リスクが高いことから、パートナー団体のスタッフも、実際に工事現場へ足を運んで進捗確認することが依然として不可能な情勢になっているためです。

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<前回(2020年末)から進んだこと>

・支援先の小学校では4月20日~22日にかけて終業式と卒業式が行われ、6月現在は夏休み中です。

4月のイースター(キリスト教の行事「復活祭」。フィリピンでは祭日扱いで2021年は4月4日)明けからやっと工事が始まり、現在、床の基礎工事、配水工事、屋根の改修、補強などを行っています。

・フィリピンのコロナ禍の悪化、台風などの災害などのリスクがなく、工事がこのまま順調に進めば8月末頃に完了する見込です。

・さらなる支援活動として、現地の男性4人を工事の作業員として雇い、資材を運ぶ、地面を掘るといった単純作業をお任せし、給与の代わりに食料を提供して工事をすすめています。

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【2021年上半期のフィリピンにおけるコロナ禍】

3月頃から感染拡大が急速に深刻化、4月中旬のピーク時には1日の新規感染者が1万人前後のペースまで激増したことで、フィリピン政府は3~5月にかけて、コミュニティ隔離措置(外出制限)を全土で強化したり、(日本を含む)特定の国からの入国を制限・禁止したり、国民の夜間外出を禁止したりするなどの厳格な対策や実質的なロックダウン措置を講じました。

その結果、5月末頃には1日の新規感染者数は5,000~7,000人程度まで抑え込まれ、6月からのコミュニティ隔離措置も少し緩和されましたが、大半の地域が依然MECQ・GCQ(4段階中のレベル3・2)に据え置かれており、まだまだ気が抜けない深刻な状況が続いています。

 

補足:フィリピンのコミュニティ隔離措置(外出制限)
ECQ(Enhanced Community Quarantine:強化されたコミュニティ隔離措置、実質的なロックダウン/都市封鎖)>MECQ(Modified Enhanced Community Quarantine:修正を加えた、強化されたコミュニティ隔離措置)>GCQ(General Community Quarantine:一般的なコミュニティ隔離措置)>MGCQ(Modified General Community Quarantine:修正を加えた、一般的なコミュニティ隔離措置)という4段階に分けられています。日本政府の緊急事態宣言・蔓延防止措置(通称:まん防)と比べ、大幅に厳しい内容で構成されています。

引用
JETRO(日本貿易振興機構)フィリピン特設サイト ビジネス短信
JETRO(日本貿易振興機構)フィリピン:ビジネス活動正常化に向けた基本情報202167時点)
外務省HP 【領事班からのお知らせ】フィリピンにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応について(その65:フィリピン各地のコミュニティ隔離措置の変更(5月31日発表))

 

【工事の進捗状況】

・前回「手続中」とお伝えした、コロナ禍でも工事ができるようにするための自治体・政府への許可申請手続
第2報(昨年7月)でお知らせした、「工事に使う資材の調達・準備」
これらふたつが無事完了し、フィリピンのイースター明けから修繕工事が始まりました。

工事の開始前には、日本で言う「着工式・地鎮祭」に相当する式典も執り行われました。

ソーシャル・ディスタンスを確保しつつ、工事の開始を祝い、無事に進むことを祈る式典を実施しました。(日本の「起工式・地鎮祭」に相当)

 

現在は、床のコンクリートの打ち直し(新しいコンクリートを流し込んで固めること)、屋根の交換+防錆(ぼうせい:サビ止め)処理、トレンチ(排水設備)の整備などがおこなわれています。

 

●床のコンクリート打ち直し
【プロジェクト開始時点】

床全面にヒビが入り、場所によっては段差が生じたり穴が開いたりしていた

【工事作業:モルタルやコンクリートをつくるため

セメントを手動でこねている様子】

 

●屋根の交換、防錆処理
【プロジェクト開始時点】

【工事中の様子】

新しい屋根板にサビ止めを塗っている様子

 

●排水設備の整備

軒下や屋内の床が水浸しにならないようにするため、屋根に降った雨水を、屋根→壁の配管→地面に埋めた配管へと流して地面へ逃がす「トレンチ」という側溝を整備しています。写真にたくさん写っている金属の枠は、雨風や地震などで溝の周りの土が崩れたり、溝が埋まったりしないようにするため(いわば「溝の形状維持」)のためのものです。

地面に溝を掘り、金属の枠やコンクリートブロックで溝(トレンチ)を整えている様子

 

フィリピンには雨季やスコール(日本の夏に降る「夕立・ゲリラ豪雨」と同様の急な大雨)があるため、雨対策は万全を期す必要がある

 

また、新たな支援活動として、現地の男性4人を作業員として雇い、資材の組み立てや搬入、地面の掘削などの(専門スキルを必要としない)単純作業を任せ、給与の代わりに食料を提供する取り組みも併せて始めました。この食料提供に要する費用も、本プロジェクトで皆様から頂いたご支援と当団体が2019年まで実施していた「寄付つきチョコレート」の売上を充てています。

修繕する学校の周辺には道路が無いため、最寄の道路で荷降ろしした資材を人力で工事現場まで搬入する必要がある

 

教室に搬入された資材(写っているのは主に新しい屋根や配管の部材)
地面を掘る、資材を運ぶ、配管や枠などの資材を組み立てるといった単純作業を、現地の方4名にもお願いし、給与の代わりに食料を提供している

 

【修繕する学校の教育状況】

支援している先住民族の村の小学校では、4月20日~22日にかけて、終業式と卒業式が行われました。暑い中マスクをして式典が行われ、無事に小学校を卒業した子どもたちは口々に、「コロナで学校に来てあまり学べなくて大変だったけど、卒業できて嬉しい!」と言っていました。新学期は、7月中にスタート予定ですが、まだ日にちは決定していません。工事の進捗状況をみて、決める予定です。

小学校ご卒業・学年修了、おめでとう!!


大地震、記録的な大型台風の連続接近・上陸など、フィリピンは昨年末からコロナ禍に加え、自然災害や気候変動の影響も受けており、ミンダナオ島に限らず、フィリピン全土で医療崩壊・災害復興・食糧危機・教育の遅れなどの困難な状況が続いています。そのため、当団体では本プロジェクトの他にも、「フィリピンのコロナ禍でマッサージ業を失業した、視覚障害を有するマッサージ師の再就職支援」「フィリピンのコロナ禍で作物などを売る場所や仕事を失い、極度の貧困状態に陥っている、アエタコミュニティへの食糧支援」など、フィリピン国内のコロナ禍で深刻な影響を受けた方々への支援活動も、フィリピン各地のパートナー団体と協力して継続しています。

 

工事がこのまま順調に進むかどうかまだわからない状況ですが、現地から続報が入り次第、進捗報告第二弾をお知らせします。

引き続きのご協力・ご支援をどうぞよろしくお願いします。