【報告】【NWC x ジェンダー不平等】しゃべり場:松岡さんと考える!イマドキのジェンダーの在り方(WE Are The Movement)

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、
2020年度より大東建託グループみらい基金さまからの助成を頂き、
ソーシャルアクションイベントを開催することを応援する
「We Are the Movement」プロジェクトを実施しています。

 

プロジェクトメンバーからイベント報告が届きましたのでお知らせします。
イベント募集時のブログはこちら


私たちは、静岡県沼津市にある加藤学園暁秀中学校・高等学校で活動するボランティアクラブのNational World Committeeです。3月22日に、オープンリーゲイであり、政策や法制度を中心としたLGBTに関する情報発信などを行っている松岡宗嗣さんをお招きして、オンライン対話会(質疑応答)を40分ほど行いました。

イベントフライヤー(学校ブログより引用)

 

短い時間でしたが、参加者のみなさんから多数の質問があり、あっという間に時間が過ぎていきました。

 

Q.性のあり方に対する固定観念がある人に対して、どのようなアプローチをとるべきか。

A. 朝日新聞の同性婚に関する世論調査によると、10代、20代の人々の86%が同性婚に賛成する立場をとっているのに対し、70代以降の同性婚に賛成する立場をとる人々の割合は37%にとどまっている(同性婚、法律で「認めるべき」65% 朝日新聞世論調査:朝日新聞デジタル)。このように年齢によって同性婚や多様な性に対する捉え方のギャップが、現在の日本では大きい。これはあくまでも一つのデータであり、個々で性に対する捉え方は違う。しかし、一番大切なのは、LGBTの人々を身近に感じてもらうことである。顔の見えない、LGBTの人の話を聞くことが、恐怖感につながることはやむをえないことだが、自分の身近にいる人でLGBTの人がいると、やはり捉え方が良い方向に変化する。

しかし、家族だからといって自分の性を認めてもらわなければならないということではないため、例え自分の性が受け入れられなかったとしても、自分を責めずに、逃げるという選択肢があることを当事者伝えたい。ただ、そのような多様な性の存在を受け入れられない人々が例え、LGBTの人々に対して気持ち悪いなどのネガティブな感情を抱いており、それは致し方ないとしても、その感情をそのまま声に出すことに対しては、アライなどが声をあげて活動していかなければならない。

 

Q.パートナーと公の場所で歩く際、みんなの目が気になることはあるのか。

A.外を歩いている時に、手をつないで歩くことができず、また、人の気配がすると手を離してしまうこともある。このように、ゲイであることをオープンにしている松岡さん自身でも、差別を内面化してしまっている。また、パートナーと以前、外出した際に、周囲の人から笑われたことで、まだまだ社会は多様な性を認める環境が整っていないことを実感した。

 

Q.全ての人が平等で生きやすい社会にするためには、私たちは何を意識すれば良いのか。

A.当事者である人も、同じような境遇にある人々を傍観してしまうこの社会で一番大切なことは、今生きている場所で、誰か追いやられたり、いないことにされている人はいないかということをいつも考えることである。人間がグループになっていると、その人の意見が通りやすくなってしまう。そのような時こそ、理不尽にマイノリティとして扱われている人の声を通りやすくできるような行動ができると良い。例えば、学校の先生が率先してマイノリティを差別するような態度をとっている時には、それを指摘するなどの行動があげられる。そのような行動を起こすことは難しいけれども、それが、マイノリティとされている人たちの勇気につながる。

 

【ワークショップを実施してみて】

ワークショップの最後には、参加者のみなさんに振り返りをしてもらいました。振り返りでは、これまで持っていた固定化された考えを変えるきっかけとなった企画であった、というコメントが多くありました。以下が参加者のワークショップを参加した感想や振り返りの一部です。

  • 色んな人が同じ社会で生きているという「共生」という視点で行動していきたいと思いました。
  • 松岡さんの話を聞いて、今の自分にもできることがたくさんあるなと思いました。
  • 「LGBTQを認めよう」という意識より「元々ある多様な性についての理解を深める・正しい知識を身につける」ことが本当に必要なことなんだと思いました。
イベントで使用した振り返りシート
学校ブログより引用)

 

今回の企画で、私たちのWe are the Movement のプロジェクトは終了しますが、これまでの活動を踏まえて、今後ともジェンダーに関する活動を続けていきたいと強く感じています。一連の活動で、私たちは多くのことを学びましたが、その中の大きな学びの一つとして、「行動してみることが正解を知る近道である」ことが挙げられます。私たちがジェンダーの活動を始めたきっかけは、NWCのメンバーの1人が発した「学校にジェンダー不平等で悩んでいる人なんていないんじゃない?」という意見に疑問をもったことでした。リーダーである私は、この発言に違和感を覚え、その場でそのメンバーの意見に反論はしたものの、そのような声を自分の周りで聞いたことがなかったため、今ひとつ自分の考えに確証を持つことはできませんでした。しかし、一連の活動の中で、学校の生徒・教師に質問をし、生徒会とディスカッションをする中で、自分の身近にジェンダー不平等を感じ、苦しみ、悲しみや怒りを感じている人々がいることを知り、驚きました。それと同時に、そのような人々がマジョリティやマジョリティを優先するコミュニティの雰囲気に飲まれ、周囲の人々に相談することができていない現状に気付かされました。今回の企画で、「マイノリティの声が通りやすい環境作りが大事である」と松岡さんがおっしゃっていたように、ジェンダー不平等の問題に限らず、マイノリティの立場に置かれた人々が理不尽な環境に置かれていた時、違和感に気づいた人々はすぐに、彼らに寄り添ってあげることが必要です。なぜなら、マジョリティの非道徳的な行いは、マジョリティに属する人々にしか解決することができない問題であるからです。マイノリティのために声をあげるような行動は、マジョリティに大きな力を持つ風潮があるこの社会においては、勇気のいることではありますが、何も間違っていることではないこと、むしろ正しい行いをしていることを自覚しなければなりません。正しい行いこそ、自信を持って行うべきことであり、NWCのメンバーもこれから、マイノリティに寄り添うことができるような活動を行っていきたいと思います。

 

・主催

National World Committee

Instagram @nwc.0901


質問等ございましたら、お気軽にこちらのメールまでご連絡ください:手紙:
nationalworldcommittee□gmail.com
※□を@に変更してご連絡ください。

 

※この企画は、大東建託グループ みらい基金の助成、認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの
運営補佐のもと実施されている、WE Are The Movementの一環として開催されています。

https://ftcj.org/we-movement/wearethemovement