【報告】WE TALK “SOCIAL” Vol.10 人身取引について考えるワークショップを開催!

7月19日に、WE TALK “SOCIAL” Vol.10を開催し、小学校5年生〜大学生40名以上の方にご参加頂きました。

 

今回のテーマは「子どもが売り買いされない世界を目指して」

―人身取引はどうして起きているのだろう?

―人身取引をなくすためにわたしたちにできることはなんだろう?

この2つの大きな問いを中心にワークショップが行われました。

 

前半は、長年人身取引問題に取り組んできた当団体理事・中島早苗が、ケースストーリーを交えながら人身取引の現状について紹介しました。後半は、グループに分かれ、人身取引が起きる要因や問題解決のために今わたしたちにできることについて話し合いました。今回は小学生から大学生まで、年齢が幅広く多様な意見を聞くことができました。参加者の中にはすでに募金活動やフェアトレード商品の販売などのアクションを起こしている方もおり、他の参加者も同年代の活動の話に興味津々…よい刺激がありモチベーションの上がるワークショップとなりました。

 

ディスカッション

「人身取引をなくすために今わたしたちに何ができるか?」

<意見>

  • 友達や家族に話す。
  • ポスターで啓発。
  • SNSで周りの人に知らせる。
  • フェアトレード 商品を売って寄付する。
  • この問題に取り組んでいるNPOに寄付をする。
  • 児童労働や性産業などについて勉強する。
  • もっと調べたい。
  • 書店や図書館などの目につく場所に人身取引についての本を置く。
  • 自分の好きなこと(絵、歌)を通して発信する。

 

参加者アンケート
<
印象に残ったこと>

  • 人身取引の数の多さ。世界で4000万人という数字は想像以上だったので、かなり驚いた。
  • 日本でも人身取引が行われているということ。私たちは、安全と思っているのは、少し違うとも思った。 世界を見ながらも自国について知ることが大切だと思った。
  • 人身取引問題に、多くの問題が複雑に絡み合っていること。
  • 自分と同い年くらいの子供が苦しんでいること。
  • 被害者を守るべき警察などが、賄賂で犯罪者を見逃すというあってはならないことが平然と行われていることに衝撃を受けた。

 

<感想>

  • あまり詳しくなかったのですが、とてもわかりやすく多くのことを学べた時間でした。ありがとうございました。
  • 思っていたよりも身近で児童売買は行われていたという事実にとても驚きました。自分一人にできることは少ないけれど、世界で起こっていることを知ることから始めていきたいです。
  • 私はグループディスカッションがとても良かったと思った。これによって、私が気づかないような発見をすることができたり、違った見方をすることができた。また、今回同じグループになった人たちは、とてもこの分野について深い考えを持っていた。だから、私はその人たちの意見を聞いて、自分の意見をより深めることができた。
  • WEという言葉は、とても希望があると思いました。自分が1人では解決出来ないことでも、みんなで力を合わせることで小さなことから解決へ導けるのは、とてもすごいと思いました。
  • 日本も自分のように幸せな子どもばかりではないということをしっかりと認識し、自分がいいからではなく、自分に何ができるかについて考える事がやはり1番大切だと思いました。
  • なかなか人身売買に関するフォーラムやディベートはないのですごくありがたい機会となりました。今後の研究にもぜひ役立たせていただきます。

<質問への回答>

☆Q1~4の回答は、動画内(53:50~)で詳しく述べていますので、こちらでは概要だけ載せておきます。

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Q1. 統計は、犯罪歴などから調べるのですか?

A. 人身取引の件数は、捕まった犯人の数ではなく、警察などに保護された被害者の数です。中には犯人を捕まえられなかったケースもあります。

 

Q2.人身売買の主な人数はどのようにして推定されているのですか?

A. 一件一件全て調査することはできないので、一部の地域を対象に人数における被害者の割合を調べて、予想を立てています。しかし、臓器売買などは秘密裏に行われ、なかなか表には出てこない場合が多く、実は統計をとるのがすごく難しいです

 

Q3. 日本の人身取引事件の被害者の推移というグラフの中で、被害者数は平成17年が最多で、それ以降はさほど変わっていないと思います。しかし、平成17年には0だった被害者数のうちの日本人の人数は、近年増加傾向にあります。日本人の人身取引被害者数が増えている背景にはどういったことがあるのでしょうか?

A.実は世界的に人身取引の被害者数は増えている傾向にあります。理由の一つとしては、以前よりも被害者を保護する体制が整い、昔よりも実数に近い人身取引の件数を把握できるようになったことがあります。またサイバーポリスによりネット上から児童ポルノなどの人身取引を検挙できるようにもなりました。ただ、実際に件数またはそれ以上の被害者がいることは確かなので、明らかにするだけでなく、しっかりと無くしていくために動く必要があります。

 

Q4. 政府はこの問題に対してどのようなことをしていますか?

A. 民間ではなく政府だからこそできることとして、法律を作ることがあります。例えば、日本政府はビザの発行の種類を変えて、入国した人が人身取引の被害にあわないように取り締まったり、児童ポルノ禁止法を制定したりしています。国際社会から日本政府はもっとこの問題に取り組むべきだと指摘された過去を踏まえ、少しずつ改善していっています。

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Q5. どうして子どもたちはこんな感じで売らなければならないのですか?

A. アンケートでの質問ありがとうございます。「こんな感じ」という質問の意味は、子どもの性を売り買いする、ということかなと受け止めてお答えします。
どうして、子どもが心も体も傷つくようなかたちで働かないといけないのか、本当に悲しく許せないことです。でも、子どもの裸をみたり、子どもの体を触ったりすることは法律で禁止されていて、ばれたら捕まることはわかっているけれど、危険を冒してお金を払ってでもしたい、という欲望を持つおとなが世界中にいます。そういったおとながいる限り、また、そういったおとなからお金を取って稼ごうとするおとながいる限り、本当は自分の体や心を傷つけてまで働きたくない子どもの声は無視されています。子どもに限らず、弱い立場の人間の権利を無視し、奪って、お金儲けをしようと考える悪い組織やおとなたちを常に監視したりする必要があり、そのために一人ひとりが人身売買がある現実を知り、世界中の国が協力する必要があると思います。

 


アーカイブ動画を公開!

YouTubeにて講座の配信を開始しました。講座にはグループワークの時間が含まれますが、プライバシー保護のため、ディスカッションの時間はカットしての動画公開となります。是非この動画を使って問題について考えたり、家族や友達と一緒にディスカッションをしてみてください!


講座中に紹介されていた書籍について

今回の講座で講師役を務めた、当団体代表の中島の著作『フィリピンの少女ピア -性虐待をのりこえた軌跡-』はオンラインショップで販売していますので、人身取引の問題に興味を持った方はぜひご一読ください。販売価格の2割が世界の子どもたちを支援するための活動に使われます。

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