PREDA基金代表 7月2日カレン神父コラムより

こんにちは、フリー・ザ・チルドレン・ジャパン事務局です。

FTCJのフィリピン支援事業の現地パートナー団体

PREDA基金の代表のシェイ・カレン神父のコラムから

情報をお届けします。

翻訳は、高校生メンバーの河合朝ちゃんが担当しました!

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カレン神父マニラ新聞掲載コラム 2010年7月2日

A Nation Crying Out for Justice

~正義のために、切に求められている国家とは

新たなフィリピンの大統領が、ここに誕生しました。

ノイノイ・アキノ氏は、「国民の希望」として困難な、しかしやりがいのある

任務にとりかかっており、また、汚職のないフィリピンを約束する内閣を

作り上げようとしています。その中で法務大臣に指名された、

レイラ・デ・リマさんの存在にはとくに、内閣をより一層素晴らしいものに

することに、大きな期待がかかっています。

リマ女史は、人権活動家、社会運動家のリーダーが犠牲になった、

数え切れないほどの世間を騒がす暗殺と殺人の裏にある首謀者を

暴くことに、勇敢にも力を注いだ、前人権問題委員会の長官でもあります。

リマ女史は、委員会の調査を頑なに拒む警察や軍隊に向かっていく、

大変勇敢な女性でした。しかし委員会に対し、裁判官がダバオ事件に

対する捜査令状を出さなかったことにより、委員会はその捜査を許されず、

より窮地へと立たされる結果となりました。

その事件について、ダバオでは、戦いの末に裸の女性や子どもの

体の部分が発見されたと報じられています。

アキノ大統領による明るい未来を目指す新しい行政への一歩として、

社会的弱者の保護を優先されることが期待されています。

殺人集団と暗殺者たち、そして、本来市民を守るべき立場にいるにも

関わらず加害者行為をしている人々が侵す、甚大な被害を

生み出ているる人権問題にも、まもなく終わりがくることでしょう。

前アロヨ政権の元ではびこっていた、殺人集団といったものに対する

無処罰を考え、新ノイノイ・アキノ大統領政権は、

米国海外軍事教育機関(IMET)のフィリピン軍隊や警察への教育方法と

訓練方法を見直す見通しとなっています。

数百人もの警官と軍人は年に一度、ここおよび海外で訓練されています。

しかしその訓練内容は、過激な武装、残虐性、そして社会活動に反する

にもかかわらず、「極端な先入観」と共に植えつけられた、好戦的な殺し方

というものを教えこんでいるように見られ、さらに神父や、その訓練内容に

対し反対運動を行う人々は、独断的にアメリカの敵としてみなされるという

事態にさえなっているのが現状です。警察や軍人の本来もつべき

役割である、善良な市民や哀れな被害者たちのために法をふるい、

全力で守り抜くというその姿勢は、知らぬ間に失われてしまったようです。

人権の尊重問題は、訓練議事にすらのぼらず、この分野こそが、

改革を求められているものの一つといえるでしょう。

エイラ・デ・リマ大臣は、最も骨の折れる職務を担っています。

リマ大臣は、有言実行ではっきりとした優先順位作り上げました。

まず、第一に公平で正直な、賢く、法を順守する、誠実な人間である

検察官を増やす事が期待されています。これらの検察官は、

虐待を受ける女性やこども、人権侵害、そして悪質な犯罪を受けた

犠牲者たちの保護に全力をつくす者であり、法に抵触する子どもたちに

慈悲を与えもする存在でなければありません。

法務大臣であるデ・リマさんは、腐敗し無能であった検察官を一掃する

ことを目指しています。ここでの検察官は、性的虐待を容認する、

どれだけ決定的な証拠があったとしても訴えに見向きもしない、

そんな人々として知られています。これは彼女が計画していた改革であり、

過去10年間にわたる皮肉を取り除き、法務省内の人々の信頼を取り

戻すことにもなります。法務省に所属する善良な人間は、利益追求

のために腐敗していった公務員によって個人の見解を押しつぶされることなく、

よりすぐれたことをするべく、素晴らしい機会を与えられるはずです。

私が一度一員であった、児童保護法における大統領委員会は、

無視されていた子どもの、搾取、虐待、人身売買、そして悪質な犯罪

などのケースを取り扱い、犯罪者を執念深く追跡していました。 

また彼らは、海外の性的虐待加害達を追いかけ、彼らを彼らの国々で

治外法権の下で有罪にもしました。

遠い昔、虐待に関する児童保護と正義が、司法省と市民社会の中で

優先事項として取り扱われていた輝かしい日々がありました。

しかし長く続くことはなく、買収による不正利益や政治家の汚職問題

といったものの保身が、それに代わり優先される時代となってしまいました。

フィリピンが世界の汚職国リストのトップにいるというのが、今の現状です。

今まで無罪放免とされた、莫大な数にもおよぶ人身売買、児童虐待と

児童拉致問題などのケースは、腐敗政治問題を映すなによりの証拠であり

しかしながらどうすることもできない問題であります。「オロンガポの恥」

である二人のアメリカ人が二人の10歳の子どもを4年間、性的奴隷として

扱っていた事例では、確かな証拠にも関わらず、容疑は否認されたままです。

彼らはそこから立ち去り、アメリカに戻ることが許されました。

申し立てによると、その二人のアメリカ人は、妊婦である15歳の娘を

彼らとともに連れて帰ったと言われています。被害者用に旅行書類の

推薦状にサインをした社会福祉開発省は、本来ならばそれについて

はっきりとした説明を行う義務がありました。

妊娠した子どもは、いったい今どこに居るのでしょう。

コラム(英語)URL:

http://www.preda.org/main/archives/2010/r10063001.html

翻訳:FTCJ翻訳チーム 高校生メンバー 河合朝