【インド発】債務労働者解放に向け全国調査を命令

2012年10月16日付 THE HINDUの記事を紹介します。

裁判所が債務労働者を解放するために新たな全国調査を命令
http://www.thehindu.com/news/national/court-orders-fresh-nationwide-survey-to-free-bonded-labourers/article4000135.ece

(翻訳協力:FTCJ翻訳チーム 中丸玲子)
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刑務所に収監された違法雇用主の事例はゼロ

 

インド国家人権委員会(NHRC)による多額債務労働者の2780もの事例報告を受け、インド最高裁判所は政府に対し新たな調査を行い、今なお救出を待つ労働者がどのくらいいるのかを確認するよう命じました。

 

K.S.ラーダークリシュナン判事とディパック・ミスラ判事の判事席は月曜日、「市民の自由のための人民連合(PUCL)」により申し立てられた公益利益訴訟(PLI)を解決する過程において、原告が裁判所に提出した証拠は債務労働者の窮状や搾取の実態を明らかにするものであるとし、事実確認と被害者のリハビリを行う必要があると述べました。また、「違法な雇用主が刑務所に収監されるような有罪判決を受けた事例はこれまでに一つもない」としています。

 

判決文において、ラーダークシュリナン判事は、債務労働者の苦境を強調する一方で、NHRCがこの裁判から適切な方向性を見いだせば、関係各州も委員会に準じてできるだけ速やかに措置を講じるだろうと述べました。

 

判事席はまた、新規調査をすべての州とインド連邦直轄領において3年に一度実施すべきだとし、修正された報告書、つまり調査の結果は、コンピューター化されたデータベースとして関連するホームページのすべてで閲覧可能にすべきだとしています。

 

調査実施の責任は地方監視委員会と地区監視委員会にあり、これらの委員会がNHRCに報告書を提出することになっています。

 

監視委員会は、債務労働者がはびこっている業種、例えば、レンガ窯工場、採石場、鉱山破砕作業所、巻きたばこ工場、カーペット織り、建設業、農業、さらに田舎でも都会でも、組織化されていない非正規業者、機械織機や綿の手織り機の織物工場、水産加工工場などすべてに注意を向けるべきだとの指示を受けています。委員会は違法行為が見受けられた場合には適切な措置を講ずるべきです。

 

大勢の子どもたちが家事手伝いとして働かされており、学校に通うチャンスは与えられていません。しかし、2009年の「無償義務教育に関する子どもの権利法(RTE 2009)の下、子どもの義務教育は1学年から8学年までです。地元村議会や地元組織はこうした子どもたちを見つけ出し、適切な教育を確実に受けられるようにしなければなりません。「家事手伝いとして扱いながら、自分の子どもと同じように食事、洋服、教育を与えている家庭もありますが、非常に稀なケースです。」と判事席は話しています。

 

不完全な方法論

州や連邦直轄領の多くが、債務労働者の事例はなかったと報告していました。これは調査の際に採用される方法論が起因しているのかもしれません。債務労働の識別方法についてのガイドラインをNHRCが制定した専門家グループのS.R.サンカラン議長が考案していますので、すべての州と連邦直轄領はこのガイドラインに従い、地元の状況に適応させながら実践していくべきです。

 

地区治安判事と州・連邦直轄領政府は、最低賃金法、労働者補償法、 州間出稼ぎ労働者(雇用及び役務条件)法、 児童労働(禁止及び規制)法が適切にかつ効果的に適用されているかを確認しなければなりません。

以上