あまり人が話したがらない(?) フェミニズムの話をしよう
クレイグとマークのコラムの紹介です。
「俺の人生を台無しにしたフェミニストをあの世へ..」1989年12月6日に発生した、モントリオール理工科大学虐殺事件(※事件の詳細については日本語の参考リンク参照)の犯人、レピーヌはこう遺書に書いています。
フェミニストという、一世紀以上前に登場したこの言葉は、女性の権利や平等の獲得を支持する人々の総称です。レピーヌのような差別主義者はこの言葉を全く違う意味で使いました。彼らにとっては、男性の地位と権利を奪い取ろうとしている女性のことなのです。(もちろん事実ではありません。)
最近、女性の権利を支持していてもフェミニズムやフェミニストを否定的に捉える人が増えています。これらの単語への誤解が広まっているようです。これは、性による不当な差別の無い社会を作る担い手である若者に間違ったメッセージを送りかねないことであり憂慮しています。
11月初旬、女優のサルマ・ハエックは、女性と少女の権利擁護の国際的な活動が認められ、フェミニズム系の国際人権団体から賞を授与されました。しかしその受賞式前のインタビューで、彼女は「自分がフェミニストではない」と発言しました。ハエックは「フェミニストというレッテル貼りを拒否する芸能人」の一人になったのです。(ダイバージェントに主演したシェイリーン・ダイアン・ウッドリや、スパイスガールズのジェリ・ハリウェルのように..)
彼らに強制的にレッテル貼りをするつもりはありませんが、「レッテル貼り」を拒否する背景を考えると、そう単純な問題ではないことが分かります。タイム誌のインタビューで、「男性の力や権力を取り上げて女性にそれを与えるという考え方が上手くいくわけがありません。世の中にはバランスというモノが必要ですから。」と語っています。残念ながら、多くの人がフェミニズムはこのように男女間の対決を意味する言葉だと思い込んでいるのです。男女が権力を巡り椅子取りゲームをしているようなモノだと..
しかし、北米での人種隔離の撤廃とマイノリティーへの公民権の拡充が、白人男性の権利を剥奪することにはなっていません。女性が投票する権利を得ることは、男性にとってなんの障害にもなりませんでした。それでは一体なぜ、男女の賃金格差の解消が男性の賃金の減少につながるという人がいるのでしょうか?女性のエンジニアを増やすことが、なぜ男性エンジニアを減らすことになるという人がいるのでしょうか?女性の問題を考えることは、男性が享受している権利を奪うことではないのです。フェミニズムが目指すモノは平等です。それ以上でもそれ以下でもありません。
もっと厄介なのは、マスコミで時代遅れで事実と違うフェミニズムのイメージを撒き散らしてフェミニズムのイメージを悪くしている芸能人の存在です。フェミニズムという単語を使い、フェミニストとレズビアンの人々を中傷した芸能人もいます。
男性社会にいつも批判的なフェミニストを挙げて、フェミニズムを批判する人もいますが、そのような言動がフェミニズムの全てかといえば、そんなことはありません。
影響力のある人が、フェミニストを否定すること自体に問題はありません。全ての人に思想と良心の自由がありますから。しかし、フェミニズムに否定的なイメージが広まれば、平等を求める運動そのものが否定されかねません。
そこで、平等を次世代に引き継ぐために、フェミニズムを再定義してみましょう。
女子も学校に通えるようになるべきだと思いますか?賃金格差は無くなり、会社の役員会議や国会では、今よりも女性の割合を増やし、男女が対等に発言できるようになるべきだと思いますか? 二人組の相手の内どちらかが性的な行為をしたくなければ、もう片方の相手の意向に関係なく拒否できるようになるべきですか?セクハラや暴力はあってはいけないと思いますか? もしこれらに賛同しているのであれば、性別に関係なくあなたはフェミニストです。モントリオールでの悲劇から25年になる今年、堂々とフェミニストになることを是非考えてみませんか?
参考リンク
英語
http://jezebel.com/salma-hayek-gets-award-for-womens-equality-says-shes-n-1655746211
http://jezebel.com/the-many-misguided-reasons-famous-ladies-say-im-not-a-1456405014
http://www.salon.com/2014/06/03/shailene_woodley_still_thinks_feminism_discriminates/
https://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0-123214
※記事の中では、フェミニズムに否定的な芸能人が紹介されましたが、フェミニズムを肯定的に捉える発言をした芸能人もいます。以下の記事を紹介します。
http://news.walkerplus.com/article/49877/ (歌手のテイラー・スウィフト)
http://www.huffingtonpost.jp/emma-watson/we-want-to-end-gender-_b_5871850.html (ハリー・ポッターシリーズでお馴染みエマ・ワトソンの国連でのスピーチ)
http://www.elle.co.jp/culture/celebgossip/taylor-swift-emma-watson_14_1002(エマ・ワトソンのスピーチへのテイラー・スウィフトのコメント)
(翻訳:翻訳チーム 清田健介)