Child Rights
子どもの権利

Child Rights
子どもの権利とは?
子どもの権利は、すべての子どもが生まれながらにして一人の人間として尊重され、自分らしく生きるために保障される基本的人権です。1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」では、18歳未満の子どもを権利の主体として位置づけ、おとなと同様に尊厳ある存在としています。 同時に、子どもが発達の途中にあることを踏まえ、年齢や成長段階に応じた特別な保護や支援も必要としています。条約では、子どもの「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」権利が体系的に示されており、すべての子どもが安心して成長できる社会の実現をめざしています。 日本でも2023年に「こども基本法」や「こども大綱」が制定され、子どもの権利を保障するための制度的な整備が進んでいます。
子どもたち自身の言葉で語られる「子どもの権利」の世界をのぞいてみませんか?
3分でわかる! 子どもの権利条約
女優・鈴木夢さんと子役・鈴木楽さん姉弟にナレーション担当いただき、子どもの権利条約ついて学べるアニメーション動画を作成しました。
子どもの権利条約 4つの原則
1.差別の禁止(第2条)
子どもの権利条約第2条1項では、「締約国(ていやくこく:条約を守ると約束した国)は、その管轄内にある子ども一人ひとりに対して、子ども又は親もしくは法的保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的・民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位にかかわらず、いかなる種類の差別もなしに、この条約に掲げる権利を尊重しかつ確保する。」と定めています。
2.子どもの最善の利益を考える(第3条)
子どもの権利条約第3条1項では、「子どもに関わるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関、または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。」と定めています。
3.生命・生存・発達の権利を守る(第4-10、14、18、20、22-32、42条)
子どもの権利条約第6条1項、2項では、「1.締約国は、すべての子どもが声明への固有の権利を有することを認める。2.締約国は、子どもの生存および発達を可能な限り最大限に確保する。」と定めています。
4.子どもの意見の尊重(第4、12-17条)
子どもの権利条約第12条1項では、「締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表現する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。」と定めています。
子どもの権利条約 Q&A
子どもの権利条約ってどうやってできたの?
今から300年前のヨーロッパでは王様やお金持ちの貴族がいばっていて、人々を支配し不平等な時代でした。でも、そういった状況はおかしい!と人々が異を唱え、立ち上がり、18世紀後半には「人間は、すべてひとりひとり平等で、自由や幸せを求める権利を持っている。」という考え方が広まっていきました。こうして、フランスでは人権宣言が1789年にでき、アメリカでも人民の権利と平等をうたい政府をつくっていきました。しかし、この当時は、おとなの男性にのみ権利が認められ女性や子どもには権利は認められていませんでした。
その後、第一次世界大戦がおこると、たくさんの子どもが殺されたり家を失ったりして犠牲になりました。こうしたことを反省し、国際平和のために「国際連盟」が設立されました。「子どもを守るのは人類全体の責任である」と考えられるようになり、1924年に世界で初めて子どもの権利に関することが盛り込まれた「ジュネーブ宣言」がつくられました。
しかし、1939年になると第二次世界大戦がはじまってしまい、戦争によって再び多くの子どもが世界中で犠牲になりました。終戦後の1945年に、戦争をもう二度と起こしてはいけないと世界は国際平和を誓い、新たな組織「国際連合(国連)」が設立されました。そして、世界人類共通の幸せのために、「世界人権宣言」が1948年に、子どもを権利の主体ととらえ、子どもにとっての最善が何かをまとめた「子どもの権利宣言」が1959年に国連でつくられました。それでも、世界では争いや貧困のために搾取され、物のように売り買いされ、虐待を受ける子どもがたくさんいることが国際児童年の1979年に、国連で報告されました。
こうした背景から、世界の子どもの幸せの実現のためには、「宣言」ではなく、各国政府に法的な義務が生じる「条約」にしよう、と提案され、世界の人々が国連に集まって10年以上かかって1989年11月20日にできたのが、「子どもの権利条約」です。国連総会に集まった全ての国が賛成して、採択(さいたく:意見や案を良いと思って選ぶこと)されました。
子どもの権利条約ってどんな内容?
世界中の全ての子ども(18歳未満)が、子ども時代を自分らしく健康的に安心してゆたかにすごせるよう54の条文が書かれています。子どもの権利を守るための、国(政府)の義務、親や社会、子どもの役割、子どもが持つ特有の権利などについて記されているのです。
条約を守るって約束した国はどのくらい?
2021年11月現在、アメリカ合衆国を除く、世界中の196の国と地域が「子どもの権利条約」に賛同し条約を受け入れると約束しています。このように、国(政府)が条約に賛同し条約の内容を守ると約束することを「締約(ていやく)」といいます。締約国は、法的に条約を守り報告をする義務があります。一覧:国連HP(英語)
締約国が、やらなければいけないことって?
「子どもの権利条約」を批准(ひじゅん)などして締約した国や地域は、国内で子どもの権利が守られているかどうかを、定期的に「子どもの権利委員会」に報告書を提出しなければいけません。子どもの権利委員会とは、子どもの権利条約がきちんと守られているかを調査するところです。18人の専門家から構成されています。この委員会に国や政府は、条約を締約した2年後に最初の報告書を提出します。その後は5年ごとに提出することになっています。
Background
活動の背景
日本においては子ども自身はもちろんのこと、多くの大人や教育関係者も子どもの権利について正しく理解されておらず、権利が十分に守られていない現状があります。
私たちは、12歳のクレイグ少年によって設立され、「子どもは助けられるだけではなく、変化を起こす担い手である」ことをモットーとしていました。この理念は、子どもの権利条約の第12条「意見を表明する権利」に基づいています。
文部科学省の調査などでは、子どもの権利条約の内容を知らない教員が一定数存在し、子どもの権利が日常の学校現場で十分に守られていないケースも報告されています。さらに、子どもの権利が守られないことで、いじめや虐待、差別といった問題が深刻化し、子どもたちの心身の健全な成長が阻害されることも多いのが実態です。このような課題に対応するため、FTCJは子どもの権利の普及と実践を推進し、子どもたちが自分の声を持ち、社会の一員として尊重される環境をつくることを目指しています。子どもが主体的に社会の変化に関わることで、よりよい未来を共に築くことができると信じています。
Our activity
私たちの活動
私たちフリー・ザ・チルドレンは、子どもに寄り添い、その声に耳を傾け、声をあげられる力を育むことを大切にしています。子どもが「わたしの声には力がある」と感じられるように、そして、おとなが「その声に応える責任がある」と気づき、子どものパートナーとして向き合えるように様々な活動をしています。






Towards Realization
実現に向けて
すべての子どもは、生まれながらにして権利をもち、尊重されるべき存在です。 その当たり前が、まだ届いていない場所があります。 私たち一人ひとりの選択や声が、子どもたちの未来を変える力になります。 知ること、伝えること、動くこと——その一歩が、権利の実現につながります。

授業用教材
SDGsや子どもの権利について学べる資料やワークショップ教材(無料・有料)を提供しています。
・児童労働シミュレーションゲーム
・子どもの権利条約条文一覧(FTCJ監訳、全ルビ付き)
・スピーチから考える子どもの権利
・写真でのぞいてみよう-世界で働く子どもの生活


ティーンボイス活動
子どもたちの声を社会に届けるための活動を支援しています。10代の子どもや若者がコロナ禍の対策を振り返り、良かった点や改善すべき点を検証する「ティーンボイスプロジェクト」を、国立成育医療研究センターと一般社団法人Everybeingとともに実施しています。