【保健支援】ケニア・バラカ診療所の近況報告
事業報告/支援地域レポート

【保健支援】ケニア・バラカ診療所の近況報告

2025.11.26

パートナー団体:WE Charity Foundation(以下WCF)から、ケニアの支援事業地域にて運営しているバラカ診療所の近況報告が届きましたので紹介します。

English version: (準備中)

バラカ診療所の詳細はこちら


バラカ診療所では、30日(1か月)間で1,600件の外科手術を行う一大プロジェクトを始めました。毎日、開院から閉院まで6件の外科手術を並行して行っています。

今回は、北米などから医療の専門家を招き、従来の人員体制ではできなかった難しい手術・処置などの高度な医療・先進医療を提供する取り組みを行うことができました。

例えば、視力の低下した高齢者の視力回復、女性の瘻孔(ろうこう)の治療によって、多くの人々の尊厳・希望を取り戻すことができました。

(用語補足)瘻孔(ろうこう)
本来分かれているはずの器官・臓器に穴ができたり、付近の器官・臓器と繋がったりしてしまうこと。開発途上国の女性の場合、医療の整備がまだまだ不十分なことから分娩が難産になりやすく、この余波で膣・尿道・直腸のいずれかに穴があいたり、繋がったりしてしまうケースが多い。常に排泄物が自分の意思に関係なく体外へ漏れて不潔な状態になってしまうため、患者本人の尊厳・QOL(生活の質)が大きく損なわれてしまう。

高齢者へのレーシック手術 (C)WCF, FTCJ

手術チームのスタッフ、看護師、コミュニティヘルスワーカー、キサルニ・レガシー・カレッジからの研修看護師などの病院スタッフが、前夜から朝6時にかけて夜通し徒歩で通院してきた、何百人もの患者さんたちを出迎えています。

(用語補足)コミュニティヘルスワーカー
医療関連の資格は有していないが、開発途上国で国や自治体が定めた医療教育・研修を受け、保健医療サービスが行き届きにくい地域で、病気の予防・対処方法を啓発したり、患者と病院を繋いだりする人のこと。

 

診療所のスタッフ (C)WCF, FTCJ
遠方から徹夜・徒歩で通院してきた患者さんたち (C)WCF, FTCJ

 

特にシェアしたい出来事

・産婦人科で出産中に子宮破裂が発生したが、待機していた手術チームの迅速な処置のおかげで、母子ともに無事でした。

(用語補足)子宮破裂
出産中に子宮の一部が破れたり・裂けたりしてしまうこと。発生確率こそ低いが、母体側の大量出血で母子ともに死亡したり、酸素・栄養供給の減少で産まれた子どもに重い障害などが残ったりするなどの極めて危険な状態に陥るため、発生した場合は帝王切開、子宮全摘出などの緊急手術・輸血などが行われる。

・資金提供者(支援者)の一人であるマイケル氏がバラカ医院を訪問した際、手術後の回復期で入院中だった患者のジョセフさんと意気投合しました。この出会いに心動かされたマイケル夫妻は、ジョセフさんへの敬意を表すため、もうすぐ生まれてくる彼の息子をジョーイと名づけることにしました。

ほかにも数えきれないほどの出来事、エピソードがありますが、こうしたバラカ医院での取り組み・物語を通じ、地域の人々が見守られ、癒され、地域全体が深い思いやりの心で一つになりつつあると感じています。


本事業へご寄付いただいた皆さまのご支援・ご協力に心より感謝申し上げます。

ケニア支援事業へのご寄付はこちら


関連コンテンツ

医療ボランティア研修が育んだ、国を越えた医療への想いと、医療従事者同士の絆

 


(用語補足箇所の参考・引用)・外務省HPhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ngo_m/africa/kenya/140127.html・日本赤十字社HPhttps://www.jrc.or.jp/international/news/2025/0430_046651.html
・こそだてハック((株)エバーセンス)「子宮破裂とは?原因と症状、兆候は?過去の帝王切開の影響?」(2021年6月21日)
https://192abc.com/44673