【保健支援】ケニア・バラカ病院の近況報告(1/2)
パートナー団体:WE Charity Foundation(以下WCF)から、ケニアの支援事業地域で運営している「バラカ病院」の近況報告が届きましたので紹介します。
English version: https://ftcj.org/news/49809/
▼バラカ病院とは・・・
ケニアの村では病院が少なく、十分な医療を受けられない人が多く、病気や栄養不足、赤ちゃんの命が守られないことが問題になっています。こうした問題をなくすために、2010年にマサイマラ地区にバラカ病院が作られました。ここでは地域の人たちが必要な医療を受けられるようにしています。
バラカ病院では、30日間で1,600件もの外科手術を実施する大規模プロジェクト「期間限定の外科手術支援」を11月から開始しました。毎日、開院から閉院まで途切れることなく6件の手術を並行して行っています。
今回、ケニア国内で豊富な経験を持つ外科医師や医療スタッフを迎えたことで、従来の体制では対応が難しかった高度で専門性の高い医療を提供できました。
新たに加わった外科医師たちは、視力回復手術、甲状腺切除術(こうじょうせん せつじょじゅつ)、瘻孔修復術(ろうこうしゅうふくじゅつ)など、地域で強く求められている分野において確かな実績を持っています。
例えば、視力を失いかけた高齢者が再び光を取り戻したり、女性が瘻孔(ろうこう)の治療によって尊厳と希望を回復したりと、多くの人々の人生に新しい可能性を開くことができました。
(用語補足)瘻孔(ろうこう)
本来分かれているはずの器官・臓器に穴ができたり、付近の器官・臓器と繋がったりしてしまうこと。開発途上国の女性の場合、医療の整備がまだまだ不十分なことから分娩が難産になりやすく、この余波で膣・尿道・直腸のいずれかに穴があいたり、繋がったりしてしまうケースが多い。常に排泄物が自分の意思に関係なく体外へ漏れて不潔な状態になってしまうため、患者本人の尊厳・QOL(生活の質)が大きく損なわれてしまう。

手術チームのスタッフ、看護師、コミュニティヘルスワーカー、キサルニ・レガシー・カレッジからの研修看護師などの病院スタッフが、前夜から朝6時にかけて夜通し徒歩で通院してきた、何百人もの患者さんたちを出迎えています。
(用語補足)コミュニティヘルスワーカー
医療関連の資格は有していないが、開発途上国で国や自治体が定めた医療教育・研修を受け、保健医療サービスが行き届きにくい地域で、病気の予防・対処方法を啓発したり、患者と病院を繋いだりする人のこと。


特にシェアしたい出来事
・産婦人科で出産中に子宮破裂が発生したが、待機していた手術チームの迅速な処置のおかげで、母子ともに無事でした。
(用語補足)子宮破裂
出産中に子宮の一部が破れたり・裂けたりしてしまうこと。発生確率こそ低いが、母体側の大量出血で母子ともに死亡したり、酸素・栄養供給の減少で産まれた子どもに重い障害などが残ったりするなどの極めて危険な状態に陥るため、発生した場合は帝王切開、子宮全摘出などの緊急手術・輸血などが行われる。
・資金提供者(支援者)の一人であるマイケル氏がバラカ病院を訪問した際、手術後の回復期で入院中だった患者のジョセフさんと意気投合しました。この出会いに心動かされたマイケル夫妻は、ジョセフさんへの敬意を表すため、もうすぐ生まれてくる彼の息子をジョーイと名づけることにしました。
ほかにも数えきれないほどの出来事、エピソードがありますが、こうしたバラカ病院での取り組み・物語を通じ、地域の人々が見守られ、癒され、地域全体が深い思いやりの心で一つになりつつあると感じています。
本事業へご寄付いただいた皆さまのご支援・ご協力に心より感謝申し上げます。
関連コンテンツ
・こそだてハック((株)エバーセンス)「子宮破裂とは?原因と症状、兆候は?過去の帝王切開の影響?」(2021年6月21日)
https://192abc.com/44673