「誰も取り残さない社会」を本当の意味で実現するために、クレイグとマークが取り組むべき課題

フリー・ザ・チルドレンは、共生社会の実現を目指し様々な

取り組みを国内外で行っています。しかし、その実現はま

だ道半ばであることも事実。団体創設者のクレイグとマー

クは、これまで執筆してきたコラムの、「多様性の欠如」を

自己批判しています。(清田)

 

https://www.we.org/stories/we-founders-craig-and-marc-kielburger-pledge-to-highlight-more-women-voices-in-media-on-international-womens-day/

先月、アメリカのアトランティック誌の科学部の記者である

エド・ヤングが、自身が過去2年間に書いた記事を精査し

て、ジェンダーバランスを調べたという記事を書いていま

した。この2年間でインタビューをした人、情報源となって

くれた人たちが、偏った属性の人たちではなく、様々な立

場の人たちから話しが聞けたのかを調べるためです。私

たちも、よく多様性について書いたりしているのですが、

「このコラムのジェンダーバランスとかどうなっているんだ

ろうか?」と、この記事を読んで気になってしまったのです。

 

そこで、2017年のはじめまでさかのぼって、過去のコラム

(※このブログで翻訳していないものも含む)をチェックして

みました。といっても、私たちは、ヤングのように、名前を

集計するといったような科学的な調査はしてないのです

が、それでも一つの大きな考察を得られました。私たち

のコラムには、明らかに改善の余地があります。

 

過去14カ月、私たちがこのコラムのためにインタビューした

人たちのうち、女性の割合は40%弱に留まりました。女性の

声をメディアにより多く反映することを目指すNPO[Informed

opinions]の創設者シャリ・グレイドンによれば、この数値は、

カナダ全体のメディアの平均値より10%高いそうです。

 

紙媒体やテレビ(新聞の記事やニュース番組)において、男

性がより多く扱われているというのは今さら驚くべきことで

はありません。女性がカメラの前にいる時間は短く、女性

のコラムニストも男性より少ないです。男性は、実質的に

メディアの権力を握っているだけではなく、その脇もがっち

りと固めています。より具体的にいうと、専門家やインタビ

ューされる人たちのことです。カナダの新聞記事、テレビや

ラジオで取り上げられるインタビューや専門家の意見など

は、70%が男性から発せられています。

 

毎日見ているニュース番組の顔になっているのは男性であ

ることが多いということは、みなさんも感じていることかと思

います。そのニュース原稿を書いた人、インタビューしてい

る専門家なども、男性であることが多いのです。

 

私たちは、このコラムで、私たちが重要だと考えている問題

を取り上げています。「平等な社会をつくる」ということも、主

要テーマの一つです。しかし、それだけでは不充分です。も

っと多くの声を聞き、取り上げていく必要があります。

 

グレイドンとの対話の中で、私たちが数値以上に引っかか

ったことは、女性の声が取り上げられることが、どのような

分野の記事で少ないかということです。科学界や経済界、

国際関係の分野の記事で、女性が紹介されることはあまり

ありません。人権法に精通した女性の弁護士や、サスティ

ナビリを重視した事業を展開している女性の実業家はいま

す。が、このような分野を伝えているメディアの上層部に、

女性があまりいないのです。

 

#MeTooがハリウッドやワシントンを駆け巡り、その波が映

画業界外にも波及しています。この目まぐるしい状況の変

化は、もはや誰にも無視することはできません。変化や状

況の改善を求める女性たちの訴えは、歴史的にみても、こ

れまでずっと社会から無視されてきました。しかし、もうその

ような状況がまかり通る状況は許されません。私たちの社会

はいま、大きな転換期を迎えているのです。

 

私たちは、この変革の波を、テレビや映画、新聞、家庭の

本棚にも波及させることができるでしょう。全国の家庭で、

女性の作家が書いた本や、女性の映画監督が撮った映画

を楽しみましょう!

そして、私たち自身も、果たすべき責任を負っているという

ことを自覚し、その責任を果たすため、改善に向けて取り

組むことをお約束します。

 

私たちは、二人とも白人男性です。この私たち兄弟の個人

的なバックグラウンドが、同じようなバックグラウンドを共有

し、同じような特権を共有している人たちへのインタビュー

や取材を容易にしており、結果的にこのコラムで紹介され

る意見や見方に偏りが出ているるという事実は、認めざる

を得ません。しかし、私たちはそのような行動を取るように

育てられてはいませんし、このような偏りを黙認した状態の

まま、このコラムを書き続けることは望んでいません。私た

ちは、多様な意見や見方を紹介するべきなのですから。

 

私たちは、性別を問わず、全ての人が取り残されない社会

をつくっていくために、私たちの範囲でできることをやってき

たつもりでした。しかし、問題を取り上げているだけでは不充

分なのです。このようなコラムを書いている以上、どのような

かたちで意見や考え方を紹介できているのか、より多くの声

を紹介できているのかということについても、気を配るべきだ

ったのです。

 

「ただ上辺だけで、平等や多様性を大事にすると言ってもダ

メなのです。」グレイドンが言ったこの一言を、私たちは噛み

しめて改善に取り組み続けます。「丁寧に自分たちの現状を

見ない限り、真の変化を起こすことはできません。」

 

先週の木曜日は国際女性デーでした。今回書いた問題の

改善に取り組む始めるタイミングとして、今ほど良い時期は

ないと思っています。

参考リンク
今回紹介されたエド・ヤングの記事。過去2年間の取材者

全体のうち、女性は3割程度だったことを自己批判している。

 

https://www.theatlantic.com/science/archive/2018/02/i-spent-two-years-trying-to-fix-the-gender-imbalance-in-my-stories/552404/

 

(英語)

 

#MeTooについて

 

http://diamond.jp/articles/-/146450