ヤギとキスするのはだーれだ?

世界を良くするためにアクションを起こす方法はいろいろあります。

今回ご紹介するのは、ヤギとのチャリティーキスコンテストを行ったカナダの学校の取り組みです。(清田)
https://www.we.org/stories/educator-uses-kiss-a-goat-challenge-to-raise-funds-for-international-development/

 

去年の春、マニトバ州イースト・セントポールのBird’s Hill Schoolで先生をしているクリスタ・ワズニーは、子どもたちがワクワクして募金活動ができるような新しい方法を模索していました。

 

クリスタは、5年生を対象に6年間彼女の学校のSupport People in Need(SPIN)の社会活動クラブを指揮して来ました。

毎年、20~30人の子どもが、ぜひこのクラブに参加して、いじめ撲滅、ホームレス、環境、貧困と言った関心のある社会問題に取り組んでいきたいと、この彼女のクラブに参加してきました。

 

どのキャンペーンも前の年と比べて違うと確信できることが、クリスタにとって重要な点だったのです。WE Walk for Water(水を簡単に手に入れることができない人々について学ぶためのWE(フリー・ザ・チルドレン)のイベント)の6月のキャンペーンとして、長い道を歩いて水汲みに行かなければならない人々がいることの認識を高めようと、彼女は生徒たちをグループに分けて学校から1キロほどのところにある水溜まりの砂利採取場に連れて行きました。

気温30度のうだる暑さの中、生徒たちはそれぞれ4リットルのミルクポットをくぼみの水でいっぱいにして、砂利採取場から学校まで運んで帰りました。

 

「このキャンペーンの素晴らしいところは、子どもたちにあるのです―低学年の子どもでさえ、私たちがしているキャンペーンによって、SPINクラブのことを知っているのですから」とクリスタ。「だから、5年生になるまでに、このクラブに入ることに関心を持つのです」。

チャレンジ

 

WE Village のパートナーのコミュニティの経済支援をするプログラムの資金を集めるために、生徒たちが余分のおつり集めを呼びかけるWE Create Changeのキャンペーンが、5月にめぐって来た時、クリスタは生徒たちを励まして何か楽しいことをやりたいと思いました。

そこで彼女は、3年前に初めてしたイベント「ヤギにキスのチャレンジ」 をやることにしました。

 

学校集会の期間中に学校の職員のメンバーがヤギの赤ちゃんへのキスを買って出て、また生徒や父兄も1番見たいと思う人を投票で決められると言うものでした。

2015年に8人のメンバーが参加することに同意しました。

クリスタは、地元の農家にお金を払って赤ちゃんヤギを借り受け、この試みは大成功、300ドル以上の募金が集まりました。

 

今年、20人の学校の職員ンバーが直ちに署名し参加しました。

クリスタは参加メンバーの写真を1人ずつ写真室で撮り、「ヤギにキスする候補者」の1枚の写真にまとめて、その写真を何枚か掲示板に張り付けて全校の生徒に誰がヤギとキスする候補者になっているのか分かるようにしました。1票につき2ドルとして、生徒や家族は好きなだけ何度でも投票できました。

 

キャンペーンの支持を集めるために、クラブは無記名投票用紙を生徒たちに自宅に持って帰らせたり、屋外の拡声装置を通して発表したり、だれに投票するかクラスメートと熱心に議論するなどしました。

 

「こうすればキャンペーンがより楽しくなります」とクリスタ。「1ドル硬貨をただ箱に入れるよりも、‘スゴーイ’要素がそれに加わるのですからね」。

 

最も大変だったのは、ヤギを見つけることでした。3年前に協力してもらった農家も、今年は上手く行きませんでした。

クリスはヤギの赤ちゃんを学校に快く差し出してくれる農家を探してイースト・セントポール中の8軒の農家にあたってみました。

 

ついに彼女は10Acre Woods Farmでタラ・マッキーンに出会い、シェルドンと名付けられた生後6か月の仔ヤギを連れて来てもらうことに同意してもらいました。

シェルドンは生まれつき発育上の難題を抱えていて、誕生と同時に母親が育児放棄したため、タラが引き取り育てていたのです。こんな仔が学校に連れて行ってもらえるとは、タラも感激したようです。

全校集会

 

2週間、誰が投票で1番になるのかと学校中がざわめいていました。

そして5月28日、全校生徒200人が投票の結果を見ようと、この日のための集会にSPINクラブのメンバーを先頭に体育館に列をなして入って来ました。

 

集会は集まった募金の額:414ドルの報告からはじまりました。この募金はヤギを飼育する世界中の農家に経済的な支援をするために使われることになります。次に、

タラが、小さなシェルドンを抱いて登場しました。

体重7ポンドのヤギを見るや、生徒たちはどっと溜息をついたり、あれーとの声を上げました。
「あの子はとても愛らしくて」とクリスタは振り返って言います。「あの集会を完全に独り占めしたんですよ」。

 

何百もの足が床を叩く中、SPINクラブが封筒を開けて優勝者の発表をしました。

校長のリサ・パラマが圧倒的な勝利を収めていました。

 

学校中が喝采し大喜びでした。そのときです。リサ先生がマイクをとって即座に発表したのです。

第2位と第3位の勝者も赤ちゃんヤギのシェルドンにキスしたら、50万ドルを寄付しようというのです。

 

賛成と言うことになり、クリスタ・ワズニーは第2位だったので、このキャンペーンは大成功に終わったことが分かります。

今回のようなイベントを来年もやるのは困難な状況ですが、来年のクラスがこのような普段とは違うチャレンジを主宰しそうにもないとしても、クリスタは生徒たちが考え出すものはどんな案でも、きっと素晴らしいものになると信じています。

 

「多分今日は今年の中で1番好きな日になるでしょう。皆がこのキャンペーンにとても熱心で、応援してくれたことが分かり、それが本当に大きな喜びだったから」と、クリスタは言います。「何事でも、楽しい要素を付け加えるだけでもっと良いものになると、このチャレンジが教えてくれたのではないでしょうか」。

 

(原文記事執筆: Chinelo Onwualu  翻訳:翻訳チーム 松田富久子 文責:清田健介)