理系の「ガラスの天井」を崩そうとしている若者たち

まだまだ男性社会といわれる理系の世界。今回ご紹介する若者たちは、そんな現状を変えようとしています。(清田)

 

https://www.we.org/stories/conference-connects-young-women-with-female-mentors-in-stem/

 

 

 

 

 

 

 

 

サル・サビーラは数学が大好きです。

彼女が覚えている幼少期の記憶は、父親と座ってパズルのような数学の問題を解いて過ごしたものです。

それから何年も、彼女は数学界で活躍しています。

しかしながら、将来有望な多くの女性たちは、科学において大望を抱いていても支援と指導者を取り去られ、それでは何が残されるでしょう?

トロント大学の1年生である彼女は怒りを通り越した笑みを浮かべ、「男性と同じところに並ぶのは大変なことです」と言います。

要点を説明するために、彼女は何年にもわたって科学と数学の授業を共にしてきた女の子と男の子の数を棒で表したXYグラフを説明します。

このグラフの左から右まで、男の子の棒の方がいつも高く、やがては女の子の数を少なく見せています。「私は外れ値です」と彼女は言います。

女の子の同級生たちは決して数学の世界に歓迎されていなかったと彼女は感じています。

サルだけがそこに居続けられましたが、その大部分は、彼女と数学への愛を共有していた医者の父が助けてくれたおかげでした。

12年生になるまでに、ほとんどの女の子たちはSTEM(科学、技術、工学と数学)は男性の領域だという社会のメッセージを習得していました。

今、サルは友人のアイシャ・チョハン、スイクリティ・ギミール、Vharshaa Punithechelvanと共にそのメッセージを書き換え、より多くの若い女性が科学への夢を追求出来るよう励ましたいと思っています。そして、

女性技師、医者、テック界のリーダー、宇宙飛行士までもをゲストにした心に響くカンファレンスを組織することによって、それをザブンと飛び込むようにやろうとしています。

若い女性らをSTEMの女性指導者と繋げるという彼女らの目標は、4人を 社会起業プログラムの第2期のためにWE(フリー・ザチルドレン) Global Learning Center’s Incubation Hubへと導きました。

2017年秋に始まったそのプログラムは、若い革新者たちが世界を変えるようなアイデアを実現する助けとなるように彼らと取り組み、リーダー研修と指導を提供しています。

トロントグループのメンバーたちはYouth Gravityと呼ばれ、リージェンツ・パーク地域のこどもたちのための活動を組織していますが、4人がHubまで辿り着いたのはほとんど偶然でした。「ある日彼女たちがWE GLCにやって来て、ここであるイベントを主催できないかと訪ねたのです。」と、WE Program責任者のカイラ・ムジンは思い出します。「それ以来、我々は彼女たちが毎月若者向けの集会を開催するのを支援してきました。」

そこから、WEは彼女らの構想をさらに発展させるために社会起業プログラムに申し込まないかと勧め、性の障壁を壊すという彼女らの使命を展開させたのです。

 

 

 

 

 

 

Incubation Hubに支援と指導を保証されて、サル、アイシャ、スイクリティ、Vharshaaは女性に公平なSTEMという意味のS.H.E.を始め、手引きが必要な女の子たちのために、その分野で成功した女性の名簿を載せたウェブサイトを企画しました。

「自分の興味のある分野を知るのはとても大切なことです」とサルは計画について説明します。「それはあなたの目標が実現可能だ、という風に力づけます。」

WEの社会起業プログラムはサルと友人たちに、どうやってビジネスプランを計画しそれを売り込むのか、またどこで投資を探すのかを教えました。

サルたちは予算を策定し、どのように若者と関わるか話し合い、ウェブサイトを考案し、詳細なマーケティング戦略を考え出しました。

それから彼女たちの最大の教訓に出会ったのです。

「私たちの指導者ジュリア(マクマリン)は、私たちが情報を伝える方法や人々をワクワクさせる方法に関して、私たちに訪ねました」とサルは言います。

「私たちはSNSで発信うるとかそういうことかと思いました。」しかしそうではなく、ジュリアはSTEM界での女性リーダーたちを集めたカンファレンスを開き、指導者を必要とする女の子たちを招待することを提案しました。「すぐさま私たちの脳内で電球が光りました」とアイシャは言います。「もし(女の子たちが)STEMの分野が好きかまだわからなくても、もしほんの少しでも興味があるのなら、そこで活躍する可能性があるのなら、このカンファレンスは彼女たちのためのものです。」

サルにとってこの会議とウェブサイトは、女の子たちをSTEMに引き込む機会以上のものです。

それらは個々の不正な境遇を正す機会でもあります。

サルの父親と叔父たちはバングラデシュ出身で、ここ十年でカナダに移住してきましたが、みんな技師か医者です。一方彼女の親戚の中で科学を勉強できた女性は一人もいませんでした。サルの父が彼女の数学への情熱を支持した時、彼は家族的にも文化的にも大きなタブーを犯しました。

「私には父の支えがあって幸運だったけれど、私に手本を示してくれて尊敬出来るような女性もいたらよかったのに」とサルは言います。

彼女は今科学と数学の教師になることを夢見ているので、彼女のような若い女の子たちのリーダーとなれるのです。

WE Incubation Hubに関して、彼女が受けた研修と指導はこの計画にとっても、この先の計画にとっても計り知れない価値があります。
「私を羽ばたかせてくれました」とサルは言います。

「Hubのおかげで私は何でも成し遂げられるという気持ちを抱きました。」

 

(原文記事執筆: ジェシー・ミンツ 翻訳:翻訳チーム 中根葵  文責:清田健介)