ケニアに誕生した新しい男子校。その学校誕生のきっかけを作ったのは、12歳の少年だった!
今年、カナダのWEの支援事業によって、ケニアに新たに開
校した、「ネグロット男子学校」。この学校が誕生したきっか
けをつくったのは、12歳の少年が抱いた素朴な疑問でした。(清田)
https://www.we.org/stories/teen-builds-first-boys-school-in-kenya/
カナダに住んでいるミッチ・クリウォヴィチは、12歳の時、ケ
ニアの農村部の女子中等高等学校の開校に立ち会いまし
た。この時、彼は、「ここには男の子のための学校はないの
?」という素朴な疑問を口にしたのです。
返ってきた答えは、「ありません」というものでした。その日
から6年間、彼は、その状況を変えようとカナダ、アメリカで
活動してきました。ついに、今年初めに、彼は、ちょうど6年
前と同じ場所に立って、自分の夢が実現する瞬間に立ち会
ったのです。
この12歳の少年は、以前には何もなかったところに男子校
を建設するのに必要な100万ドルを超える寄付を、一体ど
うやって募ることができたのでしょう?これは、執念、寛容な
心、そして希望を持って変化を起こした少年の物語です。そ
の物語は、ミッチが変化を起こすためにもがいていく中で、
贈り物のヤギと、33人の男子校の新入生と友人になるとい
う結末を迎えます。
ミッチとその家族は、これまで何回かスタディーツアーに参
加しています。二回目の時に、ミッチたちは、“WE”がケニア
で初めて手がけた女子中等高等学校、キサルニ女子学校
の開校式の場に立ち会ったのです。このキサルニ女子学校
は、ケニアで私たちが行った重要なプロジェクトの一つです。
ミッチの問いで明らかになったように、高校の高額な学費を
負担する余裕のないケニア農村部の少年たちには、中高等
教育を受ける機会はありませんでした。
「地域の女の子たちは力強く歩み始めた一方で、男の子た
ちは取り残されていました。私たちは、男の子たちの将来を
危惧していました」とキサルニ女子学校があるEnelerai集落
のコミュニティーリーダーを務めるEilly Cheres氏は語ります。
当時、中学生だったミッチは、12歳という自分の年齢で働か
されている姿を思い描きました。彼は身震いして帰国し、そし
て 、「ケニアでできた新しい友達が学校に行けるようにするた
めに、アクションを起こそう」と決意したのです。
ミッチは、自分が始めたばかりのキャンペーンをプロジェク
ト・ジェンガ、と呼ぶことにしました。これは、スワヒリ語で「
建設」という意味です。彼は、クラスメイトたちにステッカー
を売って資金調達を始めました。
この名前のとおり、ミッチの発案は、ステッカーの販売から
年数回のお祭りでのオークション活動にまで発展しました。
まだ子どものミッチは、有名人や活動家たちが、自分の夢の
実現のために結集してくるのを、信じられないという想いでみ
ていました。
カナダやアメリカ各地の団体がプロジェクトに関わり、連帯
の波ができていきました。最終的に、学校建設と第一期生
の奨学金にあてる100万ドル以上の資金が集まりました。
今年の1月にケニアに舞い戻った18歳のミッチは、少年た
ちが、ぱりっとした白シャツと青のネクタイ姿で登校し、はに
かみながらも誇りを持って校庭を埋めているのを目にしたの
です。
徐々に集落のお年寄りたち、親たち、幼い子供たちで校庭
が埋め尽くされました。彼らは、心から生徒たちを祝福し、
また、今回の機会を手がけた北米からの訪問者たちと挨
拶を交わす頃には、この日雨を降らせた黒い雲は、谷を
舞い上がって霧消しました。.
その日、Cheresは、集まった人たちに向かって、熱心な教
育支持者としてだけでなく、誇りある父親として、次のよう
に語りかけました。「自分の息子は、この『ネグロット男子
学校』の先駆者、つまり、2020年に卒業する第一期生の
一人です。息子は、もう家業の牧畜や農業に縛られるこ
とはありません。」
きちんと手入れされた校庭に目をやりながら、Cheres氏
は、こう続けました。「誰も、この地に何かが起こるとは考
えていませんでした。しかし、私たちは、今や、幸福の中
にいます。私たちは、娘、息子の両方を教育してもらえま
す。私の息子は、大学へ向けていろんなことを私に頼ん
でくるでしょう、息子はエンジニアになりたいのです!」
キサルニ女子学校の姉妹校となるネグロット男子学校では、
初年度は、この地域で最も学業面などが優秀な、男子生徒3
3人を受け入れます。
「ここに入学予定の生徒たちに会うのは、とてもすばらしこと
でした。彼らは、ここで受けることのできる教育のおかげで、
きっと将来のリーダーになれるでしょう。その教育がようやく
実現する。素晴らしいです!」と、ミッチは話します。
ミッチの両腕に抱かれたヤギは、村がミッチに授けた最高
の名誉でした。斜面を横切って流れる雨は、ひどい干ばつ
が終わったことを祝福するようでした。
ミッチが、一番心を動かされたと話すのは、ぴかぴかの制
服に身を包んだ少年達が、その両親や年若い兄弟姉妹を、
この学校に連れて来ているという光景でした。
ネグロット男子学校は、次年度は500人以上の入学志願
者を予想しており、奨学金用の資金調達の達進捗状況を
見ながら、入学者数を増やしていきたいと考えています。
「入学者数は、今よりもずっと多くなります。この効果は、世
代を超えて波及するでしょう。」とミッチは話しています。
ミッチと、プロジェクト・ジェンガの支援者たちにとって、この
事業は、まだ始まったばかりです。
参考リンク
キサルニ女子学校についての過去の記事
プロジェクト・ジェンガの公式サイト(英語)
http://projectjenga.ca/index.html
ミッチからの、プロジェクト・ジェンガの支援者へのお礼のメッセージ動画 (英語)
https://www.facebook.com/ProjectJenga/videos/vb.163761410370025/1242818499130972/?type=2&theater
(原文記事執筆:Deepa Shankaran 翻訳:翻訳チーム 山下正隆 文責:清田健介)