翻訳チームPresents:クレイグとマークのコラム
こんにちは!FTCJ事務局です。
今日はウェブサイト「thestar.com」に連載されているクレイグとマークの
コラム(7月5日付)を紹介します。
With this soccer ball, hope can’t be deflated.
――このサッカーボールがあれば、希望は消えない――
ワールドカップに沸くアフリカ。
しかし、その熱狂からすこし離れたジンバブエにボールを配る
一人の男がいました。
慈善家で写真家でもある、ボビー・サイガーです。
彼が注目したのはワールドカップではなく、
ジンバブエで起こなわれている別のサッカーの試合でした。
この試合で、彼が子ども達に配るサッカーボールは鮮やかな黄色。
このボールは他のボールと違って、とても丈夫です。
(写真の少女は配られた丈夫な黄色のサッカーボールを嬉しそうに持つ。)
サイガーは、舗装されていない道路でも持ちこたえるような丈夫な素材で
出来たボールを持ってきたのです。そのボールには「希望は流れを変える」
と印刷がされていました。「試合の流れ」と「ライフスキルを向上させる」
という両方の意味が込められれていました。
「この丈夫なボールは空気が抜けません。
だから、ずっと遊ぶことができます。
これは永続性、長寿、可能性と希望を表しています」
とサイガー・ファミリー基金の事務局長であるケン・ツノダさんは
話してくれました。
「苦しい環境で生活する子どもにはいろいろな意味にとることができます」
サイガーはモアズと言う少年が頭から離れません。
サイガーがモアズに初めて出会ったのは、2005年の南ルワンダの元少年兵
リハビリキャンプで、モアズは9歳でした。彼は他の少年と比べてもかなり
小さい方でしたが、兵士としての技術をすぐに習得し、
7歳の誕生日までに3人を殺害していたといいます。
キャンプでモアズと他の子どもたちは子ども時代を取り戻すのに必死でした。
モアズのプライドをなんとか保てていたのはあるボロボロのボールでした。
途上国の子どもたちにとってスポーツ用品はとても高価なもので、簡単に手に
入れることはできません。だからゴミのバッグなどを自分たちで縫い合わせて
作っているのですがほころんでいるところもあります。
「空気の入った本物のボールを手に入れることができたとしても、
ゴミや石が道路上にあるのですぐに破れてしまい、使えなくなります」
とツノダさんが説明してくれました。
サイガーはモアズと自分の息子が一緒に緑と黒のボールで遊んでいる
のを見ていました。出発前にはモアズが宝物を手にしている写真を撮りました。
何年もの間、その写真はサイガーのリビングルームに飾られていました。
その写真の前を通りかかるたびにモアズ手製のボールのことを
思い出していました。そこで決心したのです。
子ども達の生活は大変だけれど、子ども達が元気になれる
ようにボールをプレゼントしようと。
壊れにくいボールは空気が抜けません。広場をサッカー場に
しているので、その地面に耐えることができるボールが必要
だったのです。彼らは試行錯誤を重ねました。
そしてそのボールは若い人々をつなぎ合わせる重要な役割に
もなりうると考えていました。サッカーを通して、健康や教育、
社会問題についての勉強会を開くことができると考えていたのです。
貧困、HIV/エイズ、飢餓のような急を要する問題において
スポーツは優先順位が下の方になりがちです。しかし世界中で
サッカーは危険にさらされている若者たちの
手助けをしてきました。
13才の南アフリカの少女のテボゴ・トミーンはグラスルーツ
サッカー主催のあるプログラムに参加しました。
この団体を通してサイガーはボールを支給しました。
このプログラムではサッカーを通して、HIV/エイズについて
学んでいきます。
このプログラムが終わると、テボゴは
「この日の終わりには、私たち全員が選択肢を手にしました。
私は、HIVの状態にかかわらず全ての人を敬うという選択を
することにしました。そして、夢に向かって努力をすると
いう選択もしました」と話してくれました。
ジンバブエでもよく似たことが起こっています。
グラスルーツサッカーはプログラム後に調査を行ったところ、
コンドームはHIVの感染を防ぐのに効果があると信じている生徒が
49%から71%になったという結果がでました。
「プロの選手とコーチは子ども達から尊敬され注目もされています。
彼らは子ども達にとても影響力のある役割を果たしています。」
とツノダさんは言います。
丈夫なボールは子ども達の人生に変化をもたらします。
ルワンダ、ジンバブエ、アフガニスタンのような国の子どもは
自信をつけると、いろんな状況に耐えることができるようになります。
サイガーは子どもはいつも何かに対応できる方法を持っていて、
取り組むことができると確信しています。
(FTCJ翻訳チーム:浅田紀子)
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