五つ目の柱

フリー・ザ・チルドレンでは、海外支援をするときに

四つの柱を基礎にプログラムを行っていました。

四つの柱とは、

教育・・・子どもたちが学校に通えるように
収入・・・親に収入がないと結局子どもが働かなければならなくなる
健康・・・健康でないと親も仕事にいけないし、子どもも学校にいけない
水 ・・・特に女の子は水汲みの仕事があり、学校にいけない。きれいな水の確保

なのですが、これに最近新しく五つ目の柱が加わりました。
そのことに関する記事を紹介致します。


現在、貧困の緩和に直接関わる最重要課題の一つは、ますます厳しくなりつつある食糧確保の問題です。食糧の確保とは、住民の食生活上のニーズと嗜好にこたえる健康的で、栄養豊富な食べ物が利用できること、また、その適切な量が手に入ることであるといえます。さらに、食糧の確保は、住民にとって教育、健康、生計の手段や人生で得られるものを大きく左右します。

 

フリー・ザ・チルドレンの「村の自立を応援しよう」プログラムは、村での活動パートナーのニーズの変化に合わせて進化し、広まりつつあります。これらのニーズに照らして、私たちは、自信を持って、このプログラムの第5の柱として、“農業および食糧の確保”を加えることを公けにします。

 

 “農業および食糧の確保”という支援の柱は、これまでにない新しい農業技術や農業用水管理プロジェクトに焦点を当てています。これは、発展途上の農村が、健康に直結する食糧の自給手段、教育や暮らしの手段を確保できるよう支援するものです。ケニアの村々を支援するために創設されたPotashCorpという支援組織が、この活動を可能にしています。

 

この活動を行う理由とは

2012年4月の世界銀行の報告によれば、当年第一四半期に世界の食糧価格は8%上昇しました。フリー・ザ・チルドレンが活動する国々では、村の住民の大半が自給的農家です。そのため、不作となれば、彼らは自分の家族を養えなくなります。この状況は、これまで世界的な食糧価格の上昇と連動していました。つまり、市販の食糧には手が出せず、飢饉に際して、栄養失調を蔓延させていました。

 

この8年間、フリー・ザ・チルドレンは、活動を行う国々で、気候パターンの変動や砂漠化の影響を目のあたりにしてきました。2011年から2012年にかけてのアフリカ東部の干ばつは、長期的な食糧確保が重要という意識を惹起しました。私たちが活動に取り組んでいる国の農村では、農業技術が古くて、現状に合わなくなっています。今や、アフリカ農村の自給農家が、これまでの農業技術だけで自給自足と適度な暮らしを確保することは難しくなっています。砂漠化の進行や気候パターンの変動に対処する能力を高めることが必要です。

 

 “農業および食糧の確保”のための戦略

私たちフリー・ザ・チルドレンは、村の食糧自給手段の向上ならびに気運作りや機会の提供だけでなく、人々の生産行動も変えることを目的として、村の自立を応援しようプログラムの活動での5つの柱すべてを、3~5ヶ年にわたって実施しています。将来的には、この活動を通じて、村の現状を変え、効果的かつ有意義な発展が継続されるようにします。

 

    課題            達成目標

 1.確保手段の改善  適切な量の安全で、栄養に富む食糧を得るための労働面、

    経済面での手段確保。

 2.行動様式の変化   環境的に持続可能な食糧生産活動

 3.現状の変革    利用可能な食糧の生産向上、罹病率の大幅な低下。

 

 “農業および食糧の確保”プロジェクトの内容は以下のとおりです。

フリー・ザ・チルドレンが このプログラムを行っている国々は、すでに、前述したニーズの変化に対応する“農業および食糧の確保”プロジェクトを開始しています。以下は、“農業および食糧の確保”という5番目の柱に含まれる、現時点でのプロジェクトおよび活動のリストです。

 

・干ばつや飢饉の際の緊急食糧支援

・栄養価の高い食べ物を提供し、適切な栄養教育を施す学校栄養プログラム

・多様な作物の生産と高品質な種子の導入

・農業実習

・学校菜園の設置

・学校農場の設置

・薬草園の設置

・砂漠化に対処するための植樹

・潅漑システムと河川流域の開発

 

このプログラムの活動を行っているいくつかの国では、多数の村をカバーする支援組織、PotashCorpの協力を得ています。それにより、フリー・ザ・チルドレンの戦略、すなわち、農業用水確保、農家向け種子の品質向上、土壌改良、農機具の改良、長期にわたる持続可能な農業を目指す農家の力を高める、といった活動を前進させています。

(翻訳:山下正隆  文責:浅田紀子)