最新の調査やネットで話題の動画から見えてくる世界の女性の今

クレイグとマークのコラムの紹介です。

http://www.huffingtonpost.ca/craig-and-marc-kielburger/women-ghomeshi_b_6152738.html

「現状のままでは女性が活躍出来る世界の実現には最低でも81年掛かる」最近こんな報告が世界経済フォーラムから届きました。世間では女性に対するセクハラや暴力のニュースが後を絶えません。

スイスにある世界経済フォーラムは、教育、健康、雇用と賃金、行政への参加という観点から世界の男女格差を毎年発表しています。最新の報告書によると、世界の女性は男性の6割程度しかこれらの分野で社会的に享受を受けていないといいます。しかも、この10年間で状況はあまり改善していません。

良いニュースもあります。教育や医療の分野では多くの地域で改善
が見られました。報告書によれば、教育の男女平等達成度は94%、健康の分野は98%となっています。

女性の職場での待遇や議会(※日本では国会)への参加状況を見ると、教育の話のように明るい気持ちにはなれません。女性は男性の同僚の6割程の賃金しかもらっていません。行政の世界では、政府の要職に就いている女性の割合は全体の2割程しかありません。

10月には、カナダの一部の地域で統一地方選挙がありましたが、選出された市長や町長の内、17%程しか女性はいませんでした。国連は、女性のための政策がきちんと反映されるためには、政府や議会で3割程女性が選出されるのが望ましいとしているので、カナダの現状は理想からは程遠いといえます。

そんなカナダに住む人々は今、CBC(※ カナダの公共放送 日本のNHKに相当)の元看板アナウンサーが関わっているスキャンダル(※参照リンクに日本語の関連記事あり)の展開に釘付けの状態です。まだ裁判も正式に行われていないので、事件そのものについては何も言うべきではありませんが、アナウンサーから暴行を受けたと公表した女性の話を聞くと、2014年の今でも、性的暴力を受けた被害者への世間の偏見や風当たりがとても強いと感じます。多くの女性が社会や司法に対し助けを求めず、沈黙を貫いたままでいます。特に、女性を暴行した加害者が、権力を持ち、社会からも尊敬されているような人物の場合、行為を告発するのはとても難しいのです。そのような背景も関連して、1000件の性的暴行の内、警察に正式報告が上がっているのは33件程、その中で有罪判決を受けているのはわずか3件程です。(YWCAカナダより)

最近ソーシャルメディアでは、ニューヨークの影の部分を捉えた動画が拡散しました。隠しカメラと共にニューヨークを10時間歩いたロバーツ(※女性)は、その10時間の間に、男性たちから100回以上声をかけらたり野次られたり誘われたりしました。この動画は、女性が毎日どのようなセクハラに遭っているのかを浮き彫りにしています。ロバーツはこの動画が投稿された後に脅迫を受けています。

サキジアンもその怖さを知っている女性です。トロント出身のブロガーで、社会学者としてテレビゲームの中の女性描写を研究している彼女(※ビデオブログFeminist Frequencyを運営。最近ではザ・コルベア・レポートにも出演しその時の動画がYouTubeでも人気動画になる)は、ユタ大学で講演予定でしたが、講演すればモントリオール理工科大学虐殺事件(※参考リンクに詳細あり)のような事件を起こすと匿名の脅迫を受け、講演が中止に追い込まれました。このような一連の事件は、女性が直面する問題について議論するきっかけとなっていますが、より具体的な行動が求められているのではないでしょうか?
  

今年の12月にはモントリオールの虐殺事件から25年になります。今年のこの期間は女性が置かれている状況を見つめ直し、状況を良くするにはどうしたら良いのかを考える絶好の機会だと思います。

参考リンク
英語
http://www.theglobeandmail.com/report-on-business/economy/global-gender-gap-report-finds-modest-improvements/article21330165/

http://www.huffingtonpost.ca/2014/11/03/ghomeshi-sexual-harassment-cbc-q_n_6084324.html

http://www.huffingtonpost.ca/2014/10/30/sexual-assault-canada_n_6074994.html

http://www.theguardian.com/lifeandstyle/2014/oct/29/woman-records-10-hours-of-harassment-walking-through-new-york
http://www.theverge.com/2014/10/14/6978809/utah-state-university-receives-shooting-threat-for-anita-sarkeesian-visit

日本語

http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/31/woman-receive-100-catcalls-while-walking_n_6080208.html
http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/03/beenrapedneverreported_n_6092412.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%90%86%E5%B7%A5%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E8%99%90%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

おまけ http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF27H0B_X21C14A0PP8000/

(訳者コメント)今回のコラムで参照されているグローブ・アンド・メールの記事は、世界経済フォーラムの報告の詳細に触れています。その記事によると、カナダの男女平等指数は142カ国中19位、上位の北欧には劣るものの、先進国の中では中間のランクにいると記事では評しています。一方、日経新聞の記事によれば、同じランキングで日本は同じ先進国でありながら104位となっています。このコラムにもある通り、カナダやアメリカにも課題はありますが、日本の男女格差や女性が抱える問題についても考えてみる必要があるような気がします。

(訳者:翻訳チーム 清田健介)