海外事業

子どもを貧困から解放するためには、子どもだけを支援するのではなく、子どもを取り巻く環境全体に対してアプローチすることが必要です。それは例えば、子どもの親、特に母親に対して収入を得られるよう技能訓練を提供するなどしたり、子どもが教育を受けられるよう学校を建てたり、人々が医療サービスにアクセスできるよう診療所の設置をしたり、安全できれいな水を得られるよう環境を整えるなど、多分野にわたって支援事業を展開することが大切だと私たちは考えています。

フリー・ザ・チルドレンは、アジア、アフリカ、中南米の貧困地域のコミュニティが貧困から抜け出し自立できるよう、コミュニティの人々とともに、子どもにとって最良なことを一番に考え、包括的な支援プログラムに取組んでいます。

支援の「5つの柱」

貧困を生み出す要因は、複数あります。ですから、貧困を解消するための解決策は一つではなく、様々な側面から事業を行うことが大切だとフリー・ザ・チルドレンは考えています。

そこでわたしたちは、貧困地域の人々が生きるために必要な基本的ニーズ(衣食住、教育、保健、労働)が満たされ、子どもが教育を受けられるよう、以下の「5 つの柱」を軸とした村の自立を応援するプログラムを実践し、持続可能なコミュニティづくりに向けて国際協力の活動に取り組んでいます。

 

コミュニティの貧困を終わらせることを考えるのであれば、子どもたちへの教育について考える必要があります。子どもに教育の機会を提供し、文字の読み書きや計算の仕方、自分の持つ権利などについて学ぶことは、貧困の負のサイクルを終わらせるため、そしてコミュニティ自立のために最も有効な手段です。

詳細はこちら

 

 

子どもたちは、自分や家族が健康でないと学校に通うことができません。衛生的な水を提供することも解決策の一つですが、そのほかに、家族が医療機関にアクセスできることや、病気の予防法や健康的な生活についての研修を行うことも大切です。

私たちはコミュニティと協力し、ワクチン接種やクリニックの運営などを進めています。

詳細はこちら

 

 

多くの国や地域で、家族のために水を汲みに行くことが子どもの役目となっています。村の中で衛生的な水にアクセスできるようにすることで、日課だった水汲みの時間を、勉強する時間に充てることができます。また、不衛生な水が原因の病気の予防ができたり、学校に清潔なトイレを設置できることで女の子が生理の時にも休まず通えるようになります。

地域の人々と協力して、持続的に衛生的な水が入手できるよう水ポンプの設置などを行っています。

詳細はこちら

 

家庭の収入が安定していなければ、子どもたちが家計を支えるために働かなくてはならなかったり、教材や制服を購入するお金がないなどの理由で、教育を受ける機会を失います。そこで私たちは保護者、とくにお母さんを対象に、経済的に自立するための家畜の世話などのスキルを身に付ける研修を行い、支援しています。

詳細はこちら

 

ごはんをきちんと食べている子どもは、学校に通うことができます。お腹を空かせていたり、栄養失調の子どもたちは集中力にかけ、病気にもかかりやすくなります。コミュニティの人々と協力して食の安全保障や農業スキルの向上をスクールガーデンや灌漑設備の設置などを通じて、地域の人々が健康的な食事を食べることができ、経済的にも農業から安定した収入を得られるよう支援しています。

詳細はこちら

 

その他にも、台風や地震などの自然災害の起きた地域では、現地のニーズに合わせて緊急支援を行っています。

 

教育

国連の統計によると、6,000 万人近くの小学校の学齢期の子どもたちが、学校に通うことができていません。その理由は、兄妹の世話や、家族のための水汲みを任されていたり、家族を支えるために働いていたりするためです。また、学校が遠すぎて通えない子もいます。学費代や制服代が払えないために通えない子もいます。基礎的な教育を受けられなかった子どもたちは、成人してから家族や地域を支えていくことは難しく、貧困から抜け出すことがとても困難です。子どもたちが教育を受ければ、彼らは自信をつけ、現代を生き抜くために最低限必要な技術や知識(文字の読み書き、計算、自分の持つ権利など)を学ぶことができるので、その後の可能性は広がり、より豊かな生活を送ることができます。そしてそんな彼らが、次の世代を引っ張って行く存在となるのです。病気の予防、健康状態の改善に貢献し、インフラの建設やその維持に携わっていきます。社会人として、そして個人として、人間関係を築いていきます。基本的人権の重要性を理解し、安定した生計を立てていきます。教育を通じて学んだことは、本人だけでなく、家庭や地域が貧困の連鎖から抜け出すためにも、大きな助けとなります。

教育は、全事業の根幹として位置づけており、とても重要です。私たちは学校教育へのアクセスの改善、教師へのトレーニングや学用品の支援などを通じて、教育支援を必要としている地域に長期的で持続可能な支援を行っています。

 

知っていますか?

 

 

 

支援内容

貧困は、子どもたちを学校から遠ざけさせている大きな要因の一つです。それを理解しているからこそ、私たちの支援は、「学校建設をしたら終わり」というものではありません。私たちは、地域の課題やニーズを理解している現地の人をスタッフとして配属させて、地域や政府と共にプロジェクトを進めています。現地のチームが、ニーズを調査しそして、現地の政府機関と、子どもたちがきちんとした教室で学び、卒業できるようにするための、長期的な解決策について協議します。

支援を行うにあたって、政府主導で教育政策を発展させ、全ての子どもたちに質の高い教育を提供して欲しいという願いから、支援を行っている各国の教育省と連携して、プロジェクトを実施しています。
カリキュラムは、読み書き計算といった基礎的なことに加えて、マネージメントのスキルや、社会性、手の洗い方、衛生処理の仕方、お金の計画的な使い方など、座学と実用的なスキルを身に着ける機会を、共に重視しています。
子どもたちが、学校で学んだことを両親と共有するなどして、教育を通じて身につけたことが地域全体に広まり、その地域のエンパワーメントにつながっていくことを願っています。

 

支援例
  • 新校舎や、図書館などの学習施設の建設。職員室、教師たちの宿泊施設の建設
  • 古くなった学校や教室の改修。家具や教育資源、学用品の提供
  • 教師たち向けのリーダーシップ・プログラムやトレーニングの実施。
  • 課外活動クラブ(健康クラブ、環境クラブ)の実施

 

これまでのインパクト

子どもたちを教育するということは、次世代を担うリーダーに、生活に変化を起こしてもらうため、そのまた次の子どもたちの生活に変化を起こしてもらうため、そして地域を変革するために、必要なスキルを提供するということです。

これまでに支援地域では、1,000 校の学校と教室が建設されてきました。20 万人の子どもたちに教育の機会を提供し、彼らの可能性を開かせてきました。教育は、社会的投資の中で、最も大きな効果をもたらします。驚くには値しないことかもしれませんが、女の子に対して教育支援を行うことで、非常に大きな効果が生まれます。そして女性を就学させることは、女性の地位の向上、そして経済成長にも直接的な効果をもたらします。開発途上国では、女性が学校に通ったことで、 10% ~ 20%の、女性の賃金の上昇が見られました。

 

教育を受けた女の子は、結婚する時期が遅くなり産む子どもの数も少なくなる傾向があります。例えば、マリでは、中等教育や高等教育を受けた女性の産む子どもの数の平均人数が3 人であるのに対して、教育を受けていない女性の産む子どもの数の平均は七人となっています。教育を受けた母親から生まれた子どもは、栄養失調を発症する可能性が低くなっています。ユネスコによれば、就学する女の子が増えると、乳幼児の死亡率が2%低下します。教育を受けた女の子は、性的搾取や、性感染症への抵抗力が高くなります。

 

ケースストーリー

ハイチ テールカッセ小学校

 

 

ハイチのテールカッセ小学校は変化し続けています。この学校は地域の多くの小学校とは異なり、テールカッセでは、コラボレイティブラーニングを重視しています。これは、机を別々に並べるのではなく、数台の机を一緒に突き合わして置き、出される課題を生徒たちは数人で一緒に取り組みます。

生徒たちの力をもっと引き出すために、私たちは13 の教室全てに教材を設置しました。テールカッセの教師が使用できる教材を充実させていくためです。

そして、新たに校内に教師・生徒・未就学の子どもたちが使える屋内トイレを設置しました。これで、子どもたちは、雨が降っている時や、嵐が来る時期に、トイレに行くために外に出る必要はなくなります。

ハイチでは、親が子どもを学校に行かせず、家の手伝いをさせたり、働かさせたりすることが珍しくありません。私たちは地域の人々に直接アプローチして、早期教育の重要性を訴えています。そして就学前教育を受ける子どもの数が増加しました。

現在は3 つ以上の就学前教育の教室を開設し、50 人の子どもたちが在籍しています。生徒の人数に応じた適切な数の教師を配置するため、資格を持った補助教員を配置しています。適切な時期に就学した子どもたちは、適切な時期に学校を修了することができる傾向があります。生徒が留年をせずに修了できれば、教育費も削減できます。生徒が着実に進級できれば、在学期間も短くなるからです。

教育を受けることで、生徒はリーダーとなり、生活・学校・地域を改善するためのスキルを身に付けています。

【5つの柱】に戻る

保健

開発途上の地域に住む人たちに取って、体調を崩す・慢性的な病気を患うということは、家族をより深い貧困に陥れてしまうことになる場合が多々あります。その貧困により、病気も余計に悪化してしまうという、悪循環が発生するのです。

開発途上の地域で問題となる病気の多くは、予防が可能で、治療も容易なものですしかし、多くの地域では、医者や薬品、病気に対処や予防するための知識などにアクセスするための手段がないのです。

保健サービスにアクセスする手段がある家族は、農場を運営することができます。家族を食べさせ、子どもたちを学校に通わせることができます。慢性的な病気にかかることはなく、最終的には貧困から抜け出すことができます。

だからこそ、「保健」は五つの柱の中でも、絶対に欠かすことのできない柱なのです。私たちは、七か国の開発途上国の支援地域で、ヘルスクリニックへのアクセスの改善、学校での予防接種の実施、医療従事者へのトレーニングの実施、村人への病気予防や衛生処理、栄養に関する教育などの支援を行っています。

 

知っていますか?

 

 

支援内容

私たちは、世界保健機関の打ち出した健康促進のビジョン”人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス”を実現することを目指して、地域で事業を進めています。国や地域のニーズは、その場所によってそれぞれ異なっているため、各地で異なる事業を行っています。

また、各国の保健省が、優先事項として取り組んでいる問題に、私たちも取り組むようにしています。ほとんどの場合、私たちは、各国の保健省や、地域の医療機関と連帯して、事業を行っています。五つの柱全てにおいて、WE Villages の事業では、地域の保健改善のための取り組みを行っています。

「教育」では、保健の知識やスキルを身につけることを目指しています。
「水」では、水感染症の発症の減少を目指しています。
「食糧」では、食糧の生産と、栄養に関する知識を伝えることで、栄養失調の地域からの根絶を目指しています。
「機会の拡大」では、治療代や薬代が払えるようになることを目指しています。このように、それぞれの柱が連携して、保健の事業を支えています。

 

支援例
  • プライマリーケアー:定期検診、糖尿病や関節炎などの治療。妊娠検診、産後検診。栄養支援、予防接種などを行っています。また、生徒の栄養不足を解消し、学習に集中してもらうようにするために、ビタミン剤提供も行っています。
  • セカンダリーケアー:皮膚科、歯科、眼科、画像診断など
  • 保健教育:村人たちに病気を予防することの大切さ、医療機関を受診することの大切さ予防うるために行動を起こし、健康状態を改善することの大切さを伝える。その次の段階としては、適切な衛生処理の伝授、有害な薪ストーブからの煙の吸入をなくすための煙突の導入、栄養失調を撲滅するためのガーデニングでの栽培活動などがある。
  • 地域の医療従者へのトレーニングの実施:村人に分かりやすく知識を伝える能力を身につけ、生徒や子どもたちにもその知識を伝えていく。

 

これまでのインパクト
  • 子どもたちに、家族が病気になった時、どのようにその病気が広がっていくのかについて教えたり、手や皿の洗い方を教えたりして以降、水感染症の発症は減少しています。
  • 多くの農村部の村人に、病気予防や医療機関にかかることの大切さ、元気に暮らしていくために健康的な習慣を取り入れることの大切さを伝え、彼らをエンパワーメントしてきました。
  • 生徒の栄養不足を解消し、学習に集中してもらうようにするために、生徒たちにビタミン剤提供を行ってきました。
  • 質の高い保健教育、妊娠期間や産後期間中のケアー、外来の保健サービスや予防接種の実施などを通じて、母子の健康を守ってきました。
  • これまで診察や治療をけることのできなかった、ケニアのマサイ族の人たちや、キプシピプズ族の人たちに、皮膚科や眼科のケアーを提供してきました。
  • 100 万人以上の人たちに保健サービス、清潔な水や衛生施設へのアクセスを提供し、5 才以下の子どもたちの死因のトップとなっている下痢の予防に努めてきました。
  • 世界各地に、医療用具の輸送支援を行ってきました。

 

ケースストーリー

インド バラカ と キション ヘルスクリニック

 

私たちはバラカ と キソン ヘルスクリニックを通じて、48000 人に保健サービスを提供してきました。ケニアのバラカ ヘルスクリニックの産婦人科では、3000 人の母親の妊娠期間・産後期間のケアーを行いました。具体的には、超音波検査・診察、そして300人の赤ちゃんのお産などです。

妊婦とその子どもの死亡は、家族とその地域全体にとってとても悲しいことです。経済成長、生産性、健康状態、教育にも影響を与えます。Baraka の産婦人科で提供されているサービスでは、妊婦と子どもの死亡を防ぐために問題に正面から取り組んでいます。予防ケアーの実施、母親が必要としている保健サービスの提供、健康な子どもを育てるための知識を提供しています。

ソハン・カタラ(Sohan Katara)は、大きな目で笑う笑顔が素敵な四歳の男の子です。しかし、私たちが現地の保健センターが併設された保育園を再建するまでは、ソハンと彼の友人は児童労働者になる危険にさらされていました。彼らの地元である、ラジャスタン州ウダイプールのベルナ村には、子どもとして生きていくために必要な環境が何も揃っていませんでした。

ソハンは、栄養失調や風邪の席に苦しむ、か弱い子どもでした。体重は標準値以下で、治療を継続的に受けることもできませんでした。最寄りの病院は村から6キロも離れていたのです。両親は自給自足で農業を営んでいるため、ソハンは労働者になる危険性がありました。私たちの支援で、ベルナ村の保育園が再建され、ソハンと彼の弟は就学前教育のプログラムに通えるようになりました。そこで、数や文字、衛生処理の仕方や正しい手の洗い方などを学んでいます。

ソハンとその友達は色や数字、文字を学び、キッチンガーデンでとれた野菜も使われている暖かいランチも食べています。また、フードサプリメントやビタミン剤、予防接種の支援も受けています。 ソハンは、支援によって彼女の人生が変わったと嬉しそうに語りました。

【5つの柱】に戻る

 

想像してみて下さい。もし、飲み水が蛇口をひねればすぐに出てくるような、簡単に手に入るものでなかったら、どう思いますか?

水を手に入れるためだけに汚い川や井戸にまで、わざわざ歩いていかなきゃ行けなくて、水をやっとの思いで手に入れたら、その後は水が入った18 キログラムの重さの缶を持って家まで戻ってこなきゃいけないと言われたら、どう思いますか?今言ったことを、毎日やれと言われたらどう思いますか?聞くだけでもうんざりするようなことだけど、それをやらないと、水が飲めないと言われたら、どう思いますか?12 歳という年齢で、それを絶対にやらなきゃいけないと言われたら、どう思いますか?

清潔な水は、ぜいたく品ではなく、人権です。しかし、世界中の大勢の人が、水が安定的に手に入る水源の無い環境で暮らしていたり、衛生的な水洗設備の無い環境で暮らしています。そのような環境で暮らしていると、病気にかかりやすくなり、場合によっては死に至ってしまうこともあります。

清潔な水へのアクセスを改善することが、最も重要かつ早急に打てる、貧困から抜け出すための解決策です。そのような解決策を講じることで、病気を減らし、女の子を学校に行かせることができます。(一般的に、水汲みの役割を担わされているのは女の子です)また、農業が改善され、食糧へのアクセスも改善します。

私たちは支援地域に、安全な飲み水や料理で使うための水を提供するための支援・手洗い場やトイレを安全に使えるようにするための、衛生設備の整備をする支援を行っています。食糧の生産性をあげるために、灌漑組織や集水設備などのインフラの整備も行っています。また、衛生設備の適切使用方法や水感染症の予防などに関する教育を、支援地域で行っています。

 

支援内容

私たちは、現地スタッフと共に、それぞれの地域の実情に合わせた、持続可能なプロジェクトを行っています。緑豊かな地域もあれば、乾燥地帯もあります。山岳地帯や、日照りがある地域もあります。気候や環境も様々なことから、穴あけのような活動もあれば、既存の水源を修復することもあります。天然水を水源にするための装置を設置することもあります。手動式ポンプ、灌漑組織の設置を行うこともあります。いずれのケースにおいても、現地スタッフや政府機関を通じ、村人に水や衛生設備の適切な使用の仕方を教え、プロジェクトを持続可能なものにすることに努めています。

 

支援例
  • 手動式ポンプの設置
  • 井戸掘りや穴掘り
  • 集水設備の整備
  • 清潔な水の地域や学校へ輸送む
  • 清潔な水や衛生設備に関する教育
  • 手洗い場や簡易トイレの設置

 

これまでのインパクト

「水」のプロジェクトの開始以降、100 万人以上の清潔な水、保健サービース、衛生施設へのアクセスを向上させました。その100 万人の人たちは、自分たちや家族を貧困から抜け出させて、より清潔で、生産性のある地域を作っていくために、エンパワーメントを受けた人たちです。

 

ケースストーリー

中国 グフバオ村

 

例えば、中国のグフバオ村では、主要な送水管が凍ってしまい、水道から水を得ることができず、村の崖の方にある小さい池まで行って、水汲みをしなければいけませんでした。この水は安全とは言い難く、村人(特に子どもたち)の病気の発症源となっていました。村の動物もこの水を飲んでいたからです。夏季には、干ばつが原因で、灌漑用の水が不足していました。村で収穫できる作物は三分の一程度でした。このような事情により、食糧不足が起きる危険もありました。

私たちは、村と緊密に連携しながら、水のプロジェクトを開始しました。新しい送水管を導入し、穴掘りをして新たに二つの水源を確保するなどして、冬の期間も持続可能な安定した水源を確保できるようにしました。また飲み水として、あるいは料理や掃除でも使用できる生活用水として,さらに干ばつの期間にも安心して、作物用に水が使えるようにしました。清潔な水と衛生施設を提供することは、地域の状態をあらゆる面で改善させます。世界保健機関によれば、1 ドルを水と衛生設備に投資するだけで、3~4 ドルの経済効果を見込めます。

水の状況が改善したことで、農業は持続可能性をつけ、餓えに苦しむ人は減少しました。子どもたちは、水汲みの代わりに、学校へ行くようになりました。病気も減った発症も減り、子どもたちは学校の欠席日数が減りました。おとなたちも農業や仕事に集中できるようになりました。清潔で安全なトイレが整備されれば、女の子たちは安心して思春期でも学校生活を送れます。私たちの「教育プロジェクト」をみなさんがご存じであれば、女の子への教育が、女の子自身やその家族、あるいは地域に与えるポジティブなインパクトについてもご存じのことでしょう。散髪を終えた生徒たちはキッチンに駆け込み、チェン先生のできるだけ近くに座ろうとします。チェン先生は、ストーブでお湯を沸かします。チェン先生は飲みたい時にお湯として沸かすことがなぜ重要か説明できる人はいるかと生徒に尋ねます。

恥ずかしそうにしながらも、思い切って手を挙げた女の子が、先生に見守られながら、お湯を沸かすと、殺菌できるということを説明しました。菌は目に見えなくても、病気の原因になるということを。生徒たちは呑み込みが早いです。ワークショップを通じて、村人自身が、健康問題の解決策を見つけることの重要性を理解しています。生徒たちは、清潔な水が健康的な生活の基礎になることを理解しています。以前は、公共バケツに入った、衛生処理がされていない水を、コップですくいながら飲んだり、ペットボトルの化学用品が染みついた水を飲んだりしていましたが、今では、沸かされたお湯の入った魔法瓶を飲み、先生たちが定期的にきれいにしている、再利用可能な水の入ったペットボトルを飲んでいます。

水のワークショップで学んだ生徒たちに、宿題が出されました。今夜、彼らは両親たちに、自分たちが学んだことを伝えるのです。家族みんなで、お湯を沸かしたり、手やお皿を洗う練習ができるのです。清潔な水で健康的な生活を楽しんでいるのは、グフバオ村の子どもたちだけではありません。グフバオ村を覆うアプリコットの果樹園に住む、わんぱくなヤギたちも、送水管から送られてくる飲み水を飲み、元気にのびのびと成長しています。このヤギたちは、収入源確保のプロジェクトの成功の賜物でもあります。グフバオ村のヤギは、村の家族が販売し、そここら利益を得るか、ヤギを通じて肉やミルクを生産しています。

【5つの柱】に戻る

収入の機会拡大

 

私たちが行っている包括支援「自立を支援するプログラム」では、支援地域の村人たちが、自分たち自身で貧困から脱却できるようになることを目指して、村人たちのニーズに合わせた支援を行っています。

「機会の拡大」では、特に女性への支援に重点を置いています。具体的には、収入源をより多く確保できるようにするために、トレーニングを実施するなどの支援を行っています。このようなトレーニングで習得されたスキルを、女性たちが、友人や子どもたちに伝えていくことで、そのスキルが、支援地域の各世帯、そしてその地域が抱える経済的課題への、長期的且つ持続可能な解決策として、地域に浸透していくのです。

母親たちが教育を受け、生計を立てていくための手段やスキルを手に入れた時、彼女たちは、子どもたちを養うことができるようになります。また、子どもたちを学校に通わせたり、保険サービスを受けることができるようになります。そして何より、子どもたちが家計を支えるために、働きに出る必要が無くなります。収入を得たことでエンパワーメントされた女性たちは、より自由になり、人生を自ら切り開いていくことができるようにもなります。女性の背中を見ている、少女たち、さらにその後に続く未来の少女たちの、お手本・道しるべとなっていくのです。

 

知っていますか?

開発途上の地域では、6 人に1 人が、一日1 ドル25 セント以下で暮らしています。ほとんどの国で、女性は男性の65~75%の収入しか得ていません。しかし、労働時間は男性より長く、教育や、自分自身に割くことのできる時間は少ないのが現状です。男女間の雇用格差・賃金格差を解消できれば、世界に17 兆ドルの新たな経済効果が生まれます。

支援内容

 

私たちの「機会の拡大プロジェクト」の内容は、その地域によって異なります。原則として、地域の文化、伝統、資源、習慣、天候、環境やその他の条件によってどういった手法や内容でアプローチするのかを決定します。地域の団体・アドボカシーグループと協力し、その地域で持続可能性のあるビジネスを確立するための、スキルトレーニングを行っています。具体的には、グループ(女性グループ、男性グループ、若者グループ)をつくり、そのグループのメンバーに対して、予算の組み方、ミーティングの開催・運営の仕方などのスキルを教えています。また、コンフリクト・リゾリューション(対立解決)や、リーダーシップのスキルも教えています。

村人が財務や、リーダーシップに関して基礎的なスキルを身に着けたあと、村人たちの金融行動の改善に取り組み、新たな収入源確保のための活動(貯蓄やローンを組むためのグループの結成)を行います。支援を行っている地域の年間の所得・貯蓄は、年々増加しており、各世帯、及び地域全体に、健康状態の改善、暮らしの改善が見られています。

 

支援例
  • 家畜を提供。搾乳や繁殖などを含める家畜の飼育、世話についてのトレーニング
  • 職業訓練
  • ビジネスとファイナンシャルリテラシーのワークショップ
  • リーダーシップや、様々なスキルを身につけるトレーニング
  • はちみつの生産
  • 手工芸品の生産プロジェクト
  • 女の子のためのクラブ運営
  • 男性向け、女性向けの融資サークル、サポートグループ

 

これまでのインパクト

「機会の拡大プロジェクト」開始以降、3 万人もの女性が、自らを経済的に安定させるための手段を手に入れました。そして、このことが、彼女たちの家庭や地域での、健康状態の改善、そして暮らしの改善をもたらしました。女性のエンパワーメントを進めること、特に稼ぎ手としてエンパワーメントしていくことで、食糧や教育に多くのお金が使われるようになり、そして女性が働くと出生率も下がります。小規模家庭では、資源も余裕をもって利用できるようになり、母親は家事や育児つ費やす時間を短縮することができます。

 

ケースストーリー

インド カモダ村

モハニ・バイ・スクアーツは、インドのカモダ村に住む女性です。柔らかな物腰と、優しい目をしている彼女が子どもたちは大好きで、彼女がお世話をしているヤギからとれるおいしいミルクだけでなく、笑顔が素敵な彼女に会えるのを、子どもたちは楽しみにしています。彼女自身は、三人の子ども全員を、生後間もなく亡くしています。このような経緯もあり、彼女は、この小さな村のゴッドマザーとなり、子どもたちに、学校に通うようにと促してきました。

モハニは、WE Charity のアンバサダーも務めています。彼女は字を読むことはできませんが、それでも積極的にリーダーとして活動し、ヤギ飼育プロジェクトを実行して、村内の女性の収入源確保を支えました。モハニの助けによって、60 匹のヤギが女性たちに配給されました。女性たちは家畜のヤギを適切に世話するためのトレーニングを受けました。そして共用の銀行口座の管理者にも選ばれ、ヤギとミルクの売上金を毎月口座に預金する担当にもなり、女性たちは「所得を自分たちで管理できるようになり、尊厳のある生活を送ることができるようになった」と言います。

それに加えて、彼女は夫の農業の改善にも尽力しています。夫婦で、生産性や農地を改善させるためのトレーニングを受けました。その結果、より多くの穀物が収穫できるようになりました。

彼女の村での暮らしを良くしたいという思いが、彼女を素晴らしいリーダーとしての働きに現れています。村の発展に力を尽くし、スキルを村人に伝える上でも、彼女の存在はとても重要です。また、現地の子どもたちを、支援を行っている小学校に通わせるようにと、促してくれてもいます。彼女のリーダーシップの下、カモダ村はこれからも素晴らしい村として輝き続けていくに違いありません。

【5つの柱】に戻る

農業と食料

開発途上国では、飢えが栄養失調や病気の原因となっています。飢えた子どもたちは学校どころではありません。おとなも仕事どころではありません。自給自足の生活もままならない状態なのです。慢性的な空腹を抱えていると、生産的に活動ができません。生産的に活動ができないと、貧困の罠にはまっていってしまいます。

食糧事情の安定化は複雑な問題ですが、わかりやすく言えば、やるべきことは、栄養価の高い食糧を、安定的に手に入ることができるようにするということです。食糧のプロジェクトは、PotashCorp とのパートナーシップによって、事業を行うことができています。このパートナーシップによって、革新的な農業技術や農水管理の技術を、開発途上の地域に導入し、豊かで持続性のある食糧源の確保を行うことができています。このことは、支援地域の教育、保健、生活に大きな影響をもたらしています。

 

知っていますか?

 

 

支援内容

私たちは、自給自足をしている地域が、栄養価の高い食糧を充分に確保できるようになるように支援を行っています。短期的ではなく、長期的な取り組みであることが重要です。現地のスタッフや、現地の他の団体とも連携することで、環境に配慮した持続可能な食糧生産の方法を、地域で模索していきます。

食糧生産を高めるために、複数のことに取り組みます。農業技術向上のため、排水や灌水といった技術を村人に教えること、水へのアクセスを向上させること、種の質や地力の改善、農業者のためのツールキットの作成などです。他の柱と同じく、長期的で持続可能なプロジェクトを行い、地域が貧困の連鎖を断ち切ることができるようになることを目指しています。

 

支援例
  • 干ばつ時の緊急食糧支援
  • 学校での栄養プログラム(給食支給や栄養教育など)
  • 作物の種類の分散化、質の高い種を紹介
  • 農業訓練
  • 学校の庭の設置や運営支援
  • 学校の畑の設置や運営支援
  • 薬草の栽培
  • 砂漠化への対策として植林活動
  • 灌漑、水の整備

 

これまでのインパクト

支援地域では、農場や家庭でこれまで1500 万を超える食糧を生産し、地域を豊かにしてきました。農業技術の向上、地域で生産された食糧へのアクセスを向上させた結果、地域の食糧事情は安定し始めています。村人は、栄養価の高い、多様性に富んだ食糧源を確保できるようになってきています。給食支援で、生徒たちの栄養状態は改善され、出席率も向上しています。

中国では、私たちの支援プログラムを受けた農家の収穫量が、平均で26%程度まで増加しています。これは、灌漑を進めたことや、品種改良された種や肥料を使用した結果です。インドでは、私たちの農業プログラムや家畜プログラムを受けた農家が、支援開始三年で食糧自給率100%を達成しました。

ケニアでは、私たちのプログラムで、多様な食糧にアクセスすることの大切さを学んだ村人たちの91%が、(プログラム開始後3 年が経過した時点で)家族の健康状態が改善したと答えています。

 

ケースストーリー

ケニアのピンビニエット

 

 

小学校のグリーンハウスでは、トレリスにつるされた完熟トマトが育てられています。外よりも暖かく、蒸しっとしています。土の匂いが充満しています。ポリエチレンハサミでチョキチョキと切っていく音だけが、壁に覆われたグリーンハウスで響いています。生徒たちは、つるされたトマトのある列に慎重に入っていきます。そして生えてきた横枝を刈っていきます。横枝は植物にとって過剰な負担となり、栄養素、場所、水、日光の確保を阻害するので刈る必要があるのです。
横枝をハサミで切ったり、トレリスでトマトを育てるなどのスキルを身につけ、ピンビニエット小学校の生徒たちは、目を見張るような成果を残しました。トレリスにつるされた栄養満点のトマトは、日光をポカポカと浴びて、栄養満点のトマトになり、すくすくと成長しました。そし、トマトのサイズは収穫されるたびに、ドンドンと大きくなっていったのです。

現時点で、生徒たちは100 キログラム分のトマトを収穫してきました。これは学校側が生徒たちに出す給食をまかなえるどころか、それ以上の量になります。大量に収穫されたトマトと、学校の家畜が生んだ4230 個の家畜の販売で、学校側が三人の補助教員を新たに雇うことができました。生徒たちは、学校側の資金調達に貢献したのです。1 人当たりの教師が受け持つ生徒の人数が、世界でも最も多い国のひとつであるといわれるケニアにおいて、この3 人の補助教員の存在はピンビニエット小学校の教育の質の向上につながります。

生徒たちは、農場作物のお世話を担当するアテンダントを雇う資金の確保を確保するための資金集めにも挑んでいます。アテンダントが駐在していれば、生徒たちが授業あるいは休みで学校にいない時でも、農場やグリーンハウスを管理し、健全な状態に保つことができます。収穫量が毎年増える中で、生徒たちは猫の手も借りたい状況なのです。今年は、生徒たちは、545 キログラムのスイートポテト・豆・ケール・ほうれん草を収穫し、かなりの重労働をしました。

この村で育っているのは、ここの新鮮な野菜だけではありません。このプロジェクト開始直後から関わっている生徒は、農業技術をドンドン身につけ、リーダーシップやチームワークを育んでいます。生徒たちの熱意は教師たちにも伝染し、家庭菜園を始めた先生もいます。実は、生徒たちの親御さんたちが関わっている新しい農場が、間もなく栽培活動を始めます。新しいグリーンハウスでは、穀物の栽培のほか、200 匹の産卵鶏の飼育もできます。この新しい農場は、学校の農場を超える、規模の大きいものになります。すでに家畜用のエサとなる穀物の栽培を始めており、ヤギや牛に栄養をつけさせる穀物を育てるために、農場のボランティアが水やりを行っています。

農業が広がっていくことで、ピンビニエット村自体も変化していきます。野菜を食べて栄養を摂取することができるようになれば、病気による死亡率も低下していきます。生徒たちも、学習に集中できる体力がつきます。食糧での販売安定した収入の確保、さらに利益が出れば、未来の計画を立て、緊急時のための備えをすることもできます。変化を担う種は、ピンビニエット村にはずっと前から存在していました。その種がいま、ようやく育ちはじめているのです。

【5つの柱】に戻る